コロンビア旅行記③
8年前に「コロンビアマイルドコーヒー鑑定士」とよばれる資格取得のために、約3週間コロンビアに滞在したときのことを記載していきます。今回は第2段として「産地研修」に行った際の出来事を書きます。よければ①と②もご覧いただければうれしいです。
栽培実習
収穫実習を行ったマニサレスからアルメニアに移動。アルメニアはコーヒーの産地として有名で、キンディオ県の県都にあたります。キンディオ県、カルダス県、リサラルダ県の3県はコーヒー産地の文化的景観としても知られており、世界遺産に登録されるほどです。このアルメニアに位置する「EL AGRADO(エルアグラド)農園」にて栽培実習を行いました。
コーヒーという植物は収穫までに時間がかかる!
コーヒーはひじょ~に収穫までに時間のかかる植物で、安定した収穫ができるようになるには「3年」の月日を要します。それ以降10年ほどは一定の収穫量が期待できるのですが、20年ほど経過すると樹が大地から養分を吸収する力が弱くなり、これにともないコーヒーの実が結実しない、結実しても十分な養分が吸えないために完熟せずに、きなこや大豆のような香りを発し、渋みの原因となる未成熟生豆が生産されてしまいます。そのため、植樹何年かで木をカットして若返りさせたり、地面毎掘り起こして再度苗木から植樹し3年後の収穫を待つ という施策を区画ごとに行い安定した収穫量を望めるように生産者の方々は試行錯誤しております。
結実に至るまで・・・
コーヒーが実をつけるまでの流れを簡単に。
苗床に種を植えると発芽し、葉を出します。この際に明らかに元気の無いものや、根性の曲がったクネクネしたもの、元気すぎて養分を吸いすぎるであろうものは選別され、真っすぐピンと成長し出葉した個体だけをポッドに移し替えられ、その数か月経過を見たのち、成長の悪い個体を除いて生産エリアに植樹されていきます。1年目は樹高が低く、2年目は実がなる個体があるもののまだ安定した収量は見込めない。3年目でようやく植樹した個体が全体的に結実し、完熟し収穫に致ります。このようにひじょうに時間のかかる植物なのです。
ジャスミンの香り・・・?
コーヒーに限らず、実をつける植物は結実前に花を咲かすものが多いようなのですが、コーヒーがほんの数日だけ白い花を咲かします。そしてこの開花時期はジャスミンを思わせる香りが農園中にするとのことで非常に楽しみにしておりました。
参加者たちが「ほんとにジャスミンの香りだ!!」と狂喜乱舞しているなか、私は全く香りを感じず「な・・なにをそんなにハシャいでるの?」と聞いてみたところ、「いやすんごい香りだよ!」「もとしげ君鼻悪いんじゃないの・・?顔も悪いけど・・・。」と言われ、農園主からも「こんなに一斉開花することは珍しく、香りも非常に強いよ。え?わからない?」と驚愕の面持ちで心配されてしまいました。顔が悪いのは重々承知しているが、コーヒーの専門家として鼻が利かないのは致命的。この日の晩にはこのことを酒のツマミにされて「えっ!もとしげ君鼻も悪いの!?」とか「香りもわかんないのにコーヒー売ってるの??」とさんざんイジられました。
コロンビアからの帰国後
コロンビア旅行とは全く別の話ですが、帰国後に親知らずの鈍痛に悩まされていた私は歯医者に行きました。親知らずの生えかたを確認するためにレントゲンを撮ったのですが、歯医者様が「こ・・・これは親知らずが原因じゃないねぇ・・・。」と言われる。レントゲン写真を見たところ、本来何も映らない鼻腔内が真っ白になっていた。「最近頭痛とか、発熱することない?」と聞かれ、まさにドンピシャの状況。「僕は歯医者だからわかんないけど、恐らくこれは副鼻腔炎、つまりは蓄膿症だねぇ・・・。」
わたしの鼻腔内は炎症を起こしまくっており、発生した膿によって嗅覚が著しく低下しているそう。紹介書を書いてもらい、診察を受けたところ即手術&入院になりました。手術を受け持ったお医者様には「これは香り全くわからなかったでしょ!このレントゲンの具合からしても少なくとも1年間は嗅覚に異常をきたしていたと思うよ」と言われる。私は「このコーヒーの香りは非常に華やかで~」「これはとってもフルーティで~」ともっともらしいことを言いながら営業していたのを振り返り非常に恥ずかしくなりました。手術後に初めて飲んだコーヒーがこのコロンビア産のコーヒーだったのですが、「コーヒーってこんなに香りあったの!?」と衝撃的だったのを覚えています。おかげで今は鼻には全くの問題なく生活しております。この翌年にブラジルに出張にいくのですが、その際は強烈なジャスミンの香りを堪能することができました。その④に続く・・・。
オンラインショップを開設したので、リンクを貼らせていただきます。