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『あこがれの図書館』
農村から大きな町へひっこしてきたパトリシア。
ある日の学校の帰り道、お城のようにりっぱな建物に目をうばわれます。「このすてきなお城に行ってみたい」
その建物は、町の図書館でした。
パトリシアは、図書館員のクリービーさんとなかよくなり、毎日のように図書館へ行くようになります。じつはパトリシアはディスレクシアで、本を読むのが苦手だったのですが、きれいな絵でいっぱいの画集にむちゅうになったのでした。
あるとき、学校公開日のかざりつけのテーマを決めることになりました。「鳥の絵をかきたいの」と、パトリシアはクリービーさんにつたえます。すると、クリービーさんはいいました。
「いよいよあなたに、図書館のとくべつな本を見せるときがきたわ」
…作者パトリシア・ポラッコが、絵本作家への道をすすむきっかけとなった大切な思い出をえがいた自伝的絵本です。
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登場人物たちがみんな素敵。
パトリシアに自然との共存を実践で教えてくれるおじいちゃん。
田舎から来たちょっと変わったパトリシアに驚きながらも少しずつ受け入れてくれるクラスメイト。
パトリシアに無理をさせず、のびのびと良いところを伸ばしてくれる先生。
そして図書館でパトリシアに特別な体験を用意してくれたクリービーさん。
それぞれの形をした愛が、パトリシアを成長させてくれます。
もちろん、自分に正直なパトリシアも最高に素敵です。
何より、舞台が図書館だということが嬉しいですね。
図書館は大切な出逢いが待っている場所なんだとあらためて思います。
わたしは、クリービーさんというあのすばらしい図書館員の気持ちを、一生わすれません。心から感謝しています!彼女は自分の仕事として、あのおどろくべき本をわたしの目の前に出してきてくれたのです。わたしは、生まれてはじめて、美というものを知りました。色、形、デザイン、校正の美しさがわかりました。それは、今もわたしの心を揺さぶり続けています。
私は公共図書館につとめていたことがあり、本をさがしにやってくる子どもたちひとりひとりに、どんな本をすすめたらいいか、いつも考えていました。ぴったりの本がみつかって、その子がよろこぶ顔を見るのが、図書館員としていちばんうれしいことでした。ですから、クリービーさんの気持ちもよくわかります。小学校1年生に、特別室の貴重な本を見せてくれたのは、この子に今いちばんふさわしい本だと思ったからでしょう。それがパトリシアの将来の道を決めることにつながったのですから、図書館員としてこの誠実な仕事ぶりに、大きな拍手を送りたいと思います。
パトリシア・ポラッコ・作 福本友美子・訳
対象年齢:小学3年生から
ページ数:56ページ
2024年9月