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平田麻莉さんに学ぶパラレルキャリアという生き方
プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会代表理事を務める平田麻莉さん。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2020」も受賞された方です。
平田さんは、協会立ち上げの背景を、以下の通り解説されています。
人生100年時代と言われ、1億総活躍で定年退職後の方や女性も長く働き続ける社会ですから、多様で柔軟な働き方が求められています。また、企業側も、人材不足が深刻になり、人・モノ・金の中で人が一番の希少資産になっていく中、人の部分を皆でどうやってシェアして最大限使っていくのか。その時に、いわゆる囲い込む形の雇用にこだわらない、業務委託でのプロジェクト型の人材活用がますます広がってきているのです。
しかし、そのような働き方には、まだ社会保障や契約ルール整備などの課題があります。そこで、フリーランスの課題、ニーズを窓口として集めて、大きな声として届けていく存在が必要かと思い、2017年1月に協会を設立して活動しています。
同協会におけるフリーランスの定義は以下の通り。
特定の企業や組織に専従しない、独立した形態で自分自身の知見やスキルを提供して対価を得ている人
今、パラレルキャリアという働き方が注目を集めています。ちなみに、パラレルキャリアというのは、経営学の神様ピーター・ドラッカーが提唱した言葉と言われています。
これからの社会では企業の寿命はだんだん短くなり、個人のプロフェッショナルとしての寿命のほうが長くなる。だからパラレルキャリアは副業とは違い、自分の持っている力を、組織を超えて、ネットワークを使っていかに社会貢献していくかということに主眼を置いています。
パラレルキャリアの重要性について、平田さんは以下の様に語っています。
協会でも「複業」と、いわゆるサブの意味の「副業」を使い分けています。フリーランスはもともと複数の顧客と取引しており、業務の配分は顧客のタイミングや状況、自分のキャリアステージやライフイベントによって常に変わっていきます。どちらかがメインとかサブではなく、戦略的にポートフォリオを分散している。
キャリアデザインといってもコントロールはできませんから「プランドハプンスタンス」(計画された偶然)で成り行きの側面も大きいですが、キャリアを複線化しつつ柔軟にポートフォリオを組み替えていくことが、今後はフリーランスだけではなく会社員の方も必要になってくるのではないかと思います。
平田さんは、先日、「地方×パラレルで実現。新しいキャリアデザインと経済再生」というNews Picksの番組に出演され、パラレルキャリアについて詳しい解説をされていました。
キャリア形成や収入源の複数化の点から副業に関心のある都会のプロフェッショナルと、人材不足に悩む地方企業・自治体のマッチングに最前線で取り組まれている方々のセッション。
パラレルワーク人材を越境人材としてプロフェッショナル不足に悩む地方企業にマッチングさせることに商機あり。という話が平田さんを座長に展開されました。
背景としては、テクノロジーの発展で副業・独立の敷居が下がったことに加え、政策的に副業を推奨していることもあります。
一方で、少子化による労働人口減少が特に地方では深刻化しており、「都会の優秀な人材をシェアする」という切実なニーズが生まれています。
番組の中で紹介された、「日本のパラレルワーク<現状と課題>」という図がとてもわかりやすいです。都心と地方、企業と個人という4軸で整理されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1724237814050-t2wXAFr0ic.png?width=1200)
1.都心×個人
コロナで可能になった「場所にとらわれない働き方」と地方回帰。
収入のポートフォリオ分散:小遣い、副業、一本足打法のリスクヘッジ。
キャリアアップ:転職経験、経営者視点、自己理解、他選択肢、幅の拡大。
2.都心×企業
人材育成:キャリア自律、スキルアップ、経営者視点。
優秀な人材の採用と定着:若い世代を中心に副業可能が企業選びの要件に。
イノベーション。
3.地方×個人
働く先やワークスタイルの選択肢が限られている(特に女性)。
スキルアップの機会が限られている。
4.地方×企業
人材不足:労働人口減少や専門人材の不足。
DX、EC、グローバル化など未来の課題との適合。
必要な時に必要な分だけ、手伝ってくれる人が欲しい:固定費負担の軽減。
一見、メリットしかない越境人材マッチングですが、成功させるにはコツがあります。特に受け入れ企業側には、以下の4点が重要であると平田さんは解説されています。
やりがいや地域貢献に繋がるミッション、ビジョンを言語化して伝える。
成長や実績に繋がる経験の提供。実績がポートフォリオとして履歴書に書けるように。
必要な情報にリアルタイムでアクセスできる様なインフラの整備。
地域の人々との交流機会の提供。地域にとっても関係人口創出に繋がる良い機会。
更に、失敗事例としては、以下の2点が紹介されていました。
越境人材が「都会が上、地方が下」という上から目線で評論家気質。
受け入れ企業が「とにかく来てくれ」と期待値が曖昧。
どんなに事前に精査をしてもミスマッチを完全に防ぐことは難しく、先生扱いも、下請け扱いもしない。チームのパートナーとして扱うことが重要であると平田さんは説きます。
越境人材に対するアドバイスとしては、以下の2点。
自分のキャパシティーを見極め、適切に仕事を受ける。
期待値を上手にコントロールする。
期待値を上げ過ぎて、オーバーフローしてしまうと、結局、期待に応えられず、貴重な信用資産を傷つけてしまうことになる。例えていうなら、お酒と一緒と番組では盛り上がっていました。
改めて、パラレルワークのメリットを整理すると、以下の3点となります。
1.金銭報酬
2.人脈・ネットワーキングの拡大
3.心理的報酬(やりがい、自己実現)
世代によって期待値がそれぞれ異なるという話も興味深いです。
若年層:裁量権が大きい。会社では歯車と感じている。
中堅層:自身の専門性を深めキャリアアップに繋げる。
シニア層:セカンドキャリア準備。社会の役に立てている実感。
これは、本業としての企業側にとっても注目すべき内容と思われます。会社として戦略的に社員に複業体験をさせることで、若手にはモチベーションを与えられ、シニアにとってはセカンドキャリア支援にもなります。
特にシニア層は下手に飼い殺し状態にしておくと、本人の貢献度が低くなるだけでなく、周りにも悪影響が出るので、この様な形で活躍の場を与えるのは、皆にとって幸せなソリューションになるのではと思います。
■動画版は、こちら。
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![マルセロ| 事業プロデューサー](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/110569032/profile_585cc8bcf28b898f1f4842434f22f780.png?width=600&crop=1:1,smart)