#16 無人島で仲間と繋がり、生きるを学ぶ
この夏、無人島に行ってきた。
端的にまとめると、タイトルの通り「無人島で仲間と繋がり、生きるを学ぶ」ことをしてきたわけだが、一瞬一瞬が貴重な“いま”を過ごすことができたので、その記憶が鮮明なうちに文字に起こしたくて、久しぶりに執筆する。
「無人島!?超面白そうじゃん!」と思った人はもちろんのこと、「最近、日常に刺激が少ないな〜」と思う人には、刺さるものがある気がする。ぜひ何度かに分けてでも、最後まで読んでほしい。
きっかけは、知り合いのスタッフ
「無人島行ってきたけど、おもろいよ!」という話を聞いて、何それ、私も行けるの?行きたい!となったのが始まり。
知り合いから教えてもらった「無人島プロジェクト」。虫の多さへの抵抗感よりも、普段の生活ではできない経験が沢山できそうだという好奇心が勝った。
「新たなオモロイ人たちに出逢えて、コミュニティに入れる」という話を聞いて、わたしも「オモロイ人たちと出逢いたい!行く!」と思って、去年からわくわくしていた。
教えてくれた人がスタッフとしている回に参加することに。共通の知り合い含め、わたしの知り合い4人が同じ日程に集まると知ったときは驚いた。
限られた時間だからこそ、初対面の人と喋ろうと意気込んでいたので、無人島にいるときは自分から話しかけないようにした。知り合いだということを伝えていないひとには「え!そうなの!?」と言われるくらいには徹底したので、次会う時には、それぞれの視点で感じた無人島の3日間について、じっくりと聞いてみたいとおもう^^
幼い頃から聞いてきた質問
「無人島に何か1つ持って行くなら?」
「無人島に何か1つ持って行くなら?」という質問は、幼い頃に誰もが経験済みではないだろうか。
ちなみに、いま読んでくれているあなたは、何と答えていましたか。今改めて考えてみると、何と答えたいですか。
この質問に対して、モノではなく「話し相手」と答えてきた私。実際に無人島に行って、どう感じるのかを確認してみようと思った。
結論、実際に無人島に行ってみて、わたしの「話し相手」という回答はあながち間違いではないと思ったけれど、どこかしっくりこなかったから、なぜだろう?と考えてみた。
無人島では、食べるものを自分で調達する必要があったし、調理するために火を起こす必要があった。当たり前にそこにあると思っていたものは、決して当たり前にそこにあるものではなかった。「生きる」ことは容易ではないと気付かされた。
人とのおしゃべりが好きなわたしにとって「話し相手」はもちろん欲しいけれど、何もないところでの「生きる」は想像以上にむずかしく、忙しい。
仲間の支えや協力があったからこそ、2泊3日を乗り切れた。
仲間のひとりがインスタに投稿文に「仲間と答える」と書いていたのを読んで、とてもしっくりきた。これからは、わたしも絶対に「仲間」と答えようと思った。
無人島での生活
期待が膨らみ、意気込むスタート
集合場所で、初対面のひとと初めましてをする。正直、ここは記憶がない。無人島にくるために全国各地から集まってきたと思うと面白く、少し挨拶を交わすだけでも明るくて優しそうなメンバーが集まったと感じたので、これから始まる3日間への期待と興奮でどうにかなりそうだったのだと思う。
島についてからの自己紹介タイムでは、それぞれの夢、無人島でやりたいことなどを話した。夢はたくさんあるけど、「出逢う人たちに、わたしと出逢えてよかったと思ってもらうことが夢。だから、今回もみんなに出逢えてよかったと思ってもらえたら嬉しい」「やりたいことは特に定めていなくて、みんなのやりたいに全力で乗っかりたい!」というような内容を話した。
生きる大変さを身を持って感じるご飯づくり
食料調達のために集まったメンバーで決めたユニークなグループ名「バモス(vamos)」。
「バモス」という言葉はその後の掛け声となり、うまくいかなくても互いに励まし合うことができて、みんなが明るく居られるおまじないになった。
夕食に向けて食料調達を開始するも、釣りから苦戦した。釣りの経験者にいろいろ教えてもらうも、初めて触る餌は見ているだけで気持ち悪かった。
昔、躓いた拍子に目の前の木に手をつくと、そこには大量のなめくじがいて、思いっきり両手で触ってしまった経験がトラウマとなり、それ以降は特にウニョウニョ系の生物が苦手なのだ。
けれども、魚が食べたいから、躊躇しながらも掴むことができた。釣ることはできないのに、餌だけがとられるから、何度も餌をつけた。そのうち、「やだー」と言いながらも、躊躇なく触れるようになった。自身の短時間の成長に驚いた。
その後も全く魚を釣ることができず、一旦釣ることを諦めて、海に潜ったみたけれど、すばしっこい魚は捕まえられない…。
日の入が迫ってきたので、火おこしを始めなければいけなかった。結局、魚をとることができずに食料調達の時間は終了。
紐ぎり式火起こしに挑戦!紐を引く人は、とにかく腕が大変。抑える人は絶妙な力加減を要求されるので、この役が1番難しいのではないかと思った。
試行錯誤して、チームメンバーで火おこしの仕方を探り、やりやすい形を探しながらロープをぶんぶんと回した。
「頑張れ」「腕ちぎれるまで(笑)」「もうちょっと」「耐えて〜」「上手!!」という言葉に奮起して、火種ができたときは嬉しかった。励ましの言葉のパワーを感じた。
息を吹き込む作業はむずかしく、その火種が炎になることはなかったけれど、ここでひとつ大きな達成感があった。
暗くなってきたので、他の班の炎をもらって調理を始めるも、火が大きくならない。隣では「いただきます」の声が聞こえても、なかなか食べることができない。
かまどに風を送ったり、木の組み方を変えたり、少しでも大きくなった気がすると、みんなで「バモス!!」といって笑っていた。
まだ何も口にしていないのに、「みんな〜!そろそろ片付けがあるので…」という声がしたときは、今夜は何も食べれないのかと思い、流石に焦ったけれど(笑)
ありがたいことに両隣の班がかまどを貸してくれて、なんとかご飯が炊けた。空腹のまま夜を越えるのかと本気で心配した後に、食べることができた白ごはんの味は、忘れられない美味しさだった。
炎を囲みながら語るバックグラウンド
年齢も肩書きも関係なく、とはいえ、それぞれの生き方やターニングポイントは気になるもの。炎を囲みながら、班の皆がこれまで辿ってきた人生の話を聴いた。
無人島に来るだけあって、それぞれに物語があって、胸が熱くなった。仲間に対するリスペクトがますます大きくなった。
自分の感情のこもった話に対しても、みんな真剣に聞いてくれて、さらに深いところで受け入れてもらえた感覚があった。
いい夜だった。
リタイアを危惧した2日目の朝
どこでも寝れると思っていたら、気分が悪くて目が覚めた。昨日は煌めいていた波の音が恐ろしかった。聞くだけで酔う感覚がした。
そんな一大事のなかでも、いちばん心配したのは「リタイア」だった。自分の身体の異変の心配よりは、「ここで帰りたくない、せっかく素敵な仲間と出逢えたのに」としか考えていなかった。
雨のためにテントを閉め切っていたので、ぬるめのサウナ状態。とりあえず新鮮な空気を吸おうと思い、網戸にした。が、その後も寝苦しくて、何度も目は覚める。
何度目だったか、雨の音が静まったことを感じとった。遠くで船の音が聞こえた。思いっきり深呼吸がしたくて、テントのすぐ外に出ることにした。
まだ辺りは暗かったが、夜明けの気配がした。新鮮な空気を取り込むのは心地よく、中に戻る気にはならず、ストレッチをしていた。
すると、空全体は曇りのなか、少しずつ明るくなってきた。ひとりで夜明けを迎えた。ただ遠くを見ていた。
しばらく経ったころ、背後から物音がした。ほかのメンバーが目覚めた。この場では危険が隣り合わせ。強がる気持ちを抑え込み、気分が悪いことを伝えて、横になった。
優しいメンバーたちは「起こしてくれてよかったのに」といってくれた。「水分が足りてないんじゃない?」といって、持ってきてくれた。ありがたいなあ、ひとりじゃ生きていけないなあと思って、心が温かくなった。
ほっとすると、深い眠りにつくことができた。次は仲間たちの笑い声で目覚めた。すっかり気分がよくなっていた。
島探検は危険と隣り合わせ
太陽が高いところに登ったころ、島探検にでかけた。岩場なので、もちろん足元の状態が悪く、場所によっては滑るところもある。
油断は禁物なので、場所によっては四足歩行で歩いた。それくらい注意して歩いていたのにもかかわらず、途中でよろめいて、転けそうになった。心臓が飛び出る感覚を久しぶりに味わった。
途中、海に入りながら進む場所があったのだが、底にいるウニに刺さらないように必死だった。刺さってしまった人もいたし、手や足に擦り傷をつくる人もいて、痛そうだった。
飛び込みスポットに辿り着くと、海はかなり荒れていた。「これ以上は進めないから、飛び込みたい人だけ飛び込んで、引き返そう!」となった。
高い崖から…とは聞いていたが、想像していた以上に高い場所で、思わず後退りしてしまった。「行かないの?」と聞かれたときに「高すぎて無理。低いところから飛ぶ!」と答えて、一度諦めた。
しかし、次々と楽しそうに飛び降りていく仲間の姿を見ていると、自分も飛べるかも!という自信が湧いてきて、ウズウズしてきた。
いざ高いところに登ると、腰が引けて、足が竦んでしまった。それでも、やらなきゃ後悔しそうだし、飛びたい!と思っている自分がいるから、思い切って「飛びまーす!」と宣言した。
崖っぷちに立った瞬間、引き返すか迷ったけれど、思いっきって前にジャンプした。飛ぶ前に鼻とゴーグルをしっかり押さえていたのに、次の瞬間にはバッと両手をあげてダイブしてしまって、あ!しまった!と気づいたときには海の中だった。
思ったよりも深く沈んだけれど、ライフジャケットをつけていたおかげで、すぐにふわっと浮いて、ほっと安心。すごく爽快だった。
崖の上からは「高い方から飛べてるやん」「ナイスダイブ!!」という声が聞こえてきて、「イェーイ」と言いながらピースサイン!
気持ちいい〜〜〜!!
いのちを頂いているという実感
魚の捌き方を教えてもらい、大好きな鯖を自分で捌くスキルを身につけて、また一つ大きな達成感を得ていた。
これから命をいただくんだなという意識を持ちながら、内臓を出して、骨の位置を感じる。海水で洗いながら3枚に下ろしていく。
自分の番になる前に、後ろから説明を聞いて予習していた甲斐があって、「めっちゃ上手い」と褒めてもらい、思わず照れて、ふふっと笑ってしまったけど、説明役が上手だったお蔭だなと思っている。
余談だが、今年に入ってから祖母に料理を習いに行っているので、今度行くときは魚を捌く姿を披露して、驚かせようと思う。
キャンプファイヤーで締める最後の夜
キャンプファイヤーの火が大きくなると、小学生のころに「燃~えろよ 燃えろ~よ 炎よ燃~え~ろ~♪」と歌ったことを思い出した。
まずは、マイムマイムを踊ることから。初めてなので、隣にいたメンバーにステップを教わりながら、探り探りステップを踏んだ。
平らな地面ではないので、少しふらつきながら。それも含めて楽しくて、ずっと笑っていた気がする。結局、最後まで手を叩くタイミングが掴めないまま踊りきることになった。
その後は、2日目を終えての感想を伝える時間。話した人が次の人を指名する制度だったので、長く共に行動したスタッフから名前を呼ばれて、とっても嬉しかった。波の音でざざーっとかき消され、ぱっと反応できなかったのが少しこころ残りだけど。
聴きながら、そして、話しながらひとりひとりに感謝の気持ちが溢れた。私の想いをそのまま言語化して、真っ直ぐに伝えることができたような気がする。私は、いちばん一緒に過ごしてくれたメンバーにバトンタッチした。
鮮明に憶えておきたい夜空
眠ろうとしたとき、雲の間から美しい星空が見えた。見える星の数が段違いで多くて、思わず幸せのため息をつく。
あれは何の星かな、またプラネタリウムの解説を聴きに行きたいな〜行こっと!と心の中で決心したとき、見ていたところでスーーっと星が流れた。これまでに見たことがある流れ星とは比べものにならないほど、はっきりと見ることができた。
ぜったいに忘れない。
もらった言葉を抱きしめて
解散式で、お互いに向けて書いたメッセージを集めた色紙を受け取る。
共に過ごした32人からのメッセージは温かく、目頭が熱くなる。宝物だ。
当然ここに書き切れるわけがなく、ここまでに留めておくけれども、みんなのメッセージひとつひとつを抱きしめていたい。
無人島生活を終えて
たかが3日間、されど3日間。
無人島での生活が「生きる」を考えるきっかけになり、視野が広がり、豊かになった気がする。小さくても確かなしあわせをより感じれるようになったことが嬉しい。
自分と出逢えてよかったと思ってもらうことを目標にして参加したはずなのに、逆にわたしが「みんなに会えてよかった!幸せだ!」と感じることができ、感謝のきもちでいっぱい。
ずっとずっと繋がっていたい32人のあったかくてオモロイ仲間ができて、最高!
共に過ごした仲間たちへ
色紙にかく数行に込められる想いは限られていて、うまく伝えきれていないかもしれないけど、感謝のきもちでいっぱいだ〜と思いながら書いたから、少しでも届いてくれていたらと願うばかり。
次の予定を立てるならどこがいいかなと考えていたんだけど、東名阪だけでなく、東北も北陸も九州も屋久島も…飛んでいきたーい!飛んでいきます!だから、愛ましょ。
ありのままが素敵なみんなと出逢えてよかった。個性溢れる32人が、それぞれの「らしさ」をずっとずっと大切にしてほしいなあ。
わたし自身も「らしさ」を大切にできるように、あらゆる物事に対して関心を持ってチャレンジや学びを続けたいし、人と向き合うときの姿勢は丁寧かつ誠実でありたいし、ご縁を大切にして生きていたいと思う。
この3日間を経て、「生きる」を楽しむモチベーションがぐんと上がって、来年から社会人になることに、よりワクワクしている。
めっちゃ楽しかったよ。
ありがとう。
次に会うのが楽しみだ。
ほな、またね〜!
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