自己実現とヒプノセラピー ヒプノセラピーepisode🥀13
前回、ユングの言うところの『自己』と『自己実現』について説明しました。今回は、自己実現とヒプノセラピーについてお話ししてみたいと思います。
さて、人は本来、意識と無意識を含めた心全体の中心『自己』へと、より高度な統合の状態を目指す指向があると言うことをユングは指摘していますが、私もヒプノセラピーを通して、同じように感じています。
例えばヒプノセラピーの個人セッションの事前面談で、クライエントさんは、今こういうことで悩んでいて、このような問題を抱えていて、どうすれば良いのか、どうしたいのか分からない、と仰ることがしばしばあります。そのような問いや求めに応じて、こうしたら良いとか、こうしなさい、などと言うことはセラピストは一切言いません。なぜなら、クライエントさんご本人の中から、気づきや答えや導きを引き出すために、催眠セッションを行うからです。
つまり、クライエントさんの中に、自分の抱えている悩みや問題の根本の原因や理由、本心、解決への方向性があるとするのが催眠療法の基本です。もちろん、セッションによって自分の望んだような答えが得られるとは限りません。むしろ、自分が目をつむりたい思っているところに光を当てることになったり、至らないところを自分の潜在意識から指摘されることも多いです。それでも、そこに道があることが示されていると言えるのではないかと思います。つまり、自分の中の足りないところや未熟なところと直面し、それを統合してゆこうとする努力が自己実現と言えますが、その、自分自身との直面を生々しく体験したり、気づきを得たりするのが、ヒプノセラピーのセッションであり、セッションの後が大事(落とし込みという統合の為の努力が必要)ということの意味だと感じています。
もっと俯瞰して理解すると、ユングの言う心全体へと向かう統合への指向=自己実現を、催眠セッションによって促すのがヒプノセラピーとも言えます。前回の投稿で説明したように、意識の中心である自我(エゴ)と、意識と無意識を含めた心全体の中心である自己(セルフ)の間の橋渡し的な役割を担うのが催眠です。
優しく言い換えれば、意識だけでは測れない、自分にとって全く未知の部分が心の中にあり、その部分をも含めた統合性を目指さなければ、本来の意味の自己実現とはならないのですが、ヒプノセラピーは、その為のうってつけの足掛かり、非常に有用な手段の一つとなり得る、といったところでしょうか。
深い可能性を秘めた私たちの心と様々な心理療法。ヒプノセラピーが秘めている可能性も、私が思うよりもっと大きなものを含んでいるのかもしれないと感じるこの頃です。
セラピールーム アウロラ
渡邊真理乃
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