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デマカ星広報室
2022年9月8日 14:51
小さな頃から、他人には見えないものが見えたし、他人には聞こえないものが聞こえた。庭の木の上には大きな目玉が乗っかっていたし、家の縁の下からは夜な夜な呻き声が響き渡っていた。そんな中でも、裏の山の女神の存在は、最たるものであった。 彼女は、アキコと名乗っていた。文字での交流をしたことはないが、恐らくは秋の子と書いて秋子なのだろう。わたしが彼女に貰ったのだと言ってきのこや山葡萄を持って帰ると、家中、
2020年3月7日 00:07
【1】 惰性のように眺めていたSNSのタイムラインに流れ込んだ画像に気管が激しく反応した。『あのヒダパズがスマホで! ヒダパズぽけっと 事前登録受付中!』慣れ親しんだ煙に思わず噎せ込んで、直樹はすっかり温くなった缶コーヒーへ慌てて一口を付けた。甘ったるくて、缶の臭いがする。それでも直樹は、事務所に設置された大仰なエスプレッソマシーンから出てくるものよりも、この味が好きだった。これを味わうためにわ