1人デザイナーだった時の当たり前をアンラーニングする
『アンラーニング』
アンラーニング(Unlearning)とは「学習棄却」と訳される。いったん学習したことを意識的に忘れ、学び直すことを意味する。
継続的な成長のためには、2種類の一見相反する行動、いわゆる学習(learning)と学習棄却(unlearning)のサイクルをスパイラル的に回していくことが必要とされる。 by ビジネス基本用語集ナビゲート
ちょっとした振り返りをしようと思う。
Monoxerに入社したのは2019年2月。それから2人目のデザイナーが入社してくださる2021年1月まで、私は社内の1人デザイナーだった。
辛いと思ったことはほとんどない。ただデザインに迷った時に相談できる人がいなくて少し寂しかったくらいだ。年末に『デザイン組織のつくりかた』を読んだら"初期デザイナーは2名いた方が望ましい"というようなことが書いてあったけど、どこか他人事のように思った。
いつの間にか1人デザイナーであることがアイデンティティ化していたわけだ。自覚があったことが唯一の幸いで、2人になった時に自我が変な形で暴発しないかを心配しながら東京で年を越した。
1 → 2で学んだこと
複数人、つまりチームになったことで起こった変化の数は計り知れない。何より、毎日とても嬉しくて楽しい。小学校で初めて友達ができた時みたいだ。
そしてこの1ヶ月で多くのことに気づき、1人だった時の当たり前を感じるたびにアンラーニングの大事さを痛感した。今言葉にできていることを5つほど書き残しておきたい。
ホスト→チームメンバー
年明けの私は常に不安だった。業務委託やインターンを含め複数のデザイナーさんのお力を賜る中で、相手の望まない仕事をお願いしてしまっていないかを心配していたのだ。
しかし皆様が自発的に物事を進めてくださっている様子を見て、悩まなくていいことに悩んでいることに気づいた。私はゲストを迎えるホスト気分だったのだ。
彼らはゲストではなくメンバー。私もそのうちの1人。そう捉えたら見える景色がガラッと変わった。
今すぐ→ベストなタイミング
1人だった時は、何事も今すぐ伝えることがリスク軽減とタスク軽減のために重要だった。「明日までにこの情報がないと、明後日までに作るのは無理です。」とか「もし〜〜が無理だった場合はAとBの道があって、Aの場合〜〜(以下略)」とか。
しかし2人目のデザイナーさんのオンボーディング準備をしていた時に、ふと思ったのだ。
(全部伝えたら情報過多すぎて困るのでは...?)
自分のペースに巻き込むのではなく、相手のペースに合わせてベストなタイミングで伝えていく。そしてちょっとずつチームのペースを作っていけばいいのだ。伝え始める前に気づいて良かった。
なんとかする→体制を整える
プロダクトもマーケもセールスもCSも、デザインに関わることは2年間全部なんとかしてきた。(※キャパに収まる範囲で)ジェネラリストの骨頂のような働き方だ。
しかし同じやり方を2人目に求めたくはなかったし、私自身がジェネラリストを続行することもキャリア的な視点でいい選択とは思えなかった。
2つの個として背中合わせで無双するのも楽しそうだが、体制を整えることで2より大きい力を出す方向に進む方がもっと楽しいのではないか?
私は「なんとかする」気概を鞘に収め、私たちが「やらないこと」を決めた。今は粛々と基礎工事に取り組んでいる。
速く進む→着実に積み上げる
1人の時は即断即決が常だった。そうしないと物事が前に進まないからだ。やることが大量にあったので、デザイナー(私)がボールを持っている時間を最低限にしたかった。受け取るというより、バットで打ち返していた感じだ。
同職種の仲間を得て、私の頭の中以外でもデザインが進むようになってからも、そのやり方を続けていた。しかし先日Figmaもくもく会をデザイナーずでしていた時に、即断即決する自分に強烈な違和感を感じた。
(これ、もっと悩んでもいいのでは...?)
メンバーが増え、やらないことを決め、基礎工事を始めた。もうある程度のクオリティーで速く"進めなければいけない"フェーズは終わったのだ。悩む時間、熟考する時間を大切にして、しっかり磨かれたレンガを積み上げていきたい。そんな風に思った。
権限はボール→権限はバトン
入社直後のデザイナーさんが「これはどうしますか?」と聞いてくださった時、「決めちゃっていいです!」と答えた瞬間、あれ?と思った。
(これは権限委譲ではなく、丸投げなのでは...?)
権限をボールのように急にパスされても十中八九戸惑うだろう。これまでの文脈も十分に伝えていないのに決定を委ねてしまったことを反省した。
きっと権限はボールではなく、バトンなのだ。リレーのバトンパスのように少し一緒に走ることがとても大事で、委譲するとはもっと緩やかで滑らかなものだと学んだ。最近は気をつけている。
これから
たった1ヶ月でも、気づくことが数多くあった。仕組みを作る楽しさも知って、これからがとても楽しみだ。3人目の仲間を夏くらいに迎えたいな。