【全文無料】漫画を2年以上連載し続けるには?

今月から、月末の行事として「無料公開記事の投稿」をやることにした。
毎月1つ、その月の総括的に、無料で読める記事を1本執筆していく。飽きたらやめる。

今回のテーマは「私が2年間、漫画を毎月連載し続けられた理由」について。
私は2022年の11月からPixivで『ギア・ファンタジア』という漫画の連載をスタートした。
2023年12月にnoteに移行してからは、毎日執筆・毎日進捗報告・毎月連載を実現している。
最初の半年ぐらいは締め切りを落とすこともあったが、それ以降は一度も落とさずにやりきり、いまは3年目。

私はどうやって、月20p前後の漫画の執筆というルーティンを2年間こなすことができるようになったのか?

1つ目のファクターは「執筆のゼロコスト化」である。

たとえば、インターネットにいる99%の人々がデジタルツールを使って執筆している中で、私はノートにボールペンという執筆体制で漫画を描いている。
これは、「作画の粗さを気にする精神的コストが削減できる」「不調の日でも毎日継続して執筆できる」「機材が壊れてもコンビニに行けば買いそろえられる」という理由から、私にとって執筆のコストを限りなくゼロに近づけさせる方法だったからだ。

多くのクリエイターは「すごい作品を作りたい」という名目で、執筆に金銭的コストと技術的コストを注ぐ。
面白い話を。美しい作画を。そういうものを求めがちだ。

しかし、私から言わせてもらえば「コストかけすぎ」である。
現に、自分の能力を過信しすぎて執筆にコストをかけすぎたクリエイターが、心身の負担から執筆を続けられなくなって消えていく姿を何度も見かけてきた。

彼らはなぜ、身を削ってまで「すごい作品」を作りたいのか?
彼らを観察していると、多くの場合「すごい作品でなければ、他人から舐められて馬鹿にされる」ということを極端に恐れることが原因であるように思われた。

SNSで活動しているクリエイターは、フォロワーからの反応をダイレクトにもらう。
忌憚ない意見が飛び込んでくるからこそ、自分にとってマイナスな意見を受け取ることを極端に恐れる。
特に、自分の作品を低く評価するような声を。

しかし、本来「クリエイターは批判を受け取らない仕組みを作るのが基本」である。
どんなに建設的であっても、批判を受けたら気力を削がれるのが当たり前。
だからプロの漫画家は、編集者がファンレターにすべてチェックを通して「クリエイションに支障のないファンレター」だけを選別して作者に渡している、と編集者の知人から聞いたことがある。

つまり「執筆のゼロコスト化に成功していない」「批判を簡単に受け取る構造の中にいる」ということが、多くのクリエイターが執筆を続けられなくなる原因である。

私はnote以外のSNSを全部やめ、noteではコメントとサポート機能をオフにして、批判を受け取らない構造を作っている。
ここまでするのは、一定のプロフェッショナル意識を持つようなクリエイターにとっては「基本のき」である。私はサルでもできることをやっているだけだ。

逆を言えば、自分にとって執筆がゼロコストになる方法を見つけ出し、批判を受け取らない構造を作り出せば続けることができる。
現に、私は2年間、体調の変化に関わらず連載をほぼ落とさずにここまで来ている。

このように、執筆活動においては「執筆のゼロコスト化」「批判を受け取らない構造の構築」が不可欠である。

そしてもう1つ、執筆継続において大事なファクター。
それは「現実世界での人間関係をちゃんとやる」である。

いま、インターネットを見渡すと、気が付いたらランキングバトルに参加してしまって苦しんでいるクリエイターを多く見かける。
自分は好きなように創作をしていたいのに、誰も作品を見てくれないからランキングバトルに参加して、他者を蹴落としてでも目立たなければならない…
そうやって、血で血を洗うアルゴリズム合戦でインターネットはすでに血の海である。

しかしそもそも、インターネットにいる人々はなぜ「ランキングバトルに晒される」ことになるのか?
答えは簡単だ。「現実世界で人間と関わるコストを滞納している」からである。

よく考えてみてほしい。
SNSに常駐しているクリエイターの中に、果たして現実世界で普段から一定以上の人数の人間と関わっている人は、どれくらいいるか?

そもそも「気が向いた時にフラッと飲みに行ける友達」が10人いたら、わざわざインターネットで「ただの架空の数字でしかない10000いいね」って、必要?
普通いらないでしょう。

そこまでの人数の飲み友達がいなかったとしても、普段からきちんと外に出て人間と関わっていれば、自然と「インターネットで自分の作品が評価されない」ことは、体感として何の問題でもなくなるものだ。

そもそもインターネットにおいて、自分の作品の上位互換を作ることができる人は腐るほどいる。
そうでなくても、「人間・上位互換」の技術を磨き続けているAIにいずれは全人類が抹殺される。

そうなっていく中で、クリエイターにとってもっとも大事なのは「作品が評価されなくても、目の前の現実世界に大切にしたい人間がいる」という状態である。
作品の出来に関係なく「明日飲みに行こうぜ!」と言える友達。
あるいは、家に帰れば暖かく迎えてくれるパートナーと子供。
そういう「血の通った人間関係」がなければ、創作という孤独な領域で動き続けることはできない。

つまり、現実世界にちゃんと出て、目の前の人間関係を大事にしなきゃ漫画執筆なんてとても続けられないよ、ということである。

私は執筆当初からそのことを留意し、執筆の傍らで現実の人間関係を開拓し続けてきた。
私の活動を古くから知っている人ならご存じだろう。
そのおかげで、現実世界に大事にしたい人間関係がたくさんできた。
そしてそれが、何よりも執筆活動を続けるためのセーフティネットになってくれているのだ。

今からでも、目の前の人間関係を大切にしていかなければならない。
クリエイターならなおさら。
執筆活動に力を注ぎすぎて、人間関係を蔑ろにし続けてきた人は、いずれ「インターネットでちやほやされるため、ランキングバトルで勝たないと価値のない作品」の呪いに縛られ、破滅してしまうから。

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