ウクライナ侵攻とシリア内戦に共通点?(その3)
本紹介
「ロシアとシリアーウクライナ侵攻の論理」
青山弘之著 岩波書店
ウクライナで今起きてることとは?
シリア内戦との共通点とは?
ウクライナでは、2014年2月のマイダン革命で親ロシア政権が倒れると、3月クリミア自治共和国とセワストポーリ特別市は住民投票でロシアへの編入を決めます。
さらに、ウクライナ東部のドンバス地方のドネツク、ルハンシク両州の親ロシア勢力が、独立共和国を宣言してウクライナ政府と軍事衝突を繰り返します。
2019年に大統領に就任したゼレンスキー氏は、ドイツ、フランスの仲介でかわしたミンスク合意の反故を訴え、NATO加盟をめざします。
それにロシアは強く反発。
2021年10月、ウクライナ政府がトルコから購入したバイラクタルTB2ドローンをドンバス地方での戦闘に初めて投入したことで、2022年2月、ロシアは軍事行動に踏み切りました。
そしてゼレンスキー大統領からの支援要請に応えて、欧米諸国はロシアに経済制裁を加えるとともに軍事援助を始めます。
欧米各国は、ウクライナへの支援を民主主義を守り専制主義に対抗する戦争と位置づけ、ロシアによる侵攻は国境の現状変更を試みようとする国際法違反だと強く非難しました。
ウクライナ=善、ロシア(プーチン)=悪は、露骨過ぎるまでに定式化し、芸術やスポーツ分野にまでその影響は出ました。
欧米諸国は、直接的な軍事介入はせず、武器を送るだけの支援を続け、ウクライナを応援。
しかし一方でロシアを敗北へ追い込むこともしていません。
欧米諸国は、まるで戦争の長期化を狙っているかのようだと著者は分析しています。
それは戦争を長引かせてロシアの国力を弱体化させようとしているともとれます。
これがシリア内戦と共通するところです。
ウクライナ国内の武力紛争に乗じて、ロシアとNATOの大国が介入し、代理戦争をしているように見えます。
そして、NATOは自分たちのために争いを引き延ばしているのです💥
ウクライナが戦争で破壊尽くされても、欧米諸国には直接の被害はありません。
自らは泥をかぶらず、敵国を国際社会から閉め出すことに成功しています。
執筆者、ゆこりん