玉のこし

幾世に渡れども、
コンコンと溢れる気狂いは
神への贄。

賢く優しいあの子達は
それを知ってか知らずか
早々と解脱した。

残されたは気狂いとそれ以外。

邪神の如く、
地を震わせ海を割り雷を落とし
尽くす限りの傍若無人は
命のある限り続く。

神への贄と呼ばれる彼らが何故
早摘されずのうのうと生き延びられるのか。

それは贄にされても一縷の文句も言えぬほど
彼らの罪科を重くするためだ。
神の体裁を保ちながらも
贄を絶やさず享受できるように。

豊かな稲ほど垂れる様に
積み重なれば積み重なるほど
ソレは甘く美味く熟す。
それはまるで
神々の禁じられた遊び。

無知で馬鹿で純粋無垢な気狂い。
手を掛け、足蹴にし、
用意されるは数多の罪と罰。

理由なき穢れは私の施し。
奪われる理性は私の躾。

「 飛び切りの上玉になりなせえ。」
「 飛び切りの上玉になりなせえ。」

そう全ては私の舌と腹を充たすため。

散らす散らす、綿毛のように。
繰り返される悲劇惨劇。
心も命も神の御前では無に等しい。


「「「 嗚呼、憎まれっ子世に憚る・・・!!」」」


それを玉のこしという。
追記:上玉という言葉もここに由来する。


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