三浦春馬 ダイイング・アイ 妖しく危険な瞳
バーテンダー春太
私がこのドラマを見てみようと思ったきっかけは、番宣として制作された 「バーテンダー春太」の動画を見たからだ。
"いらっしゃいませ" と言う低く落ち着いた声、白シャツに黒ベストという鉄板のバーテンダーの出で立ち、腕を上下させシェイカーを振る姿なんてもう、ぼーっとして見惚れる程いい男だ。
最後の一滴も垂らさないようにシェイカーをシュっと切るようにしてグラスに注ぎ終わり、綺麗な色のカクテルをあの美しい手でスッとカウンターに差し出す。
全ての所作が完璧である。
春馬くんは役作りのため、実際にバーカウンターに立ちカクテル作りもさせてもらったそうで、こんなバーテンさんがいたら、店内は女性客で超過密状態になり、男性客は外へポイッと押し出されそう…。
実は私、20代の頃に本業とは別にショットバーでアルバイトしていた事があり、見たところ、春馬くんはシェイカーの構えや振り方などもかなり練習したと思われ、このままお店で働いていただいても全く問題ないレベルかと。
もし春馬くんみたいな同僚がいたら、毎晩仕事へ行くのも俄然やる気が出たと思うが、現実では、お爺ちゃんバーテンダーのオーナーと二人で店をまわしていた。
狂気的サスペンス
ストーリーは、ミステリー仕立ての狂気をはらんだホラーサスペンスという感じで怖い。昼間のシーンもほとんどなく、原作:東野圭吾らしい終始ダークな雰囲気。
瑠璃子役の高橋メアリージュンさんが、人形のような人工的美しさでハマり役。
見つめられたら石にされそうなメデューサの如き目力が凄くて、事故シーンが何度も繰り返されるため、夢に出て来たらうなされそう…。
そんな悪魔的な魅力に翻弄されるのが、春馬くん演じる雨村慎介だ。
瑠璃子に見つめられると、何か危険だと頭ではわかっていても、催眠術にかかったように惹き寄せられてしまうのだった。
春馬くんは、女性に振り回されるような役が多い。やっぱり根の優しさが滲み出てしまうからなのか…。
その反面、慎介は、記憶喪失と贖罪の意識に苦しみながらも、夜の世界では育ての親ともいえるバー・オーナー江島(生瀬さん)と事故をめぐって取引したりするしたたかさも持ち合わせていて、同棲している成美ともお互いを利用し合っているようなクールな面も見られる。
全体を通して、人間の無責任さ、弱さ、自己欺瞞を炙り出すような話だった。
大人春馬の魅力全開
私の中では、この「ダイイング・アイ」と「Two Weeks」の春馬くんは、セットで大人春馬ゾーンに分類されている。
若春馬の色気がダイヤのキラキラした輝きならば、大人春馬の色気は闇の中で鈍い光を放つ半輝石といった感じだ。
春馬くんは若い時から大人びて見えたけれど、二十代後半の二、三年で急速に本物の大人の男になって行った気がする。
ドラマやオフの時でも無精髭姿を見せるようになり、大人の男の色気が半端ない。無精髭、額にかかる長めの髪、大好物である。
今思い出したけど、私が初めて「せかほし」で春馬くんという存在を認識した時も、無精髭、長めの髪というルックスだった。無茶苦茶好みである。
大人春馬は母親目線にならずに見ることが出来る(笑)
そしてこの作品は、まさに夜帯のドラマ。民放ではないWOWOWだからこそ、ここまで出来たのだろう。
今までの春馬くんにしては、かなり際どいベッドシーンにも挑戦している。
松本まりかさん演じる恋人の成美との絡みはリアルな感じで、出勤前の成美にムラッムラッとした慎介がベッドに押し倒したり、キスシーンも濃厚、タバコを吸う仕草もちょっとヤサぐれた雰囲気で、春馬くんの新たな魅力を発揮している。
瑠璃子との絡みでは、春馬くんも大人になったね…的な、見えそで見えない濡れ場やら、ちょっと過激な描写もありで、鎖で繋がれちゃう倒錯的なシーンの後の展開にも息を飲む。裸にネックレス姿の春馬くんもセクシー。
いやぁ…「ラスシン」とはまた違うドキドキ感があるね…。ありがたや。
大人の色香が漂う春馬くんを堪能できます。
その一方で、喫煙シーンのために、普段タバコを吸わない春馬くんとまりかちゃんは、二人でこっそりタバコを吸う練習をして、むせたりしていたそうで、そういう所は相変わらずマジメかって感じで可愛らしい。
若い頃のインタビューで、本当は狂気を秘めたような役もやってみたいけれど年齢的にオファーがない、というような事を言っていたけれど、これからはそういう役も来ただろうし、もっと色々な顔の春馬くんを見てみたかった。
このまま年を重ねたら、さぞかし苦みばしったイケおじになったことだろう。
アプリを使って60歳くらいになった時の春馬くんを想定した画像をSNSで見かけたけれど、草刈正雄さんとJ-WAVEナビゲーターのクリス・ペプラーさんを足して二で割ったみたいな風貌だった…(泣き笑)
そうやってファンである私たちは、春馬くんのあるはずだった未来を想像するしかないのが切ないけれど、ファンの飽くなき春馬愛を感じて、ちょっとウルッと来た。
ラスト
このドラマは、決して明るい結末ではないが、今までのことは全部忘れて一から出直しなさいと、バー茗荷のママに言われても、全て忘れないことが自分の償いだとした慎介の誓いが唯一の救いだった。
バーテンダーを辞め田舎へ帰ることにした慎介にママが 、"この仕事をやるには正直すぎる" と言うセリフが、なんだか役ではなくて春馬くんに言っているような気がしてしまい、また胸が痛んだ。
もう春馬くんはいないのだという、この残酷な現実の方が、醒めない悪い夢をずっと見続けているような気がする……
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