-273℃ (短歌20首)
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One chapter ざらざらとした夜だから皮の分厚い指の質感
複数の光/複数の思考を経て きみはチャイナドレスで来た
ネトフリの契約が2月で切れる 恋人は1月に死んだ
わたあめが雲に喩えられるくらい処女性で溢れていく東京
わたしの合図で鳥はいっせいに飛び立つ (西部劇みたいだと思いました)
I still memorize your fairy tale ピアノが響く遺体安置所
理由はワインに溶けて、約束は毒として身体中に回った
おむすびを食べたい おにぎりじゃなくて おむすびを ただ生きてくために
指切りの離れるときにあの日々のすべてのプレイリストを乗せて
絶対君主 キャンディーをあげるときいつもより呼吸音が聞こえた
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聞け、杖を振った先から星空へ向かった魔法の爆発音を
ジジがラジオをつけるとき、きみだけが涙を流していてすきになる
みじかい弱音を初音ミクに言わせた Love my sweetie 即興で
別れ話をしているときの店内放送のラブソングを改めて聞く
きみだってエレン・イェーガーになれる (思春期は鋭くぼくを指した)
「エロでもグロでもあるんだよなぁ」ってきみは原作を見ずに言った
Hungry dog 青く冷えたモザイクから数cmの純愛ラビリンス
詩に書かれたような街ではなかったが、2時間のSilent Romantic
洋楽は、クラブで弱い関係をそそのかすために セニョリータ
不確かな二人称 きみと恋人が光に殺されるまでの過程
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