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わたしにはこう見えていた:眺める時間

きのう、撮った写真の中から現像したものをいくつか。
わたしには毎日過ごしている中で、日常の景色がこういう風に写っています。という確たる証拠として。

前日の天気予報では曇りだったと記憶していますが、朝目が覚めると雨が降っていました。身体がぬれるのも、靴に水が染み込むのもあまり気にならなくなりました。なぜならば、雨の日の方が写真によく写る気がするんです。雨の日の車内に響く音、濡れたアスファルトにタイヤが擦り合わさる音が好きです。雨の日に山の中で草を刈るのもすごくいいですよ。草がまとまりますから。そしてなにより自然の中に居ることを実感できる気がするんです。こういう話をすると、同僚にも若干白い目でみられるときもあるんですが、いいんです。好きですから。

雨の日が好きな理由はもうひとつ。山が幻想的になるんです。スピってるわけじゃないですよ。自宅で淹れたコーヒーを飲みながら遠くの山々を眺める時間が好きです。

と思っていたら、雨が降ったのは朝の時間だけでした。雨上がりに日が差し込むと、森の中にどんどん生きている感覚が生まれます。私が勝手に思い込んでいるだけかもしれませんけど。スピってるわけじゃないですよ。いい1日だなぁ。と思いながら、仕事をする現場に向かいます。

そんな感じで、この日は作業中に写真を撮ることもなく、1日の仕事を終えました。機械トラブルがあった1日でしたが、生きていましたのでよしとできます。現場から降りてすぐのところで、アナグマに会いました。この日に会った1種類目の人間以外の哺乳類です。あまり逃げなかったので、ゆっくりクルマでそばを通り過ぎると、現場のすぐ下に彼の住処がありました。騒がしくしてごめん。彼にも住処があるんですよね。

2匹目の哺乳類に会いました。立派な2本の角を持つ、動物です。わたしたちのクルマと相対してしばらくじっとしていましたが、藪の中に消えていきました。彼ら動物たちとの境界帯が無くなっていることを感じます。昔は、炭を焼く匂いによって、その境界があったそうです。彼らは彼らで毎日の命を一生懸命に燃やしているのだとおもいます。撮りたいと思って持ち帰っていたあるツノのイメージが生まれたので、冬のうちに撮りにいきたいと思っています。

普段、行き交っている山は濃ゆい緑色と茶色の二色がベースになっています。そこに明るい黄色や、薄い緑色があらわれると撮りたくなります。

山の中で、撮った写真。という日記を書いていますが、その時のわたしには山が、風景が、こういう風にみえています。ということを確認するために書いているのだと思います。来年はそういう印刷物を作りたいです。読んでくれている方で印刷屋さんを知る方がいましたら、教えていただけると嬉しいです。

さて、3種類目の哺乳類は、こちらです。私が住んでいる地域では、毎日山の中に居ても、1日の中でこんなにも人間以外の動物に会える機会はそう多くはありません。狩猟免許を持っていて、命を仕留める立場にあるならば、すぐさま撃てる距離にいます。普段の食事風景を撮らせていただきました。落ち葉の中に何があるんだろう。いい食事ができているといいね。

彼にも食べさせないといけない家族がいるんですよね。

さて、クルマの中から森をみながら帰ります。来年こそは、山を買えますように。山を買って、自分の事務所にして、そこに人が集まる場所をつくりたいと考えています。

自宅に着くと、同居する母の大きな鍋を借りて、妻がおでんを温めていました。前日の夜から仕込んでくれていたので大根をはじめとする具材たちがしみしみで美味しかったです。

こちらは今朝の写真。毎日毎日おなじようで違う光景を撮ることが楽しいです。来年はもっと、体験したことのないことや出会うはずのなかっただろう人と会いたいです。

朝10時ごろに食べたレーズンパンが美味しかった1日。会うたびに、新しい彼氏か。ときいてくれる人はもういないけれど、それでも1日は続いていきます。

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松田佳之
山のため、子のため、写真のために使わせていただきます。いつかお会いできれば嬉しいです。

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