なぜ人は砂漠で溺死するのか 死体の行動分析学/高木徹也
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0040716
読了日2019/11/14
法医学関係の新書やらエッセイをとにかく買い集め読んでいるが、
人の死と向き合っている方々が書く本というのはとてもユニークでおもしろい。
まあおもしろみがある人にだけ声をかけて書かせているのでは?
とも思うのだけど。
これで何冊目かわからない法医学関係の新書だが、
著者の本と出会うのは初めてである。
はじめまして。
内容はこれまで読んできた法医学の知識について、
おさらいしてくれるわかりやすいものだった。
だからそれだけ、
1問わかれば法医学者の素質アリ!
の章でわからなかった自分が悲しかった。
3問出題されている。
おおまかに言うと、
Q1
浴室で死亡した男性の死因は?
Q2
骨折で入院していた女性の死因は?
Q3
自殺した男性の死因は?
細かな設定があって、
私としては、
「こっちは法医学の教科書まで買ったんだ(あくまで趣味で)。解けなくてどうする」
と挑んだ。
1問目と3問目はまあ、わかる。
私のように(←)法医学の本を読まずとも、
昨今はばんばん法医学ドラマが放映されているのだから、
まあはっきり言って誰でもわかる。
問題は2問目。
わかるか!
とはいえ素人の私がわかるようでは、
専門医とは法医学者とは医師免許とはなんなのかとなってしまうので、
当然といえば当然である。
というか、
わからない方が良いのでは……?
という事例もあると思う。
本書でも読者にはわからないように、
かつ事件性を損なわない程度に、
こういっためずらしい自殺の方法がありました、
こういった事例がありましたと紹介されている。
私としてはそういうめずらしい事例を、
自分なりに噛み砕いていつかアウトプットできる日のために栄養源として蓄えている。
だが世の中、
全員が全員善人ではない。
中には完全犯罪をもくろんで、
こういった書物をかたっぱしから読み尽くす者もいるだろう。
そういう不届き者に悪用されないためにも、
本書では先にも述べたように内容を変えて説明してあるが、
中には良からぬ連中がいるんじゃなろうかと、
疑心暗鬼になるくらいには私は他人を信用していない。
その私は山ほどの法医学関係と医学書と凶悪犯罪者と猟奇犯罪者の本を持っているのだけど。
もし万が一私が何か大事をやらかして家宅捜索なんてされたら、
そういった本が全部押収されるんだろうなあ……
と事件のニュースを見るたび思う。
やらんぞ。
何が嫌で犯罪を犯さないかといえば、
刑務所に入るのが嫌というより、
かつての同級生なんかに訳知り顔で、
「あの子変わってたから」
or
「ふつうのイイ子だったのに」
と言われることである。
少なくとも私の友人はもう地元にはいないので、
そんなこと言う連中は総じて友人ではない。
絶対に犯罪なんかやるもんかと私が思う理由である。
まあそれはいいとして。
本書で特に惹かれるのは自殺について。
自殺は悲しい。
だがなぜか中には、
それまでの人生で培ってきた技術を駆使して常人には思いもよらぬ方法で死のうとする人というのが一定数いるらしい。
首つりではいかんのか……?
そもそも自殺がいけないことなのだけど、
思い通りにいかないのが人生というものだから、
死に方くらい選ばせろってことなのかしら。
わからなくもないのだけど、
大仰な自殺装置を作っている最中に、
「自分はここまでして死にたいのか」
と考え直したりしないのだろうか。
自殺を考えるほど追いつめられた時に、
「よし!自殺装置を作ろう!」
と考えられる時点でそいつは生きていける気がするのだけど……。
ちなみに本書の副題は、
「死体の行動分析学」
だからといって死体が歩くとかいう話ではない。
死体がこうなるまでに経た理由を、
法医学者(主に著者)が考えるというわけ。
首つりに失敗し、
尻から落下した人間が死んだ。
なぜ?
著者はこれを考える(もちろん解剖などを行って)。
そこから死体の行動分析学という副題がつけられている。
人の死を見てきた著者だからこそ語れる言葉がある。
人は本当に、
いつどんなことで死ぬかわからない。