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BOOK REVIEW vol.094 Hanako特別編集 365日楽しい町、京都。

今回のブックレビューは、『Hanako特別編集 365日楽しい町、京都。 (MAGAZINE HOUSE MOOK)』(マガジンハウス)です!

「京都」という文字を見ると、つい目で追ってしまう。それが本や雑誌であれば、引き寄せられるかのように思わず手が伸びてしまう。どうしてこんなに京都に惹かれるのか? 自分でもうまく説明ができずもどかしくなるけれど、「18年間、住んでいた町だから」という理由だけでは語りきれない、不思議なご縁と魅力を感じる町…それが私にとっての「京都」なのだと思う。

『365日楽しい町、京都。 』というタイトルの素敵なこと。“365日楽しい”とは何と大げさな、と思う人もいるかもしれないけれど、私は「そうそう!」と同意したくなる。京都は、創業1000年以上(!)の老舗や、流行をいち早く取り入れた新店が多く軒を連ね、伝統と新しさをぎゅっと凝縮したような町だ。にぎやかな大通りも良いけれど、一本奥に入った路地にも歴史のある建造物が点在し、京都らしさを感じられる扇子や下駄などの和装小物の専門店、列をなす人気洋食店やオシャレな隠れ家カフェにも出会えたりするので、ふらりとお散歩をするだけでも毎回、楽しい発見がある。

誌面には、美しい写真と文章で京都の魅力が余すことなく紹介されており、眺めているだけでも豊かな気持ちになる。京都ツウの方なら玉子サンドやおうどんの味、お店や場所にまつわる思い出を思い浮かべながら。京都にそれほど馴染みのない方でも、「いつか立ち寄ってみたい」、「食べてみたい」、「体験してみたい」と心に留めておきたくなるような情報が数多く掲載されている。

私自身は京都ツウではないけれど、学生時代に通っていた思い出深いお店や場所がいくつか掲載されており、思いがけず懐かしさで胸がいっぱいになった。当時の自分の状況や心境、一緒に行った人のこと(元気かな)、お店の匂いや、店員さんとのやりとり、必ず注文していた料理、夜の賀茂川から聴こえてくる虫の音…。店名を見ただけで、昔の記憶が次から次へと思い起こされる。15年以上の時を経て、将来に対する不安を抱えながら過ごしていた当時を、まるごと愛しく感じることができた。

京都を想い、懐かしい思い出に浸り、私の心が満たされていくような一冊だった。そして今度、久しぶりに京都の町めぐりをしようと心に決めた。京都は近いけれど、あえて一泊するのも良いかもしれない。365日楽しい町で、これからも心がじんわりとあたたかくなるような思い出を重ねていきたい。もし、「好きな二字熟語は?」と問われることがあれば、即座に「京都!」と答えようと目論んでいるくらい、やっぱり私は京都が好きだ。

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もり さとこ
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