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「海のはじまり」第2話ー選択できない夏は海の父親になれるのかー

「水季からね、海のことでこれだけは絶対って言われたことがあるの。海に選ばせてあげてって。正解を教えるより、自分の意思で選ぶことを大事にさせてあげてって」

「海のはじまり」第2話より

人生は選択の連続だ。
その中で最も難しいのは、生死に関わる選択だろう。
正解がなく、どちらを選んでも苦労や後悔がつきまとう。

第1話では水季が夏との子どもである海を妊娠し、夏に黙って産む選択をしたことが明らかにされた。第2話では夏の彼女である弥生が過去に子どもを妊娠し、中絶していたことが明らかにされる。

受け手によっては嫌悪感を抱くほどの強引さで産むことを決めた水季。彼女は家族や周りの協力を得ながら、シングルマザーとして海を育てる苦労を味わうことになった。
弥生は水季と正反対に、自分の置かれた環境や周囲への配慮、生まれてくる子どもの苦労を考えて産まない決断を下す。そして、彼女は命を奪ったことに対する罪悪感を抱え、決断の正しさを自問しながら毎日を送る事になった。

水季と弥生の選んだ道は正反対だが、2人には共通するものがある。
それは「自分の意思で選んだ」ということだ。

海との生活がどれだけ苦しいものだったとしても、水季は自分の選択に後悔はなかったはずだ。後悔していたら「正解を教えるより、自分の意思で選ぶことを大事にさせてあげて」という言葉は出てこない。

弥生の罪悪感は一生消えることのないものだ。しかし自分で選んだことによって、彼女は次に進むことができる。「私が(海の)お母さんやれたりするのかな」という言葉は、そのことをよく表している。

対して、夏の抱える苦悩や後悔は「自分で選択できなかった」ことで始まっているように思う。
夏は考え過ぎるあまり、言葉にするのが遅い。他人想いで優しいと言える一方で、重大な選択のタイミングを逃してしまうという欠点でもある。

夏が水季の中絶同意書にサインしたのは、果たして本当に自分の意思だったのだろうか。
もっと話し合って決めよう。
父親として一緒に育てたい。
そんな気持ちを飲み込んで、水季にとっての正解に従いはしなかったか。

周りばかり気にして、誰かの正解を自分の正解だと言い聞かせる。
そうやって自分を苦しい方向へ追い込んでいく夏の姿を、情けないと笑うことができるだろうか。
私にはできなかった。私の中にも、夏が存在しているから。
私はこのドラマを最後まで見届けようと思う。
夏は選択できるのだろうか。
海の父親になる選択を。
自分の意思で。

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