ソウルフード 津田かぶ漬
リタイア生活を株式投資で楽しむモト3の妄想エッセイ
1年前に、大阪のデパ地下をいくつか廻って探してみたが見つからなかった。諦めて1月中旬にネット販売を検索したら売り切れだった。
今シーズンこそはと、12月上旬にネットで注文し、正月前に届けてもらった。もう10年以上ご無沙汰していた懐かしい食材に再会した。
津田かぶは松江市の津田地区の特産品だったため、この名前が付けられたらしい。調べてみると、滋賀県の「日野菜かぶ」が原種で、江戸時代の参勤交代で松江藩に持ち込まれたらしい。
そう言われてみると、日野菜も私の好きな野菜の一つで、昨年も道の駅で売られていたのを買ってきて浅漬けにして美味しく頂いた。確かに日野菜と津田かぶとでは見た目は大きく違うが、味はどこか似ているところがある。原種説に納得。
子供の頃、出雲地方で育った私は漬物が好きだった訳ではないが、食事の時はもちろん、お茶請けにも漬物が出るので、津田かぶを食べる機会は多かった。正月に実家に帰省した時、関西育ちの妻はお茶請けに出てきた津田かぶ漬に驚いていた。
なぜ、私が津田かぶ漬をソウルフードと感じて懐かしむのか? それは津田かぶ漬には、苦い、甘い、渋い、旨いのような言葉では表現できない他と違う味を感じるからだ。ネットの説明文には「独特の高い香りと甘味」が特長だと書いてあるが、確かに独特の味なのだ。
どう独特なのかを表現しようと思っても、私には良い表現が思い当たらない。京都の千枚漬けと比べると、千枚漬けほどの一様な食感と甘さと上品さはない。歯ごたえのある茎や葉は噛むほどに、旨みのある味が染み出るような感じだ。
日野菜にも同じような独特さを感じるが、日野菜のピンクと津田かぶの紅紫色ほどの違いがあるように思う。つまりクセの程度が強い。しかし、そのクセは食べにくいクセではなく、上品さを失うほどのクセでもない。
以前に市民農園を借りていた頃、津田かぶの種を取り寄せて栽培したことがある。下手な栽培でも立派な津田かぶが育った。ただ、適度な大きさになった時に素早く収穫して食べないといけない。大根や白菜ほど収穫の期間は長くなく、週末ファーマーが自分の食べる分だけ栽培するのは難しい。
私は漬物産業には豊かな未来があると信じ、3年ほど前、ピックルスという漬物を製造販売する会社の株を約1,500円で購入した。現在は業績が今一つで値下がりして1,200円位になってしまっている。
信州の野沢菜漬け、九州の高菜漬けのように、地域の伝統野菜や珍しい野菜の漬物は付加価値の高い商品になるのではないかと信じているので、ピックルスに対して津田かぶ漬の商品化を提案をしてはどうかと密かに思い描いている。
<了>