【いいところを語る映画評】「コーダ あいのうた」
「コーダ あいのうた」を映画館で鑑賞しました。
で、映画評を書いてみようと思います。
(※画像は映画館にはってあったチラシを撮りました)
アカデミー賞あれこれ
実はこの映画のことは知らなかったのだけど、アカデミー作品賞受賞のニュースで知って、あらすじ等調べたら面白そうだったので、観に行きました。まずはオスカーおめでとうございます。
アカデミー賞といえば、「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞を受賞したのが嬉しかった。こちらもおめでとうございます。
ああいう雰囲気の日本映画が海外で評価されるのは、時代の変化を感じますね。
黒澤明監督はシェークスピアで評価されたけど、濱口監督はチェーホフを題材にした作品で受賞。
ダイナミックから非ダイナミックへ。
うーん、象徴的。
「ドライブ・マイ・カー」は個人的には脚色賞もいけるんじゃないかと思っていたけど、受賞ならず。残念。
(「ドライブ・マイ・カー」については以前に書いてますので、ご興味あればお読みください。)
誰もが安心して見られる
ということで、作品賞だけでなく、その脚色賞も受賞した(あと助演男優賞も)のが「コーダ あいのうた」です。
なるほど、確かに音楽の中に穏やかな海原が映るファーストショットから主人公が車で町を出るラストショットまで、全てのショットに意図がありましたね。
ストーリー展開、キャラクター設定、音楽の配分、どれもすみずみまで計算されてました。リメイク作品ということで脚色しやすかったのかもしれない。
まあ先の展開が読めちゃうところはあるけど、作劇としては申し分なし。
上映時間も含め、誰もが安心して見られる映画に仕上がってました。
(そういう意味では「ドライブ・マイ・カー」は斬新すぎたかのかもしれない)
自分らしさってなんだろう?普遍的なドラマ
この映画の一番の美点は、何といってもクライマックスにあると強く言いたい!そう、音大の受験で主人公が歌うシーンです。
主人公が手話を交えながら声を出して歌うのだけど、それはこっそり見にきたろう者の家族に意味を伝えるだけでなく、「自分らしさ」の表現なのですよね。
声を出して歌うことも手話で歌うことも主人公にとってはどちらも自分。
この映画のテーマ(自分らしさの発見)が端的に表現されていて、それをクライマックスにしっかりもってくる。
映画の作り方として見事だし、心情的にジーンときました。
ろう者の家族の中で唯一聴者である境遇の主人公にとって、家の中では自分だけ違うという「壁」があり、外に出れば聴覚障がいの家族と見られる「壁」があって、それをなかなか越えられなかった。
でも自分らしい歌い方を受け入れることで、その壁を越えるのではなく、自分の大好きな音楽の力をかりて壁を「溶かす」。
ずっと近くにいた家族と本当の意味で「出会った」んですよね。
自分らしさって、実は自分ひとりではなかなか見つけるのが難しい。
自分らしさって、きっと自分と他者との中間ぐらいにあるんだよな。
この映画では、ろう者の家族をとおしてそのことが表現されていました。
アカデミー作品賞としては小ぶりかなあという印象はあるけど、ろう者への理解を深めるだけでなく、ティーンエイジャーの成長物語として普遍的なドラマになっていました。
最後に、主人公の父親をチャーミングに演じたコッツアーさん、助演男優賞おめでとうございます。
総合評価 ☆☆☆☆
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!
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