変わらぬ風景
「モンタナストーリー」
モンタナ州には行ったことがないのでアメリカ合衆国の地図を開いたところ、ワシントン州の東、ワイオミング州の北で、さらに北にはカナダの都市カルガリーがありました。
モンタナというと思い出される映画が「レジェンド・オブ・フォール」。広大な大地で牧場を営むラドロー家の3兄弟が、第一次世界大戦という社会情勢を背景に、揃いに揃ってひとりの女性を愛してしまう葛藤を描いた大河もので、その多くのシーンが「こんなところにぽつんと」ある荒野の牧場の住まいです。石造りのとても素敵なお家なのですが、見渡すかぎり隣家もなく、3兄弟の母親が子育てを終えたとたんに家を出ていってしまうのも、わたしには理解できます。この映画のブラッド・ピット様は卒倒ものにかっこいいです(とくに横顔と、乗馬中の後ろ姿)。勝手ながら、ブラッド・ピット様はお写真よりも動いているお姿がかっこいいと思っております。
「レジェンド・オブ・フォール」で描かれた20世紀初頭から1世紀を経たモンタナを舞台にしているのが「モンタナストーリー」です。移動手段は馬からクルマに変化し、スマートフォンもWi-Fiも電子レンジもありますが、やはりロッキー山脈のふもとに広がる荒野で牧場を所有する一家のものがたり。「レジェンド・オブ・フォール」とは異なる理由で、長らく実家を離れていた姉弟が久しぶりに戻ってくる設定です。こちらのお家もとても素敵だし、姉弟の部屋は使っていたときのまま残されているのに、どうして姉弟が実家に寄り付かなくなってしまったのかは、弟によるモノローグで徐々に明らかにされていきます。
壮大な荒野の風景もさることながら、住まいや馬屋で描かれる陰影が絵画のようで印象的でした。
いったん帰省したものの、「モンタナストーリー」の姉弟はそれぞれ、自身の生活を築いた場所に戻っていきます。わたしは、この先の人生で、モンタナに行くことはあるでしょうか。直行便はないだろうし、フライトはいったい何時間かかるだろうと、ロマンチックとはかけ離れた現実的なことをまず考えてしまいました。
見出し画像はロッキー山脈ならぬ、どこかのSAで撮った我らが富士山です。