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【2024年上半期】短歌十選

例年、上下半期で記事一覧を振り返っていましたが、今年はもうきんるいのたんか元年ってことで、自選短歌をしたいと思います。

2024.01.01~06.30の間に詠まれた短歌が対象です!

Xの方ではハッシュタグに合わせて四選でやりましたが、欲の深いもうきんるいなので十くらい選ばせてもらいますね。

みなさんの心に刺さる一首があれば幸いです。

音楽は休符も大切らしいから真似してみようか
以下余白

比較的初期の頃の作品。
2番目のものとも近いけど、こういうちょっと外す感じが好きなのかもしれない。真面目過ぎない感じというか。

ただ、下二句「以下余白」は今見ると微妙ですね。
字足らずにしてあるのは休符感が出ていて悪くないんだけど、「余白(≒休符)」が少しわかりにくいような…改行して余白感を出したかったんですけどね。
私のイメージ的には縦書きで、「以下余白」の下の部分が余りに余っている、という表現にしたら余白でもいい気がするんだけれども。
そう考えると、「以下余韻」とかでも面白いかな。「余白」は視覚的なイメージで考えていたから無理が出たけど、聴覚的な「余韻」だったらイメージが広がりやすかったり、何か音が響き残っている感じがするかも。

表現って難しいけど面白いね。


春。風が誘う夜中のピクニック おやつと正気は500円まで

春と風の間の「。」については要検討。春風だけど、表現したいのは風なのと、「春に吹く夜の風」なので…と考えるけど結局答えが出ない。これだけ悩んでいるからこれでいい気がするけども。

個人的にターニングポイントになった一首。
短歌で描きたいモノの輪郭を掴めた気がする。上の句の描写的な表現と、下の句の意表を突く感じというか、ちょっと外した感じというか、遊びみたいなものを短歌で表現したいなと思っています。
500円までの正気(とおやつ)でどれだけ春の夜を歩けるのかなってワクワクしません?するよね。(強要)


さよならを言えずに春は過ぎていくドミノ倒しはまだ止まらない

これは4月末ごろに詠んだ一首。

3月末に職場を去った人がいて、そこまで何も感じていないかなぁと思ったら、ふと寂しさが出てきた気持ちを表現したもの。
「ドミノ倒し」という言葉がとてもぴったり来たのですが、逆にハッとさせられたのを覚えているんだよねぇ。ドミノ倒しって連続性というか、スタートからずーっと倒れ続けている運動を指している。そうすると、4月末で寂しさがこみ上げた瞬間だけではなくて、そこまでの間ずーっと、意識の下で寂しい気持ちが連綿と続いていたのかなと、自分で詠んで気付かされた感覚があります。

以前読んだ『起きられない朝のための短歌入門』で、短歌を夢と表現されていたけど、まさにそれだなと。
夢って、夢を見て自分の本当の気持ちに気付いたり、”実はこう思っていたのかな”って気付かされることがあると思っていて。短歌もそういう驚きに満ちていることがあって、それと出会った時の何とも言えない昇華感が楽しかったりもします。

よって、寂しさのドミノ倒しはまた続きます。もしかしたらそういうドミノ倒しは並行してたくさんあって、その模様がその人らしさだったりするのかな、なんて想像してみたり。

『起きられない朝のための~』の記事はこちら


この街は空が高くてあの街じゃ伸ばせなかった羽も伸ばせる

これは短歌エッセイにもしたから、そちらを読んでもらえたらいいなぁと。

本当にきれいな空だなぁって思って上を見上げていたら出来た一首でした。

何となく、空を見上げながら口先で呟くように詠んでみると、自然と体が軽くなる効果があると思います。

皆さんも出先で、是非。


手作りの極彩色の花束はいつも一色足りない気がして

これはカロリーメイトの電車広告から連想した一首です。

『人間には、いろんな栄養が必要だ。』

これを読んだときに物凄くカラフルな連想が浮かんだのと、「そんなに栄養なんてバランスよく取れないよ」という自分の嘆きみたいなものが聞こえて出来た一首でした。

自分の中の妙なこだわりで、”短歌は0から作りたい!”みたいなものがあったんだけど、こうやって連想的に作るのも楽しいなぁと思って最近ではお題系もやっています。


霧雨を「ファブリーズ」って呼ぶ君の声はおひさまみたいな響き

梅雨入り前の一首。
霧雨が降っていたら「ファブリーズみたいな雨だね」って言いませんか?私は言います(食い気味)。
その「ファブリーズ」って言うときには、楽しさや緩さがあって、ちょっとにこやかになっちゃう。雨の日だけど、やりとりの中にある密やかな明るさを持ち合わせている様子を表現しました。

ちなみにこれを作ってから”「」病”みたいなものに罹患しました。鍵括弧ってすごく便利で多用しちゃう…人物を登場させて発言させたり、場面を転換させたりが、これだけで出来ちゃうんだもん。オールインワン!


騒ぐから強く抑えたあの日からこころはずっと息をしてない

これね、個人的に結構好きなんだけど、あんまり見てもらえなかったのでお焚き上げ的に置いておきます。

こういうのありませんか?私はあります(二度目の食い気味)。
でも社会で生きていく上では沈黙もとても大切なんだよなぁーとも思う。でもあんまり強く抑えすぎると、自分がそもそも何に騒いでいたのか、何を大切にしていたのか分からなくなって、自分が死んでしまうことありませんか。

死にながらにして生きている(生きながらにして死んでいる)ゾンビはそういう象徴に思います。

ということで『アナと世界の終わり』を見てみて下さい。ミュージカル映画なんて普段は見ないけど、これは私のおすすめ。みてくれ。(懇願)


まな板のキウイは花火 包丁の音に遅れてパッと開いて

キウイ好きかよ、ってくらいキウイの歌を詠んでいます。嘘です。でも気が付いたらキウイが出てくるので、かき消しながら詠んでいます。もうキウイに改名した方がいいかもしれません。それはそれでかわいいね。

そんなキウイをずーっと見ていて、実際に用意している時に作った歌です。
包丁で切って、ぱたっと、ちょっと時間差で倒れた時に、まるで花火みたいだなって。キウイは夏の季語でいいですか?

これを見たみなさんは、今後夏にキウイを切るときに花火が見える魔法にかかりました。そして今日の帰りにスーパーでキウイを買いたくなります。ゼスプリの偉い人は私にインセンティブを下さい。

ちなみに違うキウイの歌と掌編小説はこちら


冷えた恋、電子レンジで温める 「荷が重い」って落ちるブレーカー

これはちょっと難産でした。
電子レンジにかけてブレーカーが落ちているのは自然なんだけど、「荷が重い」と言っている主体は結局誰なのか、ちょっとわかりにくくて微妙だなと思ったりしています。

が、意外と評価がもらえてありがたい限り。

電子レンジで恋を温めようとする浅ましさが個人的には好きです。こういう人間のしょうもなさが好きなのかもしれません。


改札が赤く閉ざして僕に言う「足りてないでしょ、お金以外も」

これが一番難産でした。そして、選ばれたのは「」でした。鍵括弧は本当に便利。大好き!

時々、私の中にこの鍵括弧の主体みたいな、厳しい人物像が見え隠れします。フロイト的に言うと超自我ですね。足りていないのは残高だけのはずだけど、「お金以外」のことも考えさせられてしまいます。それは人間性なのか、社会性なのか、地位なのか…。

改札が閉まった時のドキッと感と、何かを突き付けられているドキッと感、二つ合わせてドキドキ感を楽しんでもらえたら幸いです。(どや顔)


まとめ

上半期の自選十選でした。
それから、ここで御礼ですが、Xのフォローやいいねもありがとうございます。とても励みになっております!

あと、毎週あげている“もうきんるいのたんか”も見てもらえて嬉しい限りです。思いの外、ビュー数が多くて嬉しい限りなのです。
ちなみに、みんなもっと気軽にスキって押してくれてもいいからね。

今後もぼちぼちと続けたいと思いますので、よろしくです。

【あとがき】
気が付けば短歌生活も半年になりました。
びっくりするくらい楽しく続けられて嬉しいです。時々、うまく詠めなくて便秘気味になることもありますが、たのしさと心地よさが背中を押してくれます。
あとそうそう、今回入れなかったんですけど、10代に聞いた曲や歌詞に凄く影響を受けているんだなぁって痛感しました。
私、森山直太朗さんがすごく好きなんですけど、その作詞をしている御徒町凧さんの表現が時々降ってくるんですよね。もう随分聴いてないんだけど、身体に染み付いてるんだなぁと思いました。
他にもいろんな人が降ってくるんですけど、それはまた今度。

下半期もゆるくがんばります。

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はやぶさ
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