狂気は我々のすぐそばにある。|『Chime』【映画感想文】
最近、これまであまり観なかったジャンルの作品も観たいなと思い、いろいろ鑑賞しています。
今回はついにホラーに挑戦。
(ホラーは大の苦手)
45分の作品だし、まぁいけるでしょう!と思っていたら……
いや、怖!!!!!!!!!
これで45分???1時間以上なかったか?????
と時間感覚がおかしくなってしまうくらい、完成度高く恐怖が凝縮された作品でした……。
あらすじ
感想&考察
※なるべく核心に触れないように書いてますが、ほんのりとネタバレがあるかもしれません!
チャイムの正体
この作品のキーとなるのは”音”。
作中で描かれるチャイム(騒音)は、我々が社会の中で受ける“ストレス”の象徴なのではないでしょうか。
聴覚は、視覚と違って自分の意志で完全に遮断するのが難しい(一応、耳を塞ぐという手はあるけれど)。
ストレスも同じ。
世の中には、自分ではコントロールしがたい、思い通りにならないことがたくさんあります。
主人公・松岡にも、さまざまなストレスがありました。
家族との関係がギスギスしている。
転職面接がうまくいかない。
料理教室の生徒が素直に従わない。
まず、松岡の家族がかなり変なのです。
妻は、なぜか食事中にいきなり席を立って庭に空き缶を捨てに行くんですが、それがものすごい量。3人家族で、それ何か月分???ってくらい。
しかも、捨てる音が尋常じゃないくらいうるさい。
空き缶を踏み潰す顔も、何かにとり憑かれたようでめちゃくちゃ怖い。
そして息子もちょっと変。
思春期だから?というのはあるかもしれないけど、いきなり笑いだしたり、父と会話しているけど信頼関係が築けている感じがまったくしない。
中学生なのに、「先輩が会社作ったから20万貸してといわれた」と父に金を要求したりする。
ストレスに気づいてしまったら、戻れない
おそらく、こういう家庭内の異様さに、これまで松岡は気づかなかった(あるいは気づかないフリをしていた)のではないだろうか。
しかし、田代の一件で、自分もストレス(チャイム)に囲まれていることに気づき始めてしまった。
自分ではコントロールできない、
ストレス、ストレス、ストレス……。
これらが積み重なったとき、ふとスイッチが入るように狂気の世界に足を踏み入れてしまうのかもしれません。
そう、狂気は我々のすぐそばにある。
レストランで、見知らぬ女性にいきなり襲いかかった男がいたように。
我々は、狂気と隣り合わせで生きているのです。
菱田明美との一件後、松岡が橋を渡っていたシーンは、松岡が狂気の世界へ歩を進めているように見えました。
脳が入れ替えられる瞬間
もうひとつ、印象に残っているシーンがあります。
事件後、同僚に「菱田明美が教室で松岡を待っている」といわれたシーン。(このシーンめちゃくちゃ怖かったんですけど!!!)
恐怖で叫んでいた松岡が、鏡の前で急に真顔になる場面がありました。
これが、田代の言っていた「脳が入れ替えられた」状態なんでしょうか……。
そして日常は一変する
やがて松岡は、家の中も騒音で溢れていることに気づいてしまいます。
妻が空き缶を捨てる音。(いやだからなんでそんなに空き缶あるん?)
息子がインフィニティキューブを弄ぶカチャカチャという音。
のれんのビーズがぶつかり合う音。
ごみだらけの部屋。
壊れたインターホン。
ラスト、松岡が玄関のドアを開けると、世界は一変しています。
騒音で溢れ、色彩も狂った世界……。
家の中に戻った彼は、静寂を取り戻せたんでしょうか?
それとも、彼の頭の中ではずっとチャイムが鳴り響いているんでしょうか。
↑このビジュアルポスターが、作中の映像と逆向きなのも意味深です……。
(作中では下手から上手へ向かっていた)
(これの意味わかる方いたら教えてください)
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