XIIX「White White」Live2020.01.30@BIG CAT ライブレポート
2020年1月30日、大阪 BIG CATで開催されたXIIXの初大阪ワンマンライブである「White White」のライブレポートを以下記していく。
2019年にUNISON SQUARE GARDENのGt.&Vo.斎藤宏介と、様々なアーティストのサポートとして活躍しながらコンポーザーとしても名高いベーシスト須藤優、という手練れのアーティスト2名で結成されたXIIX。今回のライブは、彼らのファーストフルアルバムを引っ提げて行われたツアーであると同時に、XIIXが初めて観客の前で演奏をする場でもあった。
東京 赤坂BLITZでの公演を終えて行われた本公演。チケットの発売はアルバム「White White」のリリース前だったにも関わらず、SOLD OUTしたことからも彼らのパフォーマンスへの期待値の高さが窺えた。
19:00。満員のライブハウスが暗転と共に静まり返る。
真っ暗な空間にぼんやりと白い光が浮かび上がると、アルバムの一曲目にも収録されているインスト曲である『White White』が聴こえてきた。神聖さをも感じさせる雰囲気を持つこの曲と共にXIIXの二人が登場すると観客からは拍手が巻き起こった。二人が登場し、『E△7』のポップなイントロが弾けるように奏でられる。この曲が持つ柔らかい多幸感が会場全体を包み込んでいった。鼻歌のような心地よさをさらに高揚させる次の曲は『LIFE IS MUSIC!!!!!』。イントロにある咳込む音の演出を、同期ではなく実際に生でやってみせることでXIIXというバンドが打ち込みや同期に頼ったバンドではなく、あくまでヒトが演奏して生む『生の音楽』に重きを置いていることが感じられた。色とりどりな照明がよく似合うこの曲で観客のボルテージはさらに高まっていく。
そしてポップな幕開けを一新する次の曲は『XXXXX』だ。真っ赤な照明に照らされ、歪んだギターとベースの重低音でこれまでの2曲と全く違ったXIIXの一面を垣間見た。『Light&Shadow』では、まさに「光と影」を基調とした演出で観客を魅了する。
MCでは「XIIXの名前だけでも覚えて帰ってください!」という斎藤の言葉に観客から笑いと共に彼らの出発を祝う暖かい拍手が送られた。
アコースティック編成で披露された『Fantome』では、音源よりもさらに感情豊かな斎藤のギターソロが印象的だった。アウトロを演奏した後にお互いが顔を見合わせて頷くようにして息を揃える様は、これまで彼らが『音楽友達』として培ってきた絆の深さを感じさせる。
一度、斎藤がステージから捌けると須藤のベースソロのパートが始まった。バラード調のフレーズから思わず体が揺れてしまうような軽やかなフレーズまで、ベース一本であらゆるバリエーションの音楽を聴かせる。そしてそのままベースのインスト曲である『4:43 AM』が披露された。一曲がそのまま続いていくように、再び登場した斎藤がギターを持たずにマイクの前に立ち、『曙空をみつけて』に続いていく。この曲は窓枠を象ったオレンジ色が照明が印象的だ。
そして次は須藤がステージから捌けると、ギターのインスト曲である『5:03 PM』に繋がっていく。ルーパーを用いてギター一本で楽曲が作られていく様は、一瞬たりとも目を離す事は出来ない。同じビートが続きながら曲が次々と展開していき、そしてそのまま『夕映えに紛れて』に繋がっていく。ギターという楽器の奥深さ、魅力を十分すぎるほど味わった後、アルバムには収録されていない『夕映えに紛れて』の2番がバンド編成で披露された。楽器一つ一つの音を聴かせた上で重奏に耳を傾けると、また違ったように聴こえてくる。
アコースティック編成で披露された『Saturdays』。会場がこの曲の多幸感あるメロディに包まれると、観客からは暖かな拍手が巻き起こった。
MCを挟んで披露された新曲は、疾走感のあるAメロから開放感あるサビへの広がりが心地良い。これまでのブロックで披露されてきたアコースティックの雰囲気とは全く異なった、XIIXのバンドサウンドが響き渡る。須藤が『ilaksa』のイントロを鳴らすと会場はさらに高揚していく。アルバムに収録されているよりもアップテンポでテンションの高い曲に感じたのは、生の演奏で奏られているからだろう。この日初めて生で聴いたとは思えないほどのこの曲の『キラーチューン』としてのパワーとポテンシャルを感じた。そして観客のボルテージを上限突破させるかのように、続く曲は『Answer5』。この曲では間奏でバンドメンバーのソロパートが披露された。キーボード、ドラム、須藤のベース、斎藤のギターと続いていく中でメンバー紹介をしていく斎藤のテンションも徐々に上がっていったのかもしれない。ギターソロの前に「おれぇ!!!!」と叫ぶさまはこれまで見たことのない姿だったように思う。メンバーが手だれのアーティストであれば、もちろんそんな二人が率いるバンドメンバーも手だれのプレイヤーだ。そして、爆発的なほど高揚した空気を一瞬にして妖艶な雰囲気に塗り替える『Stay Mellow』のイントロが響く。ピンク色の照明が揺らめく中、歌詞にリンクするように「私の中に住む悪魔が ふと目を覚ます」で一瞬だけ斎藤の顔に当てられていた照明が落ちるなど、時折思わず背筋が凍るような演出に目を逸らすことが出来ない。間奏のギターソロでは真っ赤な照明の下でギターを掻き鳴らす斎藤の姿が、MVのワンシーンとリンクする。ラップからラストの大サビに繋がる、息つく暇もないパートでは同期の音源を使用することなく、音源通り、いやそれ以上に情緒的に歌い上げる斎藤の技術にただただ脱帽してしまった。
『Stay Mellow』で本編が終わると、観客からはアンコールの拍手が巻き起こる。そうして再び登場したXIIXのメンバーによって、バンド隊の紹介がなされた。
「バンドは2人だけど、この5人でバンドという形になって行けたらいいなと思っています」
という斎藤の言葉は、XIIXのこれからの活動をさらに楽しみにさせてくれる。このバンドはどうなっていくんだ!という高揚感をさらに助長させたのが、最後に披露された新曲だ。「ライブでみんなが楽しめそうな曲」という紹介から披露されたこの曲は、ベースの小気味よいイントロから始まる。言葉遊びのような韻の踏み方が華麗な一曲だ。この新曲だけでなく、既に多くの楽曲が既に完成しているらしい彼らXIIXの活動から目を離すことが出来ない。
上質な音楽体験でありながら、手放しでただただ楽しい音楽が同居した彼らのデビューライブ。これがデビューなのだとしたら、来年、再来年はどうなっているのだろう。
「長くやっていきたい」
と決意のように述べた斎藤の言葉に、観客からは拍手が巻き起こっていた。
TEXT ウチダサイカ