ミドリのハナシ ~オリーブ~
前回の続き、というか、名前の挙がっていたオリーブたちのハナシ。
スマホに『植物さん』なるメモがある。
これまで出会った植物たちがここに刻まれ、お別れしたら線を引いたり、増えてしまったら分岐させたりして、なかなかのスクロール数になっている。
そしてなぜかわからないけど、「さん」付けになっている。
そんなリストの最上部を見ると、
と書かれている。
もしかしたら、もっと前からいるのかもしれないので「?」付きになっている。
どうしてこんなに種類があるのかというと、オリーブの実を見たかったから。はて、何のことやら、となりそうだが。
実はオリーブは自家受粉しない。
種類によっては1本で結実するものもあるらしいが、基本的には異なる種類のオリーブが2本ないと実が成らないのだ。
「なんだか人間みたいだ」
と当時思った記憶がある。
種の保存に基づく生殖機能に限らず、もう少し広範に考えていて、それは今も変わらない。
結実すること、つまり、
形になること
立ち現れること
何かが生まれること。
それは単一では成り立たない。
対(つい)が必要なんだ、とオリーブは言っているように感じられた。
それは人かもしれないし、
誰かの思考や想いかもしれないし、
一つだけでは見逃されていた些細な事象かもしれない。
似てるけど違うものが出会って、
初めて結実する。
そんなオリーブたち。
ただし、悲しいかな、結実させたのはこれが最初で最後。
御覧の通り、鉢植えで苗木のオリーブなのでひょろひょろ。
結実してもあの写真以上に大きく成長させる力はない。
しかも実に栄養を持っていかれるので、結実させるだけ成長を遅くさせてしまってどうにもならない。
なのでウチでは、剪定をバチバチに行いつつ、蕾ができるゴールデンウィークくらいになると、実はおろか、花さえ咲かせないように全部取り去ってしまう。
全くひどい話である。
いつか彼らが実をつけられるくらい力がつくように、今はすこーし我慢してもらおうと思う。
あれだけ偉そうに結実の話をしておいて、実(身)も蓋もないことこの上ないね。