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なぜ洋楽は英語学習に効果的なのか?

洋楽を使って英語を勉強した、あるいはしたことがあるという人は多いと思います。そこで洋楽を英語学習に取り入れるメリットをお話しましょう。

1. 不安や緊張をほぐし「繰り返し」が苦にならない

音楽は、リズムやビートが体で感じられるため、感覚に訴えてくる「心地よさ」を持っています。この「心地よさ」があるからこそ、外国語学習の際に感じる不安や緊張を低くし、習得に必要な「繰り返し」が苦痛なく楽しく続けられます。無機質で単調なドリル練習を、やりがいのある娯楽に変えてしまう優れた教材と言えます。

2. 英語の持つリズムやイントネーションが身につく

洋楽の一番のメリットは、アーティストとそっくり歌えるようになろうとすることで、強弱のメリハリがついてきて、英語らしさを作り出すストレス、リズム、イントネーションなどを楽しみながら身につけられることです。

実は、英語を話すときの「自然さ」や「しなやかさ」と深く関係しているのが、このリズムやイントネーションだと考えられています。リズムは人間が生物として持っている根源的なもので、人はメッセージがリズムで送られてくると進んで受け入れる習性があると言われています。そして演奏が終わってもその響きが頭に残っていて、思い出しやすいのもメリットと考えられます。

3. 発声に必要な「息」の強さが身につく

英語の発音には「息」が大事です。英語の息は日本語の息の数倍強いといわれます。一般に、日本人は息が弱いため、英語を話すときに声に力がなく、自分が思っている以上に音が伸びず、響かず、小さいボリュームで聞こえてしまいます。継続的に声に出して歌うことで、発声器官も鍛えられ、英語の発音に必要な「息」の強化につながっていきます。

前々回の記事に書いた「アルファベット」や「数字」を使っての発声練習は、息の強化にとても役立つトレーニングですから、毎回、最初の声出しウォームアップとして利用してみてください。

4. リスニング力もついてくる

「話す」ことと「聞く」ことは表裏一体で、自分で発音経験を積んだ音声は聞き取りが容易になると言われています。つまり発音能力が高まれば高まるほど、リスニングにもプラスの効果があるということです。

ここで言う発音能力とは個々の単語だけでなく、単語と単語がくっついたり、脱落したりといった音声変化や、リズム、イントネーションなども含みます。アーティストのように歌えるよう自分で繰り返し練習を積むことで、頭の中に持っていた音のイメージと、実際に発音される音のギャップが徐々に埋まってきます。これがリスニングにも波及して聞き取り力があがってくるというわけです。

5. チャンク(意味のひとまとまり)が身につく

意味の分かったものを継続的に口にすることで、それほど意識しなくても単語やフレーズ、定型表現などがスラスラ出てくるようになります。

さらに声に出して歌うことで、文のどこで息継ぎをすればいいのかが体得できます。息継ぎは単語同士が連なってできた意味のまとまりごとに行われるため、うまく歌えるようになるにつれ、このまとまった意味の単位(チャンク)で処理ができるようになります。

6. リアリティーのある言葉使いが学べる

洋楽の歌詞は、教科書的な英文とは違って、実際に使われている生き生きとした口語表現の宝庫です。

例えばI’m game.どういう意味だかわかりますか?これは人から誘われた時の返事などによく使われます。名詞の「試合、ゲーム」ではなく、形容詞で「やる気がある、乗り気な」という意味です。

A: Let’s go see a movie tonight. (今晩映画見に行こうよ)
B: I’m game. (いいよ)

という具合で、「話に乗るよ」「いいね、そうしよう」「もちろん」ということです。

Mr. Bigの大ヒット曲To be with youの歌詞にWe’ve been through.というのがあります。これはthroughが「通過」を表すことから、「活動の終了」や「困難などを経てきた経験」の意味になり「(男女関係で)私たちはもう終わり」、「私たちはさまざまな経験を共にしてきた」という意味で使われます。

WhamLast ChristmasOnce bitten and twice shy(一度噛みつかれると、二回目は引っ込みがちになる)というのがあります。これは「一度失恋で痛い思いをしたら、次からは用心深くなってしまう」ということを表しています。

Once bitten and twice shy
I keep my distance,
But you still catch my eye.
Tell me, baby,
Do you recognize me?
Well, it's been a year,
It doesn't surprise me.

Last Christmas By Wham

このように歌の歌詞では、カジュアルな言葉の使い方、文字通りの意味だけでなく、場面、状況に合った話し手の心情や意図、さらに比喩や皮肉といった高度なことばの技法までも学べます。

7. 記憶に残りやすい

歌詞には成功、挫折、失恋など身近に感じられるテーマが多いため、自分事として感情移入しやすいのも魅力の一つです。関係のない文をバラバラに覚えるよりは、メロディーに乗ったストーリー性のある文章に感情的色彩が加われば、より深く記憶に残りやすくなります。

8. 英文法がより身近に

歌詞には、中学、高校で学んだ英文法がリアルに登場してきます。特に、気持ちや心情を扱ったものが多いため、愛を語るlove、欲求を表すwantneedなどの「動詞」自分の気持ちを添える「助動詞」そして、非現実、願望を表現する「仮定法」といった項目は頻出です。このように洋楽は、学校の授業での学びにリアリティーを与えてくれます。

さらに単語の意味と文構造がきちんと分かった英文を、リズムに乗って歌いながら何度も口ずさむことで、文法や文型を内在化させる効果も期待できます。

9. 話の話題に使いやすい

Music is a universal language.(音楽は世界共通のことば)と言われるように、国境、文化を越えて普遍的なものです。それゆえ名曲や流行の曲などは共通の話題として、利用価値が高いと言えます。

また、カラオケなどに行って一緒に歌えれば、一気に気心が知れて相手との距離がぐっと縮まること請け合いです。

私自身、初対面の人と話題に困ったとき、音楽の話題で救われたことが何度もありました。以前、オーストラリアから来た高校の校長夫婦と車の中で一緒に過ごす機会がありました。年代的に知っていそうなオーストラリア出身のバンドの名前(INXS, MEN AT WORKなど)を出して、彼らのヒット曲をいくつか上げたら、案の定話が盛り上がりました。まさにMusic brings people together.(音楽は人を結ぶ)ですね。

とまーこんな理由から、洋楽を英語学習の教材として使うメリットがあるわけです。
 



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