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「天才ファミリー・カンパンニー」漫画仕立てのビジネス書・自己啓発本
読んでから大分寝かせてたのですが、重い腰をあげて感想書きます、よっこらしょ。
「天才ファミリー・カンパニー」二ノ宮知子
「のだめカンタービレ」の方のまんがです!
何年か前にどこかで読んだことがあって、その時も面白くて一気読みして、
今回はブックオフで全巻揃ってて安かったので買って、もう一度、また一気読みしました。
文庫版が出ていて、文庫で全6巻です。
ちょうど読みやすい長さです。
ざっくりと、あらすじ。
超頭のいい高校生の夏木勝幸くんが主人公。
エリートサラリーウーマンのお母さん(夏木良子)と二人暮らし。お父さんは若くして亡くなっている。
勝幸は、大手会社でバリバリ働くお母さんのブレーンとして日々経済新聞を読み、大学はハーバードへ行きたい…と思っている、超超超天才。
ところがある日、お母さんが再婚相手を連れてきて、その再婚相手が小説家(という名の無職。田中荘介)で、自分と同い年の連れ子(男。田中春)までいて、とにかくはちゃめちゃで・・・
勝幸からしたら、自分と正反対の人達でもうどうしたらいいやら、母親はなんでこんな奴を選んだんだトホホという状態だったが、何故かこの田中親子はバカのくせにすぐに人から好かれる。
・・・いや、ただのバカ達だと思っていたが、これまで世界を放浪してきたようで、英語も中国語もペラペラ。しかもなんだか知らないうちに世界中から彼らの友人が集まってくる、なんだ、なんなんだ一体???
という風に始まっていく物語です。
(分かりにくいわ)
とにかくテンポがいい
で、何が面白いかというと、一番はとにかくストーリーのテンポがいいこと。
もうどんどんどんどん展開していって、勝幸目線で、ストーリーがぐいぐい進んでいきます。まどろっこしいところがない。
ゴールが見えない
これが面白いんですよね。
とにかく読み始め、ゴールが見えないんですよ、この話。
物語って「鬼を倒す!」とか「サッカー選手になる!」とか分かりやすいゴールを示されて、そこに向かっていくパターンがひとつありますよね。
もうそれとは全く全く全然逆。
主人公の勝幸目線でストーリーは進んでいくものの、勝幸があまりにも金の亡者の生意気小憎たらしい高校生すぎて、まるっと共感できるわけではないので、
なんか読者としての視点もブレブレで、映されてるものもブレブレで、色んなものを揺すぶられながら、まるで舗装されてないデコボコ道をオフロードカーでとにかくがんがん進んでいく感じです。
お金か人か
では何故、そんなゴールの見えないデコボコ道が楽しいかというと、
テーマだけは、めっちゃ分かりやすくずばんと示されてるんです。
「お金か人か」。これです。
勝之V.S.田中親子
の構造が初っ端に来ることで、
(V.S.と思ってるのは勝幸だけなんだけど)
読み手としては、
結局、金が勝つのか?人が勝つのか?に
夢中になります。それで思わず読み進めてしまう。
天才ファミリー・カンパニー
出てくるキャラクター達は、
「天才ファミリー・カンパニー」というタイトルの通り、
五角形のレーダーグラフにするなら、ひとつの能力だけぐいんっと突き抜けてるような人達ばかりで、正直リアリティは全くないんです。
こんな人おらんやろ、と。
ただ、そこの人間達の関わり合いとか、ほどけていく様とか、近寄ったり離れたりとかが、妙にリアルなんです。
「のだめ」もそうですけど、二ノ宮先生はこの人間関係のうごめく様子の描写が本当的確にだなぁ、と思います。
こんな風に客観的に人間関係見れないよ〜
時代も面白い
この漫画、時代設定がバブル崩壊直後くらいでして、
勝幸がビジネスかぶれなこともあって、経済とか経営視点の話題も多いんですが(でも全然難しくないです)、
これが今読むと、「時代が動いている感覚」を感じるまさに今と照らし合わせたくなる部分が多くて、それもまた面白いです。
結論。漫画仕立てのビジネス書・自己啓発本だ!
安直な結論で申し訳ないのですが、敢えてキャッチーに言わせて頂きたい。
ビジネス書として経済も俯瞰できた気になり、
人生論とか人間関係とかそういうものも俯瞰できた気になり、
一石二鳥な漫画です。
ちなみに恋愛要素もあり。(これもまたいいです、二ノ宮先生らしいサラッとした入れ込み方。)
普通に面白いので、読んだことがない方はぜひ!すぐ読めるボリュームなのも良きです!