Tokyo (青松輝 『4』評)
<あなた>と<わたし>がいて、そこに言葉がある。飽和した人混みの中で二人はもう一度出会う。歌集全体を通して多く登場する東京というモチーフはその必然性を引き立てるための一種のアンチテーゼとして機能しているように思える。
人の数だけ常識があり、思想があり、セカイがある。東京はそんな抱えきれないはずのセカイを孕んでいる。その中で<わたし>と<あなた>が言葉を交わすことの、顔を合わせることの必然性は二人だけの言葉によってだけ語られるのかもしれない。それは東京という舞台が孕んでいたその