フランスの着こなし
映画「すべてうまくいきますように」
主人公は作家のエマニュエル。おそらく50代半ば。
二番目の人物はエマニュエルの85歳になる父親アンドレ。
エマニュエルを演じたのは、ソフィー・マルソーです。
ソフィー・マルソーはわたしより上の世代には「ラ・ブーム」でよく知られたフランスの俳優です。オーディションを勝ち抜いてデビュー作が主演という、日本でいうなら、薬師丸ひろ子さんや原田知世さんのような方でしょうか。
ひさびさすぎて、「ソフィー・マルソー、年とったなあ」と思ってしまいました。自分も同じ分だけ加齢しているのですが……。ちなみに、わたしと同世代には、「なまいきシャルロット」のシャルロット・ゲンズブールがいらっしゃいます。
父親が脳卒中で倒れて要介護になり、「まだ自分で決断できるうちに」と本人から安楽死を求められた娘の葛藤を描くドラマです。
安楽死という、人間の尊厳とか、とても難しいところですが、アンドレの率直すぎるワガママがなんだか人間くさくて、決して重たさは感じませんでした。「死ぬ前にレストランでおいしいものが食べたい」とか、「あそこのレストランにはハンサムなギャルソンがいるから」とか、人間の望みとは、死ぬ直前まで分かりやすいものなんだなあと。
作品のドラマ性については鑑賞するに尽きるのですが、わたしが気になったのは、エマニュエルとその妹の、フレンチシックなファッションとライフスタイルです。
エマニュエルは「父が倒れてから書けなくなった」と言っていたのでライターと思われますが、常にブルーや黒を基調にしたシンプルな着こなし。バカンス先で泳ぐ水着やトレーニングジムで運動するスポーツウエアも黒です。レストランでの食事では黒のドレスや赤いセーターを着たりします。妹のほうも白いシャツやグレーのセーター、黒のパンツ。二人とも上質なものを数枚持って、着まわしている感がありました。
アパートメントのインテリアも、きちんと片付けられているわけではなく、本やCDを適当に積んだ感が素敵でした。よく日本の雑誌で取り上げられるパリジェンヌのインテリアやファッションのお手本のようでした。
自分自身のクローゼットの中身を見直してみたのですが……。黒やグレーもあるにはあるけれど、花柄にストライプにチェックに水玉と、とっちらかっておりました。数枚の洋服でシックでさまになる大人のスタイルに、こんなに程遠いとは。自分に合うテーマカラーを決めてそこから逸脱しないというのは、究極の大人のおしゃれと思います。
見出し画像は、久々に食べたル・スフレのキャラメルスフレです。以前は広尾にあったのですが、近所に引っ越してこられて嬉しいかぎり。東京でスフレといえばここか、パレスホテルのカフェが思い浮かびます。