将来は何科にいくか?専門医のしくみについて
この記事では新専門医制度の基本領域とサブスペシャリティ領域について話したいと思います。
医師を目指す学生、研修医、若手医師、また基本領域専門医取得後の若手の先生の参考になれば幸いです。
まず、専門医制度というものがあります。それぞれの診療科ごとの「専門医」を標榜することができる資格です。
これまでの専門医制度は各学会が運用する認定プログラムを終了することにより専門医の資格を取得することができます。それぞれの診療科における一定の知識や技術があることの証明となり、医師それぞれのキャリアの志望に応じて取得可能です。
既存の専門医制度では、内科専門医、外科専門医などのメジャーなものから、糖尿病専門医、頭痛専門医などさらに細かく専門性と特化させたものまで非常に多岐にわたります。(ただ、めっちゃ多くてわけわからん!!…ってなったのです)
ただ、増えすぎた専門医資格と、その質の担保が課題となり、新しい専門医制度が導入されることとなりました。
新専門医制度では、それぞれの学会で独自運用されていた認定プログラムが中立的な第三者機関である日本専門医機構で運用されることにより、専門医資格の認定基準の統一が図られることになりました。
新しい専門性制度は19の基本領域と専門性の高い29のサブスペシャリティ領域から構成されます。
基本領域は家でいうところのいわゆる1階部分。2階部分に相当するサブスペシャリティ領域の専門医を取得するためにとても重要です。
サブスペシャリティ領域の専門性は基本領域に比べて専門性が高いため、取得のためには基本領域の段階で志望するサブスペシャリティ領域に関係するものを取得しなければなりません。
例えば、私の専門である脊椎脊髄外科の場合は、脳神経外科もしくは整形外科の専門医を取得していることが前提です。
ドラクエの職業で賢者になるためには僧侶と魔法使いを極めないと行けないですよね?そんな感じです(伝われっ!・・・・圧)
新専門医制度では基本領域を決めた早い段階で、キャリアの方向性がが決まってしまうので、学生や研修医の段階で、将来のどのようなキャリアを築いていくか決めていく必要があります。自身が描くキャリアを前提とした基本領域の選択が重要です。
とはいえ、そんなものすぐには決められないとう人も多いと思います。
私も、学生時代から脳神経外科に進むことは決めていました(これは多分早い方です)が、サブスペを決めたのは35歳です。
脳外の場合ですら専門性は、脳卒中の外科、カテーテル治療、頭蓋底外科、内視鏡、悪性脳腫瘍の臨床・研究、てんかん外科、脊椎脊髄外科、救急、リハビリなど多岐にわたります。
脳外においては、サブスペにこだわらなくても、カテーテルや、全身管理、神経診察などができればいくらでも働き口があります。市中病院勤務医として働く場合は、カテーテルか一般脳外科手術(主に顕微鏡手術)に習熟している必要はありますが。
実際、私は脊椎外科をかじっていましたので、就活はとても有利にすすめることができました。
芸は身を助けます。
何かしら強みがあるといいですね。脳外のおすすめはカテーテルと脊椎脊髄外科です。
脳卒中のカテーテル治療は、脳卒中救急を行う場合もはや必須です。詰まった血管をカテーテルで開通させる治療ができなくてはいけません。この治療ができる医者がいない病院では、結構いいお値段で求人があります。
なぜなら、カテ治療のできる医師がいることで脳卒中患者を受けやすくなる、それだけで病院の売上に大貢献ですから。
また、脊椎脊髄外科については手術の報酬が高く、手術適応の患者数が多いことがあります。都市部では脊椎専門の病院もあるくらいです。
さらには、今後、2050年くらいまで高齢者の数は減りません。頚椎症、腰部脊柱管狭窄症など脊椎の加齢性変化により症状をだす病気はまだまだ減りませんよ。
脊椎疾患を診ることができれば、脳神経外科医であっても整形外科系の病院への就職も可能です。
そして、脳卒中と違い、大部分が予定手術のため呼び出しも少なく、生活の質も確保しやすいです。
ちなみに緊急が多いというイメージの脳神経外科ですが、てんかん外科と脊椎脊髄外科が慢性疾患が主ですので、基本は予定手術、緊急は少ないです。
ライフワークバランスもとりやすいので、個人的には非常におすすめできます。
本日はこんな感じです。適宜更新したいと思います。