サービスとおもてなしの違い
最近読んだ『アフターデジタル2』の中に、「サービス」と「おもてなし」の違いについて述べていて、なるほどなと思った記述があった。
「サービス」は、仕えるとか尽くすという意味の serve からきている。つまり召し使いさん (servant) のように
相手の御用を聞き、相手がやりたいことを実現する。
相手に対応するように接客・接待をする。
といった意味が含まれている。
一方で、日本の「おもてなし」は
美徳やモラルが共有されていることを前提に
こちらが作り出した世界観を相手に提示する。
お辞儀の仕方、言葉遣いなど、完成された世界観や哲学をを基に、
すべての所作を完璧にこなす。
というもので、ユーザ側が「そうしてほしい」と思っているわけではないけれど、その所作や対応に美しさを感じたり、魅了されたりするとのこと。
言い換えると、
・サービス:不満を解消する
・おもてなし:相手の心を動かす
ということになるのかな。
世の中は今後もどんどん便利になっていきそうだけれど、「不満を解消する」だけだとみんなが最適解に落ち着く。そこで、山口周氏や安宅和人氏の言う「価値観」「夢を形にする」といった、不満を解消するだけではなく、「おもてなし」的な発想が優位になる時代に突入しているということなのだろう。
今年は特にデジタル化が騒がれた年だった。しかし効率化だけでは足りなくて、その先にある「実現したい世界」を描きそこに向かっていくことが重要なんだと改めて感じている。