【書籍紹介】定年ひとり起業 大杉潤 著
動画版は、こちら。
音声配信スタンドFMでもフォローさせて頂いている大杉潤さんの本著作、ずっと気になっていました。
そんな折、先週、所属会社で二日間にわたるアッパーミドル研修(セカンドキャリア研修)があり、そこで講師から頂いた推奨本リストに本書がありました。
これは、きっと神様のお告げであると思い、早速、読了しました。
定年ひとり起業がメソッドとして確立していて、明確に言語化されている素晴らしい1冊でした。そして、ビジネス書好きで、2,500冊分の書評をブログに掲載されているという点も、同じビジネス書愛好家として、勝手に親近感を抱きました。
以下に抜粋してご紹介します。
この先を読み進めたくなる、魅力にあふれた序文です。
■著者が提唱するトリプルキャリア理論
働く期間を3つに分けてライフシフトをしていく考え方。
ファーストキャリア。会社員として雇われる働き方。
セカンドキャリア。定年後の雇われない働き方。60歳前後。
サードキャリア。ライフワークに絞り込んだ理想の働き方。75歳前後。
■定年ひとり起業5原則
会社員や公務員として働いた経験を長く持った上で50代または60代というタイミングで独立起業する。
個人事業主として開業するか、ファミリー・カンパニーを設立して独立し、原則として自分ひとりで事業を行う。
自宅を事務所にするなど初期投資を最小限に抑え、多額の仕入や在庫保有を行わず、借金もしない、家族以外の従業員を雇わないという低リスクの事業形態とする。
厚生年金を確保した上で、年金プラスアルファの収入、月5~10万円程度を目指す規模の事業からスタートし、好きなことを仕事にしてストレスなく働く。
会社員時代の経験、知識、スキル、人脈をフル活用し、足りないリソースは外部に業務委託する形で規模を拡大せずに長く働くことを最優先に事業を運営する。
■50代、60代というタイミングを推奨する理由
会社員時代にスキル、能力を蓄積する。また、今後の厚生年金のベースとなる勤務年数を積み上げる。そのような基礎を築いた上で、起業に移行する。
会社内でこれ以上の出世はないと自覚したタイミングで起業準備にとりかかる。手を抜くということではなく、次のステージを見据えて必要なスキルを研いたり、社外ネットワークつくりに励んだりする。
■ひとり起業を推奨する理由
ひとりで背負う不安から、仲間で共同で起業しようというケースをよく見るが、これはお勧めしない。事業がうまくいかず責任のなすりつけ合いになったり、逆に成果を巡って主導権争いになったりと分裂する可能性大。経営責任は一人で担うべしというのが著者の持論。
また、会社が潰れる理由の大半は運転資金のショート。その最大の対策は固定費を極力下げること。人件費は最大の固定費なので、従業員は雇わない。従業員を雇う規模まで事業を拡大しないことが重要。
■長く働き続けることを最優先する
リスクを取って事業を大きく伸ばすのではなく、年金プラスアルファで月5~10万円程度の収入を目指す。お金を使わない、借金しない、人を雇わない、リスクを取らないという原則を堅持することが定年ひとり起業で成功するコツ。
■定年ひとり起業に向いている仕事
独立後、すぐに結果が出ることは稀。軌道に乗るまで2~3年はかかる。従って、十分な収入が得られなくてもやり続けられる仕事を選ぶ。
中高年に向いているのは、教える、伝えるという知的労働。オンラインでの情報発信をベースに会社員として蓄えて来た知識、経験、スキルを教える。その際、世の中のニーズを捉える力が必要となり、加えて足りない部分を自らをアップデートする努力も求められます。
■著者の年金戦略
63歳から厚生年金の比例報酬部分を受け取る。
65歳から厚生年金のみを受け取り、基礎年金は受給を繰り下げる。
65~67歳の途中まで加給年金を受け取る。
75歳から184%に増額された基礎年金を受け取る。
定年再雇用で会社員として厚生年金に加入している状態であれば、毎月の収入が28万円を超えてしまうと年金の一部または全部が支給停止になってしまいます。
一方、個人事業主に切り替えてフリーランスで働けば、国民年金加入者に変更となる為、厚生年金のカットを避けられます。
また、個人事業主や小規模企業経営者のみが加入できる小規模企業共済への加入がお勧め。月額7万円、年額84万円まで積み立てが可能で、かつ、全額が所得控除となるお得な制度。
定年前後にひとり起業するメリットのひとつが年金の最適化。最初からフリーだった事業者と比べて、会社員として有利な厚生年金をもらいながら、終盤で国民年金にシフトして更なる年金の増額が目指せるからです。
■著者のひとり起業実例
主に以下の5つから構成されています。収入の多い順に紹介します。
企業研修の講師。
中小企業の経営コンサルティング。
個人コンサルティング。キャリア、ブランディング等。
テレビ、ラジオ、webメディアでの情報発信。出演や寄稿。
ビジネス書の出版。
■妻を社長、自身は業務委託フリーランスにしている理由
きっかけは、独立に際し、奥さんからの反対をどのように説得するかに悩んでいた際、「いますぐ妻を社長にしなさい」坂下仁著に出会ったこと。そこで妻社長メソッドを学び、実践されたそうです。
具体的には、妻を社長としたひとり合同会社を設立。著者はフリーランスとして、合同会社から業務委託を受け、企業研修、コンサルティング等を実施。顧客との交渉や請求書発行等のバックオフィス業務、資金繰り等の経営管理は社長である妻が担当というスキーム。
本スキームのメリットとして、以下6点を挙げています。
夫婦の共同事業として、夫婦間で経営やお金に関する価値観を共有できる。
妻が経営管理、夫が事業の開発と遂行と役割分担できる。
資金の流れが透明になり、夫婦間のコミュニケーションが活発になる。
法人取引とすることで、大企業との取引もスムーズになる。
様々な節税の仕組みを活用できる。
フリーランスとして稼げば、厚生年金をカットされない。
■株式会社と合同会社のどちらが良いか?
著者は定年ひとり起業ならメリットしかなく合同会社一択と主張します。
合同会社は設立費用が株式会社の半分、司法書士を使っても15万円程度で済む。
株式会社で認められる経費のうち合同会社でダメなものは1つもない。
株式会社の役員には任期があり、交代や再任のたびに登記費用がかかる。
株式会社には決算報告書の開示義務があるが合同会社にはない。
株式会社は毎年、官報に決算公告を掲載しないと法令違反になる。官報でも毎年数万円がかかり、官報以外の媒体に決算公告を掲載すると更にコストがかかります。
合同会社に信用力がないというのは昔の有限会社時代の話。今は、むしろ合同会社の方がスマートで賢いというイメージすらあるそうです。
本書では、実際に定年ひとり起業された3人の方の実例も紹介されています。
本書を読んで、私自身も、改めて定年ひとり起業を本命とすべきと感じました。
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