MorningTree
アメリカ元大統領夫人であるミシェル・オバマの回顧録『Becoming』を読み終えた。邦題はマイ・ストーリー。彼女がホワイトハウスの庭の一角を菜園にして、子どもたちのための食育活動に力を注いだ話に以前から関心があったことから手に取った一冊だ。ミシェルが近隣の小学校の子供たちと一緒に土を耕し、野菜の苗を植え、大切に育て、収穫した野菜を使ってホワイトハウスのシェフを交えて子供たちと料理をした様子が生き生きと描かれている。土を触りながら子どもたちとお喋りするのが素晴らしい時間だったと
「世界一美味しいオレゴンの青空レストラン」の舞台であるグラスルーツガーデンを運営するのはフードバンク FOOD for Lane County(レーン郡のためのフード)だ。 日本ではフードバンクの知名度はアメリカほど高くないが、その活動がコロナ禍で注目を浴びるようになった。フードバンクとは、安全に食べられるのに過剰在庫や規格外などの理由で販売できない食品をスーパーなどから寄附してもらい、それを必要とする団体や人に無償で提供する活動だ。 フードバンクに集められた食料は、フー
シリーズ5回目の今日は、グラスルーツガーデンの青空レストランがなぜ「世界一美味しい」のか、楽しいお料理の話題を中心にその本質に迫ってみたい。 夏のグラスルーツガーデンはトマトが鈴なりだ。小さいチェリートマトから大きいのまで照りつける太陽の下で赤く色づく。オレゴン育ちのトマトは大きくて味もワイルド。一方、小さいチェリートマトはフルーツのように甘いので、収穫しながら味見するのが楽しくてたまらない。暑さで体力が消耗する時期、トマトの水分にはずいぶん助けられた。 オレゴンの夏も気
今回のテーマは土。グラスルーツガーデンのマネージャーのメリーが一番こだわっていたのは土だ。土が良くなければ美味しい野菜はできない。すべては土から始まる。私たち親子はガーデンで土と深く向き合う時間をたくさん過ごした。 2月、オレゴン州ではクロッカスの花が咲き春の兆しが感じられる頃、グラスルーツガーデンではガーデンベッドの準備に忙しくなる。ここでは畝のことをガーデンベッドと呼ぶ。オレゴン州は秋から冬にかけて雨季となり毎日のように冷たい雨が降る。冬は雪や氷に閉ざされることもあり畑
グラスルーツガーデンには毎年2千人のボランティアやインターンが訪れる。ユージン市の中心街からバスで15分というアクセスの良さも手伝って車がなくても誰もが気軽に足を運べる。都市農園の強みだ。 フードバンクが運営するこのガーデンではボランティア希望者が多く人材には事欠かない。ここで収穫された有機無農薬野菜は経済的な理由で十分な食料が買えない人の元へ届けられる。大勢のボランティアや寄付のおかげで、新鮮で栄養満点の野菜を無償で提供することができるのだ。道具、苗や種、肥料、ホースなど
有機無農薬の果物と野菜が育つグラスルーツガーデン、そこにはワクワクするようなサプライズがたくさん隠されていた。「ガーデンのプラムの木の下に住みたい」とまで言い出す娘。写真の記憶を辿りながらそんなガーデンの魅力に迫ってみたい。 グラスルーツガーデンは、目に入ってくる景色が変化に富んでいる点が印象的だった。平坦な土地ではあるが、果樹、低木、野菜、花など高さの異なる植物の配置を工夫することで景観にバリエーションを出している。日本庭園を研究したランドスケープデザイナーがこのガーデン
「見てみて、こんなにたくさん収穫できたよ!」娘のミンモがたくさんの果物と野菜を大きなトレーに丁寧に並べている。「ぜんぶ持って帰っていいんだって」と幸せいっぱいの笑顔。 今から6年前、当時小学生だったミンモが友だちのエラとグラスルーツガーデンで収穫した果物はすべて有機無農薬、大粒のブラックベリー、ラズベリー、黄色のプラム、葡萄がぎっしりとトレーに並んでいる。食べてみるとどれも瑞々しくて甘い。地元のオーガニックショップで買い求めたら50ドルはするだろう。 本当にこんなにたくさ
下記NOTE初投稿では、オレゴン暮らしの中で「ガーデン」に心をつかまれた体験を書いた。今回は小学校のスクールガーデンで子どもたちに教えたこと、私が教えられたことを伝えていこうと思う。 オレゴン州レーン郡 スクール・ガーデン・プロジェクト スクール・ガーデン・ プロジェクト(以下略してSGP)は、常に高い人気を誇るNPOだ。オレゴン州では、約25000ものNPOが助成金や寄付の獲得を巡って熾烈な争いを繰り広げる中、SGPのビジョンとミッションに共感してボランティアや寄付をし
今から約3年前、アメリカのオレゴン州から帰国する時どうしても日本に持って帰りたいものがあった。それはガーデン、仲間が集って野菜や果物を育てる菜園だ。オレゴン暮らしの中でガーデンはかけがいのない存在だった。美味しいものが詰まったガーデンは私たちの食卓を豊かに彩ってくれた。 西海岸にあるポートランドから車で南下して2時間の所に位置するユージン市、自然に囲まれた大学街は学生時代の留学を合わせると5年間暮らした故郷の一つだ。夏はあたり一面がエメラルド色に輝いているようなところだが、