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#アート思考
アート思考とエフェクチュエーションの関係
番外編⑦では、デザイン思考とエフェクチュエーションの関係を取り上げた。そして、その際、議論の入り口として、デザイン思考とエフェクチュエーションに共通するのは、不確実性への対処を主眼に置いていることと、予測とは異なるアプローチを採用していることであると述べた。
しかし、それらの2つの条件であれば、アート思考も十分に満たしている(Whitaker, 2016)。アート思考の登場も、不確実性の増大
デザイン思考と起業行動 PARTⅣ
前回はデザイン思考の概念拡張に伴い、その理論的な性格も従来の問題解決から学習プロセスへと変質する可能性があることを述べた。ただ、先行研究の中には、狭義のデザイン思考をイノベーションのプロセスに埋め込むことで、それを学習プロセスに変換することができると主張するものもある。Backman and Barry(2007)は、デザインと学習は共に「経験」を鍵概念とし、親和性が高いと述べている。また、デザ
もっとみるデザイン思考と起業行動 PARTⅢ
前回述べたように、狭義のデザイン思考とリーン・スタートアップやアジャイル開発はそれぞれ考え方の一部分を共有するものの、基本的には別物として捉えることができる。そのため、Dell’Era, Magistretti, Cautela, Verganti and Zurlo(2016)が行ったように、それらを足し合わせることは形式的には可能なように思われる。彼らは、狭義のデザイン思考にリーン・スタート
もっとみるそれぞれの思考法の間で重なり合うところ
拙著『デザイン、アート、イノベーション』ではどちらかと言えば、デザイン思考、デザイン・ドリブン・イノベーション(以下、DDIとする)、アート思考、それぞれの間にある「違い」にスポットライトを当ててきた。そこでは、デザイン思考は「あなた」に焦点を当てた(イノベーション創出のための)アプローチであるのに対し、DDIは「人々」に焦点を当てたアプローチ、アート思考は「私」に焦点を当てたアプローチであるこ
もっとみるインクルーシブデザイン
本編⑫では、デザイン思考の実施に際して、これまでターゲットとされてこなかった少数派の狭いニーズや、極端な行動をとる人々の深いニーズを優先的に探し出そうとすることがよくあると述べた。そうすることで、誰も気づいていないニーズ(指摘されて初めて気づくような潜在的なニーズ)や、今はまだ小さくても将来大化けする可能性のあるニーズを探り出すことができるためである。
このような“これまで排除されてきた人々