「入管のレイシズムに対するZ世代の取り組み~仮放免者との連帯~」~イベント報告~
当日のアーカイブ映像は以下です。
今回は、7月10日に開催されたイベント「入管のレイシズムに対するZ世代の取り組み~仮放免者との連帯~」ついて報告します。
昨年のウィシュマさん死亡事件やウクライナ難民受け入れ、入管法改正案再提出をきっかけに注目が集まっている日本の入管行政。本イベントでは、入管収容の実態、日本社会のレイシズムと入管、入管のレイシズムに対するZ世代の取り組みについて、難民申請当事者のデニスさん、長年差別問題を取材されてきたジャーナリストの安田浩一さん、MBHメンバーのReikaが講演し、その後質疑応答を行いました。
以下では、当日のイベント内容について簡単に紹介します。
イベント内容
デニスさん講演
デニスさんは「日本の入管収容の実態と当事者の取り組み」をテーマに、日本へ来た経緯、入管収容中に受けた暴行や仮放免後の生活、入管問題への取り組みについて講演してくださいました。デニスさんは、イベント当日が参院選であったことから「入管政策を悪化させる現政権に投票しないで」というメッセージや、学生ができることとして「入管の問題を家族や友達に伝える」「デニスさんが原告として闘っている裁判に参加する」「一緒になって声をあげる」ことを訴えかけていました。
安田浩一さん講演
安田さんには「日本社会のレイシズムと入管」をテーマに、今年秋以降予定されている入管法改正案(入管の権限をより強くする改悪案)再提出の動き、それに関連して技能実習制度の現状や入管の歴史についてご講演いただきました。講演では、日本にいわゆる外国人の人権保障を目的とした政策はなく、政府も入管も「外国人を監視、管理し、追い出す」対象としてしか見ていない、そのようにして入管が機能してきたことを強調していました。
入管法改正案が、「奴隷制度」と批判される技能実習制度の廃止と引き換えに提出されようとしている現状に今後も注視する必要を訴えると同時に、外国人と今後、ともに暮らす社会を築いていくために、今後私たちが入管問題を解決し外国人の人権を保障する政策をどう築いていけるのかを参加者に問いかけ、ともに考えていこうと語りかけ講演が終了しました。
Reika 講演
当日は、「裁判傍聴から見えてきたこと、学生にできること」をテーマに、これまで傍聴に参加してきたデニスさんの2つの裁判「クルド難民収容者暴行被害国賠訴訟」「日本の入管収容は国際人権法違反訴訟」の概要、裁判から見えてきたこと、学生にできることについて報告しました。
法廷内での入管側による当事者を傷つけるような発言や、当事者の主張を抑えなくてはいけない裁判の状況などから、入管の長年にわたる外国人の人権を軽視する体質に対しては、裁判で法的責任を問うだけでなく、当事者と私たちが共に声を上げ、連帯し、行動していく必要があることを伝えていました。最後に海外の対入管運動について紹介し、私たちがおかしいと思うことに声をあげ、一緒に行動することは社会を変える力になる、私たちち当事者で連帯し、当事者が闘うイメージを作っていくことが重要だということを訴えていました。
パネルディスカッション兼質疑応答
当日は外国にルーツを持つ方やウィシュマさんの事件をきっかけに入管問題に関心を持った方、普段から外国人の支援に取り組んでいる人々など、対面、オンライン合わせて75名の方にご参加いただきました。
質疑応答では、当日多く参加していた学生や社会人の方からも質問が上がり、SNSでのヘイトスピーチにどう歯止めをかけられるか、当事者と今後どのように入管問題に取り組んでいけるのか、若者がどう日本社会で声をあげ、広めていけるのかについて議論しました。
最後に
このイベントの参加者からは、「当事者のデニスさんの声、現場で取り組んでいる人の声を聞いて、自分も取り組みたいと思った」「自分事として捉えられるようになり、取り組みたいと思った」などの感想があがりました。
当事者であるデニスさんの生の声、現場で長く取材をしてきた安田さんの強い訴え、そして入管のレイシズムに対する学生の取り組みを伝えられたことで、実際に当事者と私たち若い世代が連帯して入管問題に取り組んでいけることを示すことができたのと思います。
今後も日本のレイシズムにまつわる勉強会、入管での面会、デニスさんをはじめとした仮放免の当事者とも連帯しつつ入管問題に取り組んでいくので、興味がある方はぜひご連絡ください!
参加申し込みフォームはこちらから!
https://docs.google.com/forms/d/1L3w--6fpQy7H6CWkutgyXLqZZ_8UGlnh9qSB_4iN4aU/edit