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語られてこなかった母子自主避難

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原発事故の影響を恐れて、首都圏から自主避難した母子がいました。この人たちの行動は別居や引っ越しと同等であるため、国や自治体によって実態が把握されないまま10余年が経過し、存在さえ…
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#証言

ナラティブで脅す人々を許してはいけない ──レジ袋鼻血から

ナラティブで脅す人々を許してはいけない ──レジ袋鼻血から

加藤文宏

はじめに鴨下全生氏の投稿が波紋を呼び、福島県民から批判の声があがった。出来事の詳細と課題は林智裕氏による記事に詳しく書かれているので、ぜひ読んでいただきたい。なお記事では、筆者の『鴨下家は福島を代表するのか 鼻血は何だったのか』が資料として紹介されている。

今回は、レジ袋に鼻血を受けて歩いたという逸話が生んだ「ナラティブ」について考える。ナラティブとは自らの体験を語ることや、こうして

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語られてこなかった自主避難/証言で綴る母と子の実態

語られてこなかった自主避難/証言で綴る母と子の実態

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加藤文宏

 筆者と協力者による首都圏からの自主避難者への帰還支援は営利のための活動ではありません。協力者は福島県から神奈川県に避難した震災被災者の女性Hと、この女性の旧友Mでした。MがHに紹介した避難相談が筆者にもたらされて円満解決した実績をもとに、寄せられる事案が増えて第二、第三の相談例になりました。自主避難女性にとって、同性かつ避難者であるHの存在は心を開きやすかったもの

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