【小説】遺言状・ザ・ベスト 第2話.脱獄犯と繰り返し
高校二年生の夏休み3日目、朝8時、僕は旅行のための身支度をしている。財布、スマートフォン、歯ブラシや髭剃り、化粧水、充電器、着替えなどなど、足りないものはないかリュックの中身を確認する。何日間の旅行になるか、どれだけ遠くに行くのか、全く計画は立てていないけれど、移動が苦痛にならないように荷物は最小限で抑える。
荷物に不備がないことを確認し、母の下へ向かう。
「お母さん、そろそろ行ってくるよ」
母は口角を上げてはいるが不安げで不満げな顔をして僕を見る。結局最後まで僕の一