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【#136】埼玉県・川越市長選挙レポート(2025 1.26)

割引あり


 我が家から下道で(取材費節約で高速道路が使えないため)片道約6時間かかる、埼玉県川越市。

 先日取材した岐阜県(岐阜市)よりも更に時間がかかります。 それでも取材に行ったのは若い候補が複数いて面白そうな選挙だと思ったコトと、それらの中に、

岐阜県美濃加茂市長の藤井浩人氏を初めとした「若手首長ネットワーク」と私が呼んでいる一連の首長のうち誰かが応援に入るのではないか、という読みが有ったからでした。

 結論から言えば、その読みは外れたのですが、それでも面白い選挙だったので取材した意味は有り、そして最大の成果は、今年の選挙の傾向を現場で感じられたコト。

 現職が引退し新人4人で争われた市長選。 与野党相乗り候補がいて、自民が分裂し、政党支持を受けない候補がいる。 複雑に入り組んだ選挙模様を、レポートします。




◆川越(かわごえ)市・概要

(川越市役所)
  • 県内に3自治体ある中核市のひとつ

  • 面積:109.13㎢(埼玉県・第8位 / 63市町村)

  • 人口:352,805人(第3位)※2025年1月現在

  • 人口密度:3,232.88人/㎢(第20位)※2025年1月現在

  • 平均年齢:47.65歳(若い順 第23位)※2020年10月現在

  • 衆議院は埼玉7区に属し、


◆立候補者

森田 初恵  (42) 無所属 新 元裁判官
樋口 直喜  (41) 無所属 新 元市議
小野沢 康弘 (70) 無所属 新 元市議
山根 史子  (40) 無所属 新 元県議
 
※自民県連・立憲・国民民主推薦

 4期務めた市長が引退。 次の座を元裁判官元市議の2名、元県議の4名で争う選挙です。
 4名中3名40代前半というフレッシュな顔ぶれ。 女性候補2名に注目が集まりがちですが市政を最前線で担ってきた市議2名出ているので、誰が勝ってもおかしくありません。


◆前回(2021年)の選挙結果

[当]川合 善明 (70) 無所属 現 38,465票
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[落]川目 武彦 (46)  無所属 新 24,613票

投票率:22.05

 自公推薦の現職が市議を1期途中勤めて立候補した新人を破り4選しました。 現職は市で制定していた「市長多選自粛条例」廃止を提案し、議会に可決させてまで立候補するというとんでもない荒業をカマしての立候補で批判も大きく有りましたが、それを素直に賛成するような議員を抱えていたのだから当選も然るべき結果。 しかし、市民の “どっちらけ感” は、「22.05%」という有り得ない投票率に表れています。

 こんなのが有るから私は常々、「多選はダメ!」と常々言い続けているのですよ。 まったく・・・

 ちなみに今回の選挙は同時に市議補選が行われていました。 私は市長選取材に専念していたので全く取材出来ていませんが、結果は書いておきましょう。


◆市議補選・選挙結果(定数2/6名)

[当]江田 崇  (52) 無所属 新 23,601票
[当]海沼 秀幸 (38) 無所属 新 23,228票
 -------------------------------------

[落]守屋 裕子 (75)  共産  元 22,718票
[落]金田 友記 (48)  無所属 新   7,848票 
[落]松村 隆  (75)  無所属 新      6,908票
[落]本田 幸久 (42)  反カ集 新   5,133票 ※

※「反カ集」→「反社会的カルト集団」の略

 市長選に出た2名の議席を埋める選挙でしたが、定数2でポスターに川合市長の写真が入った候補が3名いるという奇妙な構図で行われた結果、市長写真入りポスターの2名が当選しました。
 一方、共産候補は元県議を擁立するも次点で落選。 構図からして当選できるものと支持者は思っていたようですが、今の党勢で大丈夫な選挙など存在しないのだと、支持者はいいかげん自覚しなければなりません。

 なお、突然立候補してきて駅前を中心に大騒ぎしていた「反社会的カルト集団」ことN国の候補は全く歯が立たず落選。 結局、“パブリックエネミー” と化した党首が喋る場(=演説会場)を作るための立候補だったのでしょう。

迷惑です。

 では、話を市長選に戻して、POINTを見ていきましょう。


◆POINT

①4期務めた現職が「不出馬」

川合よしあき公式サイト より引用)

 前述の通りゴリ押しで4期務めた川合善明(かわい よしあき)市長が不出馬を表明したのですが、どうやら全てやり遂げての「引退」では無さそうで、突発性難聴による耳鳴りが酷いコトが理由でした。
 父親も3期12年川越市長を務めており、体調が万全なら父を超えるために今回も立候補した可能性が有ります。 恐ろしや・・・

 2020年に性的少数者のカップルが婚姻関係相当だと認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入した実績は素晴らしいと思いますが、親子で28年も市を牛耳っていたのだからそりゃ市政は閉塞感バリバリだったのではないでしょうか。
 そんな(良くも悪くも)名物市長が不出馬となり、次の市長を目指し4名も立候補してきたのですが、ここで自民党迷走します。


②自民党、まさかの「4分裂」

 まず元裁判官の森田氏が立候補を表明。 次に県議の山根氏が所属していた国民民主党離党し市長選出馬の準備を進める中で、昨秋の衆院選で自民党の中野英幸候補の出陣式に出席し支持拡大に動き、それを受けて自民党埼玉県連は山根氏を市長選推薦候補と決定します。
 しかし、それに川越市の自民党が「なんで元国民民主の人間を推薦するんだ」と反発。 市議会に2つある自民系会派のうちひとつが市議の樋口氏を支援するとし、更にもうひとつの自民系会派が同じく市議の小野沢氏を支援するとし、自民党が県と市で分裂してしまいます。
 加えて自民所属で川越市選出の女性県議「自分の気持ちを貫く」とし、森田氏のサポートに入ったコトで、何と自民は全候補に誰かしら付くという「4分裂」となってしまいました。

 と、いうワケで、先程の立候補者一覧に書き加えるならば、

森田 初恵  (42) 無所属 新 元裁判官
 ※自民党・渋谷真実子県議が応援
樋口 直喜  (41) 無所属 新 元市議
 ※市議会自民系会派「川越志政会」が応援
小野沢 康弘 (70) 無所属 新 元市議
 ※市議会自民系会派「初雁自由政令会」が応援
山根 史子  (40) 無所属 新 元県議
 自民県連立憲国民民主推薦、社民が支持

このようになります。 ちなみに公明維新自主投票。 共産は市議補選の対応優先、となっております。


 更にもうひとつ、市長選の争点となったものが有りますが、そこからは有料部分とさせて下さい。 最近多くの候補が掲げる公約ですが、それは本当に実現性が有るのか、そして優先してやらなければならないのか、というお話です。

 そして、奇しくも3候補が同じ場所で演説をしたためイロイロと比較が出来た様子と驚愕の選挙結果。 見事当選した方に見え隠れする不安要素を、是非ご覧ください!


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