読書日記#2 「新しい封建制がやってくる グローバル中流階級への警告」
ジョエル・コトキンの「新しい封建制がやってくる」を読んだ。どこかの書評で知って面白そうだと思ったのだが、面白いどころかまさにこれからやってくるディストピアの世界を語っているようだ。
新しい封建制はGAFAなどの巨大テック企業による市場の寡占状態により、中流階級が減少し、富を手にする貴族と雇われるだけで選択の自由がない労働者に二分化し、中世とは異なる封建制度がうまれつつあるという話である。
グローバル経済により世界中ほぼ一体化した経済圏となった現在、この巨大テック企業や一部の超富裕層が貴族化し、労働者の貧困化は著しく、階級が固定化しつつあるのはアメリカだけでなくヨーロッパやアジアでも同じ傾向にある。
この本を読んでいる時、まさに今の日本ではないか、と思いながら読んだ。
今やインターネットがないと何もできない。役所のお知らせも町内の掲示板や会報ではなくSNSを使い発信するケースが多くなり、SNS利用者でないと知らない情報が多く住民に対して不公平な状態をつくっている。
ネットにアクセスできない情報弱者は情報の格差だけでなく、いずれ経済格差に結び付く。
インターネットが世にでた時、なんと素晴らしい技術が現れたのかと思った。時間や場所に関係なく世界中の人とコンタクトがとれるツール。PCに向かい検索するだけでいろいろな調査ができる。無料Wifiがあれば誰でもネットの世界の情報にアクセスできる。なんて便利な世の中になったことか、そう思った。それが最近ではパスワード認証が複数になり、何かのサービスを利用するのに携帯の番号が必要になるケースも多くなった。便利だと思っていたものが不便になっていく。
SNSも誰でも手軽に使える情報発信ツールであり、うまくいけば広告収入を稼ぐことができる好都合なツールであったが、便利さゆえに誰もが発信しだし、それまでお金をだして購入していた情報やサービスが無料で提供されるようになった。その結果は低賃金化である。
技術革新が進めば人の生活は便利になり、余暇を楽しみながら心に余裕がある楽しい生活を送れると多くの人は思っていたのではないだろうか。
それが、今や人間は技術の進歩による生成AIや顔認証等で人々の生活を監視、行動を追跡され、情報を収集されテック企業の金儲けの道具になってしまった。この本ではそうしたことが述べられている。
希望があるかといえば、それはこうした本を読み、現実を知り、おかしなことには声をあげて意思表示をし続けることから行き詰ったこの新しい封建制を変えることにつながるのだと思う。
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