大河ドラマ「どうする家康」5回 感想 〜服部党のビジュアルは、絶対この人たちにインスパイアされている!〜
今回、元康くんは、ほぼ見せ場なし。
ニセホンダの本多正信(松山ケンイチ)と、「忍びじゃないもん、武士だもん」の服部半蔵(山田孝之)一党がメインの回であった。
「どうする」感は、元康君より、半蔵多め。
服部一党の初登場シーンについては、ネットで「戦国ピタゴラ装置」が話題になっていたが、私は、彼らの住居や、衣服のビジュアルにやられてしまった。
かっこいい!
ギリギリ不潔感のない(というより、実際に不潔なものを身にまとっていたら、画面のこちらでも、「不潔だ」と感じてしまうものなので、不潔そうに見える)衣装が最高だと思った。
ボロなのに、紙一重でダサくない。
「どうする家康」の人物デザインをしている柘植伊佐夫さんは、不気味な人物、獣のような人物をデザインしても、下品にせず素敵にしてしまうのだなあ。
身に着けているもので、その人を表現することができる、という才能がすごい。
これまで登場した柘植チョイスの衣装の中では、今川氏真や本田忠勝の着ている、戦国学園の長ランのような、長羽織にときめいている。
あそこまで裾が長い長羽織って、今も売ってるのかと探したけれど、見つけられなかった。
オーダーメイドだろうか。
かっこいい。
あれを着ているだけで、嫌な奴役の氏真くんでも、かっこよく見えてしまう。
柘植伊佐夫さんの選んだ衣装が最高で、毎週、それも大河の楽しみだ。
これから魔王・信長さまの衣装がどれだけ派手になっていくのかと、わくわくする。
ところで、話を服部一党に戻す。
彼らの衣装に、私は既視感を覚えていた。
ん?? この服、私、見たことある、と。
それは、思い出すのに数秒もかからなかった。
母校・北大の応援団だ。
観客の前で踊っている男性が来ているのは、一重の着物と袴である。
正装が必要な場面では、この上に羽織を纏う。(トップ画参照)
遠目にパッチワークに見えるこれらの衣装は、応援団設立のころから、代々受け継がれてきたものだ。
破れたら自分ではぎれを当ててチクチク縫うのが決まりなので、必然的にパッチワーク風になっているが、狙って作られたデザインではないため、全員まったく違う継ぎはぎの着物を着ている。
これら、応援団の団服には、洗濯をしてはいけない、という決まりがある。
洗濯してはいけないというより、洗濯すると崩壊するのではないかと思う。
それくらいボロボロだ。
何しろ70年以上、受け継がれている代物なので。
僭越ながら、最後の方の質問に、昔の記憶をたどって回答させていただくと。
「本当です。普段から、1,2年の団員は、下駄とぼろぼろの着物と袴で過ごしてます。真夏の暑い時も、真冬の寒い時もそうです。応援団は、体力づくりのためのランニングも練習メニューに入っていますが、当然、走る時もこの格好です。そして、彼らには、髪を切ってはいけない、髭をそってはいけないという、謎の掟もあります。事情を知らない人には、浮浪者にしか見えないと思います」
となる。
しかし、これが、かっこいいのだ。
男くさいというより、獣くさいのだが、近くにいても、においなんて吹き飛ぶくらい、かっこいい。
何だろう、吹っ切れ具合が素敵なのだと思う。
先にも書いたが、零下10度を下回る札幌の冬も、彼らはこの格好だし、先輩に連れられて行くきれいなお姉さんがいるお店でも、お洒落は許されない。
自ら望んで、被差別民のような姿ですごす様子は、まるで修行だ。
そのストイックさにしびれる。
私は今回の服部一党のズタボロ具合に、北大応援団の異形のカッコよさを思い出してしまった。
しかし、不思議なのは、棒手裏剣すらまともに投げられない服部半蔵が、彼らの首領というところだ。
忍びの世界は、実力社会、強いものが上に立つのだと思っていたら、山田半蔵のこのダメっぷり。
これだから、世襲制はダメなんだと部下に陰口叩かれる前に、なんとか立派になってほしい。
具体的には、来週の、瀬名ちゃん奪還が、うまくいくことを祈っている。
**連続投稿370日目**
追記:
最近の応援団員は、普段は団服で過ごさなくてもいいようです。
2022年のニュースで流れていました。
時代は変わる。