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頭のいい人ってどんな人?

昔のロボットアニメにはよくあったけどね。
「博士」と呼ばれるおじさん(もしくは、おじいさん)が登場。彼は古代の資料を研究し、敵の襲来を確信。ロボットを開発してそれに備える。さらに、ロボットをバックアップする基地のトップにおさまり、作戦指揮を行う。
……いや、あんたの専門は何?
考古学なの? ロボット工学なの? さらには、軍人としての資質も持っているの?

まあわからんでもないのだ。だっておれも、子どものころはこういうアニメを見て何の疑問も抱かなかった。
だって、「博士」というのは頭がいい人なんだ。
頭のいい人は、何でもできちゃうんだ。

無茶だよね。
頭がいいというだけで、何でも屋にさせられたら、たまったものではない。
だって、頭がいいといってもいろいろあるでしょ?
もちろん、得意分野というものがある。歴史のテストではいい点が取れるのに数学はひどい成績、なんていう人はいるでしょ?
それだけじゃなく。一口に頭がいいといっても。
頭の回転が早いのかもしれない。
何でも知っているのかもしれない。
記憶力が優れているのかもしれない。
論理的思考能力が高いのかもしれない。
洞察力に富んでいるのかもしれない。
難しいことを理解できるのかもしれない。
難しいことを噛み砕いてわかりやすく説明できるかもしれない。
ほら、いろいろあるんだよ。きっと、まだまだあるよ。
全部持っている必要はなかろう。
これらのうち、いくつか持っている人がいれば、その人のことを「頭がいい」と判断してよかろう。

もし、小説でだ。
頭がいいとなると何でもできちゃう……などという前提で描写したら、ずいぶん薄っぺらいキャラクターができそうだ。
どう頭がいいかを描写できればいいんじゃないの。
小説の公募に何度も応募して、全然結果が出ていないおれが言っても、説得力がないかもしれないけどさ。

あんまりややこしく考えると、たいへんなことになりそうだから、シンプルに行こう。
テーブルトークRPGなどでは、キャラクターの各種能力を決めたりするのだが。
そう言いつつも、おれはT-RPGをよく知っているわけではないので、ちょっとだけかじったことのある「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の話を少ししたいのだが。
キャラクターの能力の中に、頭の良さを示すものが二つある。
一つは「インテリジェンス」、もう一つは「ウィズダム」である。
インテリジェンスは「教養」と訳される。知識量とか、そういうことだろう。どれだけものを知っているか、というようなものだ。勉強家は、これが強い。
ウィズダムは「知恵」と訳される。頭の回転が早かったり、作戦や謀略を思いついたり、といったことらしい。
この二つは全く違うものだ。

おれはインテリジェンスが高い。勉強家だからだ。そりゃ、プロの作家の先生たちと比べたら、まだまだ勉強不足だろう。でも、少なくともその辺のおじさん(失礼な言い方、すみません)と比べたら、はるかに知識量は多いはずだ。
でも、ウィズダムは低い。会話ではうまいことを言えないし、人間関係の中でうまく立ち回れない。頭の回転が鈍いんだな。だから仕事ができない。
人間関係の中でも、仕事でも、判断がつかなかったり判断ミスがあったりする。その場その場で正しい言動が思いつかないのだ。
対策としては、いろんな状況でどう振る舞えばいいのかを蓄積していくしかない。困った状況になったときは、頭のデータベースの中から正解になりそうなものを一生懸命検索する。データがなければ、その場はあきらめるしかない。その代わり、後でじっくり正解を考え、データベースをアップデートしていく。これを繰り返すしかない。

おれと反対に、インテリジェンスが低くてウィズダムが高い人物がいる。漫画のキャラクターではあるが、日本人なら誰でも知っているあの人だ。
野比のび太である。
彼は勉強ができない。インテリジェンスが低いことが窺える。
それでいて、ドラえもんのひみつ道具の運用方法(悪用が多い印象だが)を、天才的に思いつく。これはウィズダムの高さが表れている。
「頭の悪いはずののび太が、ひみつ道具を使うときだけは、なぜか知恵がはたらく」などと言う人がいるが、以上のように考えてみればそれほど不思議でもあるまい。

少なくとも、インテリジェンスとウィズダムを別物として考え、この二つの能力に差をつけることで(もちろん、両方とも同程度のキャラもいるだろうけど)、割とリアルな「頭のいい」キャラクターができるのではないか。
割と、ということしか言えそうにないけど。

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