
モズ日記ー開口・前編ー
猫を飼っている。
アビシニアンのカワイイ猫、きなこちゃんを。
でも実は動物が少し苦手だ。
無条件で触れるのはきなこと、実家で昔飼っていたシーズー犬のチビくらい。
だから子供の頃は動物園も楽しめなかった。だから極力子供達には動物園に連れて行って、動物を見る習慣をつけるようにした。
そんな動物が苦手な僕。苦手だから特に興味もなかった。
だから知らなかっただけかもしれないが、僕は知ってしまった。
動物も驚いたら口を開くという事を…。
ある日、僕は近所の本屋に行こうとママチャリを走らせていた。
夏の終わり、少し暑いのがマシになったかなと思う夕暮れ。オレンジ色の風景を僕は当時ハマっていた餓狼伝を買いにペダルを漕いでいた。
トンボにコウモリetcと夏から秋にかけての夕方は、空模様がにぎやかになるなと考えていた時、ママチャリのカゴに衝撃が走った!
僕はビビって転けそうになったが何とか体勢を立て直す。それでもペダルは漕いだまま。多分止まると転ける!
ビビったまま、とりあえずカゴを注視すると、そこには一匹のコウモリが。
どうやら間違えてカゴに突撃してしまったらしい!僕はパニックになりハンドルを左右に激しく振った。
その行為にビビったのかコウモリは口を開け、明らかにパニッくった表情をしていた。
僕はそのコウモリの表情にビビり、口を開け奇声を発した。
「いぃぃぃぃふぃぁぁぁgamugkmdwmnt」
とりあえず自転車から飛び降り、コウモリから少しでも離れようとした。
僕が飛び降りた自転車は数メートル進みガードレールに擦りながら転けた。
ただコウモリが逃げない!腰でも抜かしてんのかこのコウモリ?!僕がアワアワしていると、何だか周りにコウモリ多くない?コウモリ、仲間呼んだ?!
とりあえず僕は走って逃げた。走って本屋まで行った。そして餓狼伝を手にし、ちょっと強くなった気した勢いのママ、自転車を救出しに行った。
流石にコウモリは消えていた。
多分、餓狼伝を手にし、松尾象山ばりの強さを手に入れた僕に恐れをなしたのだろう。
少し余裕をみせた僕は自転車を立て直し、カゴをみた。倒れた先に犬のフンがあったらしくカゴにベッタリついていた。
僕は泣きながら自転車を洗った。
続く。