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【書籍紹介】ブスのマーケティング戦略 田村麻美 著

早稲田大学、恩蔵教授のマーケティング本を購入した際、本書が一緒にレコメンドされてきました。これは面白そうと衝動買いしたところ、期待を上回る内容でした。

著者が実際にブスであるかどうかは主観の問題なので、ここでは言及しません。少なくとも、著者は自分自身をブスと定義し、その上でブスが意中の男性を射止め、人生の幸せをつかむ為にマーケティングを駆使。具体的に著者がどの様に戦略を立て、実行していったかをマーケティング理論をベースに解説した、極めて実践的な1冊です。

一般的に、目的達成のために戦略と戦術を構築し、実践するプロセスをマーケティングと呼びます。本書では、意中の男性を射止めて、幸せな人生を送るという明確な目標設定に対し、ブスであるというプロダクト(自分自身)を磨き、ブスでも通用する市場セグメントを絞り込み、その中でブスがハンディとならないターゲットを特定。相手に自分の魅力が伝わるアプローチを実践するというマーケティングの基本プロセスがわかりやすく描かれています。

ビジネスを実践する上で、完璧な手札を有しているということは稀です。不完全な手札をベースに、勝ち筋を見つけていく。自身が勝てる市場セグメント、ターゲットを絞り込み、自身の強みが活きるポジショニングを確立するというSTPのお手本の様な事例と言えます。

そこに、著者独特のユーモラスな文体が加わり、スラスラ読めるところも本書の推しポイントです。

以下に本書で紹介されている著者の金言を紹介します。

ブスが勉強を頑張らなければいけない理由が3つある。
1.自分に自信をつけるため。
2.パートナー探しに繋げるため。
3.独身でも生きていける経済力をつけるため。

 仮に子どもを産むとなった場合、自分のブスが遺伝する。 絶対にイケメンと結婚したい。私の勉強の動機もイケメンとやりたいがほとんどすべてだった。

優秀な男とは偏差値の高い男である。 偏差値の高い男は、偏差値の高い学校にいる。偏差値の高い男に釣り合うために、自分も勉強をがんばる。

合コンの目的は、以下の6点。
1.市場調査。ブスでも戦える市場を見つける。
2.セックスに持ち込む。
3.彼氏候補との出会い。
4.コミュニケーションの鍛錬。
5.飲み会として楽しむ。
6.次回の合コン幹事と知り合う。

 雰囲気がよくなったら、二次会だ。横並びのバーに行こう。カウンターです、カウンター。そして、絶対に薄暗いバーに行くこと。暗いことでブスを隠そう。最大限にブスを隠そう。 そして、さわろう。

初デートの際は、明確にゴール設定しよう。デートして、人柄的にもノリ的にもいまいちだったら、普通に帰ろう。付き合いたくはないが、セックスはしたかったら、22時の時点で、どうしよう終電なくなっちゃったと言えば良い。付き合いたければ、最初のデートでセックスはしないこと。男性は落とすまでを楽しむ動物。付き合う前にセックスしたら終わりです。

 合コンは遊びでも娯楽でもない。単なる出会いの場でもない。本書の戦略上もっとも大切な市場調査をおこなう場である。 異なる市場で自分という商品を試す、またとない機会なのだ。 とにかくまず最低五回は合コンに行ってみてほしい。五回とも違うメンツで。

合コンでは、好きになってもらわなくていい。自分だって、相手を好きかどうかわからないだろう。この時点で好きと思っていたとしたら、それは幻想です。ダメもとで、軽く誘う。打席に立つ機会を増やす。

合コンという市場調査を経てわかったことは、私という商品が、プライドの高い童貞をターゲットにしたニッチャーたり得ることである。 もともと自信がないブス。だから自信がない人の気持ちが痛いほどわかる。 自尊心をどう満たしてあげればいいのか。 プライドを傷つけることなく、初体験に持っていくための方法など、バリエーション豊かな実践例を持っている。

ニッチャーの私の売りは、傾聴の技術とほめ続ける会話、人の努力をおもんばかり共感し、気持ちよくさせることである。

プライドの高い男は、デートの際、自分がリードしたいと思っているに違いない。しかし、失敗したら怖いと思っているようで、全く手を出してこない。でも、私がここでリードしてはダメ。高学歴童貞は、自分がリードしていると思わせるよう、こちらがお膳立てしてあげると安心してのってくる。

男にちやほやされたいのであれば、女の割合が低い職場を狙ったほうが効率がいい。 税理士の女性比率は約15%。そして、20代は数パーセントしかいない。 女子が少ない世界では、ブスでも女でありさえすれば希少価値が生まれる。さらに若さがあると、なぜかちやほやされる。不思議なものだ。

旦那さんとの出会いは、御徒町での合コン。2名の会話が上手なモテ男と、1名の無口な男。その無口な男が、後の旦那さんとなります。周囲の雰囲気を悪くするような無口ではなく、ただ、にこにこしているだけの存在感のない無口。質問すれば、簡潔に回答してくれるが、まったく会話が広がらない。ただ不思議とそれが苦痛ではなく、居心地の良さを感じたそうです。

すかさず、週末のデートに誘い、そこで、とりあえずつき合ってみませんかと切り出しました。面食らう彼に対し、友達期間が長くても、実際につき合ってみないと本性がわからない。無駄に長く友達づき合いをするより、つき合った方が早いでしょと押し切ったのは、著者がこれまでマーケティングを駆使して、ここはいけると確信があったからだと思われます。

本書では、合コンで受ける会話術や、将来の旦那さんとの全然広がらなかった会話の実例も紹介されていますので、興味を持った方は、是非、お読みください。

最後に、旦那さんの神アドバイスを紹介して本記事を終えたいと思います。本書執筆のオファーを受けた際、当初は顔も出さず、匿名で生々しい描写は避けようと考えていた。一方、それでは説得力に欠けるし、面白い本にならないと悩み、旦那さんに相談した際の旦那さんの助言です。

赤裸々に書かなければ説得力がないと俺も思う。だから気にせず書いたほうがいい。そして、いまの麻美さんは過去の経験があってのもので、その経験をしてきたから俺を選んでくれたんでしょう。だったらその経験に俺は感謝しなければならない。俺以外にも麻美さんの経験則で救われる人がいるはず。これはブス側だけでなく、俺のような相手側も幸せにできる本かもしれない。

■動画版は、こちら。


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マルセロ| 事業プロデューサー
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