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オムツ交換で筋トレも
乳児期というのは、子どもたちが体をつくっていく時期です。
子どもたちはその時期に人として必要な、
基本的な能力や筋肉を獲得していきます。
ですからこの時期、子どもたちはできるだけいろんな動きを経験し、
いろんな筋肉を使い、指先や足先まで動かすことが大切です。
大人の筋トレとはまたちがうニュアンスですが、
重要な筋肉を鍛えるためにしっかりとこの動きはしておいた方がいい
というものもあります。
実はオムツ交換のなかでも、
そういった重要な筋肉にはたらきかけられる動きがあるのです。
毎日きまった場所で、きまった手順で
オムツを交換してもらっている子どもは、
だんだんと次の動きがわかってきて、
見通しがもてるようになると説明してきました。
見通しがもてるようになった子どもは、
オムツ交換のときに大人の動きを手伝うことができるようになります。
たとえば台などに寝かせてもらい、
古いオムツを開いてお尻をきれいにしてもらうとき。
大人が子どもの足を掴んでお尻をあげなくても、
「 お尻をあげてね 」
と声をかけると自分の力でぐっとお尻をあげてくれるのです。
また、手でものをつかめるようになっていたら、
自分で自分の足をつかんで、その姿勢で待ってくれたりもできます。
このとき大人が足をもちあげる場合には、
あまり強くひっぱったり、真上にあげすぎないようにしてくださいね。
小さい子どもの関節はとてもやわらかく、脱臼しやすいです。
子どもの顔のほうに足がいくようにもちあげてください。
お尻をきれいにしたら、新しいオムツにかえる前に、
足全体をさすってあげたり、足の曲げ伸ばしあそびをしてあげたりします。
「 足が伸びて気持ちいいね 」
なんて声をかけながら触れ合う時間がとれるといいですね。
足の構造や脳の発達のために、
足裏にやさしく圧をかけてあげたり、
足指を一本一本さわってあげることもおすすめです。
こうしてちょっとしたふれあい遊びをはさんで
新しいオムツにかえた後、
子どもの目の前にハンドルをもつような形で親指をだしてあげると
( 親指でなく、手を出すのでもかまいません )、
子どもはそれをつかんで自分で起きあがってくることができます。
一連の流れのなかで、
このように自分でお尻をあげたり起きあがったりすることによって、
子どもたちは腹筋や背筋を鍛えることができるのです。
このように意識してみると、
シンプルなオムツ交換の作業のなかでも、
たくさんの動きを経験できることが実感いただけるかと思います。
最近はケガさせることを恐れるあまり
動きを制限してしまったり、
“親のため”の便利グッズなどを使用して
まだ発達の段階的に自分ではできない姿勢を
むりやりとらされていたりと、
小さい子どもたちの運動面でのいびつさが目立ちます。
車社会で歩く機会がへっていること、
またいつまでもベビーカーで移動させてしまうことなども、
子どもたちの運動不足、動きの経験不足に
拍車をかけているように感じます。
おおげさな運動でなくてもいいのです。
日常の動作のなかで、子どもたちがしっかり体を動かしていけるように、
すこしだけ意識してみたください。
毎日のオムツ交換は、そのためにうってつけの行為のひとつです。