選挙結果振り返り(2024 11.10投票)
今回の選挙を全体的に見ると、ある傾向が見られます。
それは何か、記事を見ながら考えてみて下さい。 文末に私が感じた傾向を書いていますので御確認いただきたく。 明らかにこれまでとは違う結果が出ているのは、この “タイミング” 故なのだろうと私は感じています。
◎東京都・荒川区長選挙
5期務めた現職が引退を表明し次の座を男性新人3人で争った選挙は、元都議が初当選を果たしました。
自公推薦の元区議、共産推薦の候補を抑えて区長に当選したのは、都議時代は都ファの人でした。 通算3期途中まで務めた都議を辞職。 都ファを離党して立候補し、同党所属の区議などの協力を得て選挙運動を展開。 今回退任する区長が自公推薦の区長だっただけに、小池都知事もさぞお喜びかと。
一方、現職と同じく自公の推薦を受けて立候補しながら敗れた元区議。 未だに衆院選のダメージは残っている模様で、投票率が前回から約7ポイント上回ったものの、それでも38.57%という低投票率です。 その中で自公の組織力を以てしても勝ちきれないというのは・・・ 来年の都議選までに党勢回復は間に合うのでしょうか。
◎東京都・荒川区議会議員補欠選挙(定数1/4人)
区長選に出馬した町田候補が空けた議席を、元職1人と新人3人で争う選挙は、元職が返り咲きを果たしました。
返り咲いた元職は自民公認。 1期務めたものの昨年の本選で落選。 区長選の自公推薦候補と連動した選挙運動が実を結び、2位グループに約9千票の差をつけて当選。 コチラは組織戦が実を結んだ形です。
それにしても、区長選に当選した候補と連動した選挙運動を展開していた無所属候補はともかく、完全無所属で独自の戦いをしていた候補より票が獲れなかった共産・・・ 区長選とも連動していたし、山添拓氏も投入してコレですか・・・ しかも、下町の荒川区で・・・
◎長野県・阿智村議会議員選挙(定数12/13)
現職7人、元職1人、新人4人が立候補し、党派別では共産が1人立てた、女性候補1人の選挙です。
これまで「女性議員を送る会」という市民グループが複数の女性議員を議会に送り出すコトに尽力していましたが、今回は僅か1人しか女性候補が出ておらず、その方は8位で当選したものの何とも寂しい議会模様となりそうです。
なお、阿智村議選といえば、挑戦する度に最下位を繰り返す人が今回も立候補。 なんと! 前回から8倍超の票を獲得しました!!
(※それでも落選は落選ですが・・・)
(※※ “8倍超” といっても、4票 ⇒ 34票、なのですが・・・)
◎愛知県・豊橋市長選挙
2期目を目指す公明の地域支部が推薦する現職に、元市議の男性2人と食品製造店経営の男性が挑む選挙は、41歳の元市議が初当選を果たしました。
当選した41歳の元市議は3期途中まで市議を務めた実績が有り経験は豊富ですが、ど~も「アレ」な雰囲気が漂うなと私のセンサーが反応したので調べてみると、衆院選で見事に完全落選した某政党の元政調会長が応援に来ていたり、それでいて、地元のれいわ支持者からも応援されていたり、共産支持者からも多くの票を集めたりと、必要以上に広いウイングで票を集め当選しました。
そして「今週の選挙」を書いた時点では把握していませんでしたが、当選した元市議を、岐阜県美濃加茂市長・藤井浩人氏が応援していました。
今年に入ってから他自治体の首長選候補を応援し、それを受けた候補がドンドン当選するという「不敗神話」を築きつつある、藤井市長。
これで藤井市長が応援した候補は5連勝。 表の通り、その前に落選したのは都知事選の石丸伸二氏で彼は落選すれど大ブレイクは果たしており、それを除けば落選は僅かひとつ。 やはり目を離してはいけない存在なので、今後も藤井氏に動きが有れば「#Fアラート」でお知らせしますね。
一方、敗れた公明推薦の現職と自民(地域支部)推薦の元市議は、自民の地域支部から支持を受けていたコトについて、自民愛知県連がそれに抗議するという内部崩壊を披露。 更に争点となっていた「豊橋新アリーナ建設問題」について当選した元市議が明確に「建設反対」を訴えていたのに対し現職と自民地域支部推薦の元市議が共に賛成派で、建設支持の票を分け合ってしまったコトが敗因だったようです。
確かに新アリーナのような箱モノの建設には慎重であるべきだとは思いますが、一方で、
現在、豊橋市総合体育館を本拠地とし、11/11現在リーグ首位に位置する「三遠ネオフェニックス」にとってはホーム会場の拡張が見込めなくなったコトを意味し、ブースター(Bリーグファン)からは「ホームを浜松市に変えよう」「『三遠』(三河&遠州)の『三』を外そう」という声も挙がっています。 スポーツファンを敵に回すと怖いですよ・・・
若い市長が誕生したとはいえ、圧倒的に自民党市議団所属議員が多い議会相手に苦戦は必至。 さぁ、どういう市政を作り上げるのか。 注目しましょう。
◎滋賀県・滋賀県議会議員補欠選挙(定数1/2人)
市長選に出馬(→無投票で当選)し空いた議席をめぐり、自民公認候補と立憲公認候補が争うガチンコの一騎打ちは、立憲候補が当選しました。
市長選出馬のため辞職した元県議はチームしが公認の県議でした。 なので順当な結果だと言えるのでしょうが、今週は自民の負けが目立ちますね。
◎愛媛県・西条市長選挙
3期目を目指す現職に元県議と医師の新人2名が挑む選挙は、医師が初当選を果たしました。
当選した医師はスポーツ整形外科医として有名らしく選挙公報を見てもパっとしないし医師時代の評判も宜しくないというウワサも見たのですが、現場では現職市政からの転換を強く訴えていたようで、何より医者時代に培った人脈で草の根選挙をしていると見えたのが、万歳三唱のバックには、山本順三参院議員、永江孝子参院議員という地元の自民国会議員に加え、どこに行っても為書きを見かけるでお馴染みの片山さつき参院議員の為書きが有り、中身は自民がガッツリ応援していたようです。
現職は医師より5歳若く、当選しても3期目と多選でもなく、しかも別に新人候補がいる中で敗れたのは、やはり医師が自民の組織力と的確な現職批判が功を奏したのではないでしょうか。
さて、3位に沈んだ元県議ですが、大差をつけられた結果を見るに、果たして県議の座を投げ出してまで立候補する必然性は何処に有るのかという疑問が生じます。 後日行われるであろう補選に出馬するのかもしれませんが、掲げている政策や醸し出す雰囲気が、どう見ても参政党と親和性が高く、もしかしたら今後、そちら側の人として活動するのかもしれません。 西条市の皆様、気にかけていた方が宜しいかと。
さて、ここからは維新が候補を擁立している4選挙を。 衆院選が終わったので維新候補の当落を表につけてチェックするコトは一段落としますが、その動向(栄枯盛衰とも言う)は振り返っておく必要性が有るかと。
▼今週の維新
◎愛知県・豊橋市議会議員補欠選挙(定数4/10人)
市長選に出た2人と亡くなられた1人、そして議員辞職した1人で空いた4議席を巡り、元職3人、新人7人が立候補。 党派別では自民、維新、共産が1人ずつ立てた、女性候補2人の選挙は、元職2人、新人2人が当選(うち女性候補2人)しました。
抜けた4人はいずれも自民系のようなので共産と維新が議席を獲れれば党勢拡大となるという選挙でしたが、自民公認が1位。 2位には市長選に当選した元市議と連動した選挙運動を展開していた、れいわと親和性の高い女性候補が入り、維新候補が3位に入り女性元職が4位という結果に。
維新候補は62歳男性とフレッシュさに欠け、昨年の市議選本選に(無所属で)出馬するも全く届かず落選したという状況を見るに、厳しいかなと思いましたが、そこは周辺自治体の維新議員の応援を得たのでしょう。 その運動量が功を奏したか3位で当選。 豊橋市で議席を得るコトに成功したのでした。
あと、最も注目だった、
飲酒運転で辞職したのに再出馬した人が、なんと次点に入るという意外な結果に。
確かに警察による逮捕等ではなく、情報提供により発覚したものなので同情する市民もいたのかもしれませんが、選挙公報には詫びも何も書いておらず何事もなかったかのような姿勢は宜しくないかと。
もうコレで諦めた方がイイと思いますよ。 だってこれから先、表舞台に出る度にこのコトがぶり返されるのだから・・・
◎三重県・伊賀市長選挙
4期目を狙う現職に男性5人の新人が名乗りをあげ、6人で市長を争うという大混戦の選挙は、地域政党「草の根運動いが」公認の候補が1位。 危惧されていた得票率も法定得票数(有効投票数の4分の1以上)を超え、一発で選挙を決め初当選しました。
現職が73歳と高齢で他の新人が30代40代と若い中、維新は66歳の候補を立てるというセンスの無さ・・・ 案の定、自民党衆院議員の応援を受ける新人、現職に次ぐ4位に沈みました。 一体何のために立候補したのか、意味不明です。 そして、現職が3位ってのも・・・
大混戦を制して当選した元県議は前述の通り地域政党「草の根運動いが」公認で政治スタートが社民党という、40歳の若さとのギャップを感じる経歴の方ですが、25歳に伊賀市議に初当選してから県議に転身し3期10年務めておりキャリアは充分。 次に触れる伊賀市議選で同じ政党の議員が複数誕生しているので上手くやってくれるのではないかと期待しています。
自民系の票が2位と3位に割れたのが当選した大きな要因だとは思いますが(2位+3位で1位の票を上回れる)、それにしてもこの結果は驚いた・・・
◎三重県・伊賀市議会議員選挙(定数22/25人)
市長選と日程を合わせて費用を削減するために任期を4か月残して議会を解散。 前職(解散したので「現職」ではない)19人、元職1人、新人5人が立候補し、党派別では公明と地域政党「草の根運動いが」が3人ずつ、共産が2人、維新が1人立てた、女性候補9人の選挙は、前職3人が落選し、女性候補は8人当選しました。
これまで2期務めた、前職で46歳女性の維新候補は9位で当選しました。 この方、これまでは無所属議員でしたが今回は維新公認で立候補。 前回より約700票増やし順位も12ランク上げたので公認効果は有ったようです。
これだったら市長選に出て箸にも棒にも掛からなかった前職も出て維新で2議席獲得狙えば良かったのにと思ったりしましたが、当選した女性候補の票を2で割ると当落ラインを下回るため、1候補に絞ったのは妥当な判断だったといえます。
・・・もしかして市長選に出た維新前職、追い出された?
ところで、市議選の全候補がそれなりの票を獲得する中、最下位に沈んだのが、なんと共産の前職。 他の選挙でよく見られる高齢議員ではなく「42歳」という党にとっては貴重な人材がこんな形で落選してしまうとは・・・
衆院選で議席を減らしたという影響が地方選挙にも波及しているのかもしれません。 だとするならば、事態は相当深刻です。 共産党に挽回のターンは訪れるのでしょうか。
◎京都府・宇治田原町議会議員選挙(定数12/17人)
現職9人、新人8人が立候補し、党派別では共産が2人、公明と維新が1人ずつ立てた、女性候補1人の選挙は、現職2人、新人3人が落選。 女性候補(公明党)は1位で当選しました。
維新候補は60歳新人。 候補の平均年齢が高いのでこれでも若い方に入ります。 当選すれば宇治田原町初の維新議員誕生となるトコロでしたが、次点で落選。 もう少し “維新っぽい”(20代~40代)候補を用意できれば結果は変わったかもしれませんが、大阪の隣、京都といえど町村で議席を獲得するのは容易ではないようです。
そして今週は、「高齢の現職(またはそれに準ずる候補)に若手の新人が挑む」という構図の選挙が多かったので、それをまとめてみました。
◆今週の世代闘争
◎奈良県・高取町長選挙
2期目を目指す現職に1期途中で市議を辞した新人が挑む一騎打ちは現職が2選を果たしました。
現職は65歳とそこまで高齢ではないのですが、新人が38歳と若く、年の差27歳の対決となりましたが現職が手堅く勝利を収めています。 自民系の現職、というコトで然るべき結果なのかもしれませんが、
コロナ禍の2021年、ワクチンの温度管理を間違えた上に再冷凍し町民に接種するという大失態をやらかし、百条委員会で責任追及される事態になったというコトが有り、その批判が今でも残っていれば接戦になったかもしれません。
ただ、コロナ禍のコトって遠い過去の出来事として扱われがちですからね・・・ もちろん今年も冬にかけて流行するかもなので皆様も私も気をつけましょうね。
ダブルスコア近い差をつけられて敗れた38歳新人。 他県の議員が応援に来たりして周りの期待は大きくて本人も有能なのかもしれません。 でも、市議を1期も務め上げずに辞めちゃうのは良く見えないですよ。 町の停滞を感じて焦るキモチは分かりますが、少し落ち着きましょう。「チート」は滅多に起きないですよ。
◎愛媛県・新居浜市長選挙
3期務めた現職が出馬せず、次の座を元副市長と元県議会議員で争う一騎打ちは元県会議員が初当選を果たしました。
76歳の市長が退任し、後継指名したのが70歳の副市長という、開いた口がふさがらない禅譲が行われようとする中で立候補した元県議は46歳で、24歳差対決となり、県議を4期途中まで務めた経験で元副市長を圧倒し市長に当選。
当選した元県議は自民系の人で、一方の元副市長には連合や立憲の国会議員が応援していました。 衆院選の間「自民に入れるな!」と掲げて連載を書いていた私ですが、それでも “70代同士の禅譲” なんてどう考えたって閉塞感バリバリな市政は変えなければダメでしょう。 然るべき結果が出たと思います。
◎福岡県・八女市長選挙
4期務めた現職が出馬せず、元副市長と元経産省職員で次の座を争う一騎打ちは元経産省職員が初当選を果たしました。
コチラも副市長が80歳の現職から後継指名されています。 「副首長」が出てきた場合は概ねそんなものです。 元副市長が64歳なのに対し新人は34歳と若く、30歳差対決となっており、元副市長には自民の推薦が入っていましたが新人の若さがそれらを全てぶち壊した結果です。
とはいえそこは「麻生太郎 vs 武田良太」の争いが続いていた(武田氏が衆院選で落選したので決着、か?)福岡県。 一枚岩になれるハズがなく、安定の自民分裂となっていたようです。
コチラも「現職→副市長」の禅譲を易々と許すワケにはいかないので新人の当選は喜ばしい、と言いたいトコロですが、「元経産省」という経歴だけあって、公約には「ライドシェア」の文字が有ります。
「ライドシェア」という政策の全てに私は反対ではなく、例えば過疎化が進む小さな自治体では必要だと思っていますが、人口が3.7万いる八女市で他自治体に先んじて実施する必要は無いハズです。
しかし結果がこうなったので、これから先、八女市が中規模自治体におけるライドシェアの “実験場” となる可能性が有ります。 八女市の皆様におかれましては、若いからというダケで盲目に許さず、彼の政策に目を光らしていた方が良いと思います。
と、いうワケで、今回やけに新人候補が勝っているなぁと思ったので洗い出してみたら、選挙が行われた13首長選のうち、現職(及び現職側)候補が勝ったのは4勝で、新人(及び現職側ではない)候補が9勝していました。
衆院選、アメリカ大統領選と大きい選挙が国内外で行われ、自民が少数与党となり共和党のトランプが返り咲くという、変化が大きい結果が続いた流れが日本の地方選挙にも及んでいるのでしょうか。
個人的事情(引っ越し等)で選挙の現場から遠ざかっているため何が起きているか掴みかねているのが正直なトコロ。 早く “現場復帰” しなければと思った、今回の選挙結果でした。
以上です
当選された皆様の御活躍をお祈り申し上げます
「選挙結果振り返り」テーマ曲
ギターパンダ / 選挙に行ったけど
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