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【vol.5】理屈を超えて情熱を注いだ先に、次のステージがある
<作品紹介>
ピッパ・エアリックとジェームズ・リード監督による2020年のNetflixオリジナルのドキュメンタリー映画である。南アフリカの藻場で野生のマダコとの信頼関係を築こうとする映画製作者のクレイグ・フォスターの1年間がとらえられている。(出典:ウィキペディア)
<あらすじ>
南アフリカの海中に生息するタコに魅(み)せられた映像作家。タコとのふれ合いを通して特別なきずなを築く中、海の神秘に重ねて人生を見つめ直す。(出典:Netflix)
【※注意】この記事はネタバレを含んでいますので、気になる方は先に映画をご覧いただいた方が良いかもしれません。
これは、何だ…
Netflixのオススメで出てきたので視聴。タイトルとバックグラウンド再生を見た時に感じたのは
「Netflixってやっぱりお金あるなぁ…」
でした。
(出典:strainer)
今回の作品にいくら製作費が使われたかは分かりませんが、シンプルにビジネスというのは
「かけたコスト以上に回収する」
ことが、ほぼ最優先であることは間違いありません。
あとは、キャッシュポイントをどこに置くか次第ですが、映像作品であればそれ自体である程度利益を生むものでなければ、ビジネスを継続することはできません。
ちなみにNetflixはサブスク型のサービスなので、作品単体で売上を生むというわけではありませんが、面白い作品を産み続けなければどんどん顧客は流出していきます。
サブスク…サブスクリプション(subscription)の略で、語源としては、雑誌の予約講読や年間購読という意味からきている言葉です。ある商品やサービスを一定期間、一定額で利用できるような仕組みのことを指します。(出典:SUUMO)
そういう意味で、この作品を初めて見かけた時に
「タコのドキュメンタリーなんて、どこにニーズがあるんだ(笑)」
というのが率直な感想だったし、
「こんなニッチな作品を作れるなんてよほど資金がなければムリ」
と思ったのです。
「タコの映画」がアカデミー賞!?
しかしながら、そんな私の考えも、思いっ切り裏切られます。
そもそも、この「オクトパスの神秘: 海の賢者は語る」は今年度のアカデミー賞ドキュメンタリー賞のノミネート作品なのです。
アカデミー賞という言葉は多くの人がご存知だと思いますが、実際に
「アカデミー賞受賞作品」
という箔がつくことで、その作品は他の作品よりも圧倒的なブランド力を手にすることができます。
アカデミー賞…「アメリカ映画の祭典」という冠詞を付けられることが多い事からも分かるとおり、基本はアメリカ映画を対象とした映画賞であり、作品の選考対象も「1年以内にロサンゼルス地区で上映された作品(詳細は後述)」と比較的狭義である。しかし、その知名度と世界三大映画祭よりも古い歴史を持つ賞であるため、マーケットへの影響力は国際映画祭の各賞以上に大きく、受賞結果が各国の興行成績に多大な影響を与える。(出典:ウィキペディア)
しかも、「オクトパスの神秘: 海の賢者は語る」はNetflixのオリジナル作品であるため、
もしアカデミー賞を受賞したとなれば、それによって会員数が大幅に増える可能性もあります。
※2021年のアカデミー賞は4月26日(月)の昼間(日本時間)に発表されます。
(2020年のアカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞した「アメリカン・ファクトリー」もNetflixのオリジナル作品。写真は受賞時の監督たち。出典:chinadaily)
ちなみに、Netflixは今年の1月に2020年10〜12月期決算を発表し、売上高が前年同期比22%増の
66億4444万ドル(約6900億円)
と過去最高を記録。有料会員数は
2億366万人
に達し、配信事業を始めて約13年で2億人を突破しました。
動画配信サービスとしては圧倒的な規模を誇っています。
それでも、Netflixの共同CEOであるリード・ヘイスティングス氏によると
「映像配信が最も浸透しているアメリカ市場ですら、Netflixは家庭のテレビ視聴時間の10%ほどしか取れていない」そうです。
(Netflixの共同CEOであるリード・ヘイスティングス氏)
つまり、残りの90%をいかに自社で独占するかをNetflixを始め、動画配信サービス各社で熾烈な競争を繰り広げているわけです。
そして、その競争を有利に進める上で「アカデミー賞」というブランドは非常に有効に働くのではないかと思います。
(ちなみに、ここ数年のアカデミー賞ドキュメンタリー賞にはNetflixのオリジナル作品が数多くノミネートされています。真偽は分かりませんが、ある意味それも「ビジネス戦略」なのでしょう。)
最後は「理屈」じゃなくて、「情熱」で突き抜ける
作品の中身については、最初こそ眉唾モノでしたが、終わってみれば壮大な「恋愛」ドキュメンタリーでした。
「タコと人間の恋愛」については、百聞は一見に如かずで、ぜひ作品をご覧いただきたいのですが、
見終わった後には、タコという生き物に対する理解が深まると同時に、愛おしさを感じるようになってしまうかもしれません。
ちなみに、私はなりました。笑
また、作品の舞台である南アフリカの藻場は本当に美しく、私自身ダイビングの経験はないのですが、
あのようなキレイな海に潜って魚たちとの触れ合うことも「やりたいこと」として将来実現させたいと思います。
そして、この作品の中ではいくつかトラブルやアクシデントがあるのですが、序盤で一度、主人公のタコを見失ってしまいます。
まだ、彼女と信頼関係が築けていない段階で、接近した際にカメラのレンズを水中に落として、その衝撃に驚いて逃げてしまうのです。
必死に追いかけるものの、怯えたタコは行方をくらまし、その後住処に帰って来ることはありませんでした。
このままタコが見つからなければ、撮影は不可能。ヘタをすると撮影自体が終わりかねない自体だったと思います。
しかし、ここからが驚きで、
この映画のもう一人の登場人物であるクレイグさんは、見失ったタコを見つけるために
「タコになりきって考えるようにした」
と言います。
言葉としては理解できますが、実感としては意味不明です。笑
タコになりきって考えたところで、
本当にタコのように考えられるかは分からないし、逃げられたタコを見つけられるかどうかも分かりません。
しかし、クレイグさんは、彼女を「何とかして見つけたい」という想いで
・タコの這い跡
・タコと他の生き物との這い跡の違い
・タコの捕食痕
・卵嚢
・海藻の微妙な違い
を研究し、ついに彼女を再び発見するのです。
もちろん映画なので大袈裟に演出している部分はあるかもしれません。
しかし、クレイグさんの彼女に傾ける情熱、愛の熱量は映画の中で終始ビシビシと伝わってきます。
そんな彼の姿を見て、
「理屈じゃなくて最後は情熱だな」
と痛感させられました。
日本のように多くのモノやサービスが溢れ、しかも、毎日のように新しいモノ・サービスが生まれている中で、自分が
「ビジネスマンや経営者として情熱を注げるのは何なのか?」
それを改めて考え直していこうと感じさせてくれる映画でした。
▶︎「オクトパスの神秘: 海の賢者は語る」英語版ダイジェスト
また、あなたのオススメ映画もあれば、ぜひコメント欄で教えてくださいね。