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『夫婦トレ(めおトレ)』時代の変化に伴って多様化する夫婦の価値観

今回は、はあちゅうさんと、しみけんさんの共著『夫婦トレ(めおトレ)』をご紹介します。

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お2人が事実婚されたのを知ったときは、本当に衝撃的でした。

はあちゅうさんは、インフルエンサーとして、作家としてもご活躍。
一方でしみけんさんはAV男優。

私はしみけんさんは、あまり存じ上げていなかったのですが、お2人が夫婦となられてから、今まで存在が遠かったAVの世界が人の営みの中の大切なコンテンツなんだと思うようになりました。

常に目を離せないご夫婦として、個人的に注目しています。

この本の元になっていた連載も、毎回すごく楽しみでした!

「いつか書籍になるのかな?」とずっと待ち望んでいたのでこうして読むことができて嬉しかったです。

結婚生活について包み隠すことなく、お互いの本音で語られているからこそ、性的なことも全然いやらしく感じないのが不思議。

お2人のテンポ良いぶっちゃけトークに笑ってしまったり、考え方も新鮮でした。

とても仲の良いご夫婦なので、違うことが山ほどあることが意外でした。

たとえば、はあちゅうさんの世代はデータで引き継げばモノはいらない、という価値観。

一方でしみけんさんは、モノで残したがる、持ちたがる世代。本も紙で読みたい派だそうです。

何から何まで、いろいろ違う!

はあちゅうさんはネガティブ、しみけんさんは超ポジティブ。

はあちゅうさんは、「ポジティブな人といると、それだけで体にいい」とメンタルの安定をしみけんさんからもらっているそうです。

「社会の最小単位である家族、その構成員の多様性を認めるのが、社会で生きていくための訓練になってるってことだよ。
違う2人が、衝突しながらも協力して、自分たちの生活を良くするために頑張って、ようやく家族として成立する。それができなきゃ社会なんて成立させられないよね。」(p82)


家族だから何十年経っても許しあえる。
受け入れたり、学び合ったり。

そんな、はあちゅうさんの家族観は、いろいろなことを越えてきたからこその言葉。

一方で、根本的な考え方や価値観は似ているのかなと感じました。

問題が起きたときは、夫婦でたくさん話し合って、コミュニケーションを取ることが大事だと学びました。

ただし、その話し合いのテーマの種類が、この2人はひと味もふた味も違って深すぎました。

結婚生活、夫婦の関係性はひとつの価値観で縛られるから苦しくなる。

新しい時代はもっと多様性が認められて、夫婦や家族の数だけカスタマイズできたらラクになれるのに、と感じました。

男女の仕事と家事の役割から、事実婚、不妊治療、妊娠、出産、育児、性欲、セックスレス問題、ポリアモリー、子どもの性教育、嫁姑との関係など、テーマは多岐に及んでいます。

夫婦関係の本は数あれど、ここまでぶっちゃけて真に迫った本は読んだことがないです。

実際には、夫婦だからこそ、そこまで踏み込んで話すことって難しかったりもしますよね。

はあちゅうさんとしみけんさんは、オープンで対等な関係だからこそ、自然に柔軟な考え方ができるし、それはお互いの関係性を良くするにはどうしたらいいんだろう?って根っこがある。

家族って家族で問題を抱えているほど、一家の恥みたいに思ってしまって、他者から見えないように内に内にと閉じこもりがちですよね。

だからこそ問題がすごく深刻化したときには、自分たちだけではどうにもならくなることがある。

これからは、もっと家族も開かれて、膠着してこじれた夫婦や家族の問題も第三者の視点やアドバイスが得られるといいですよね。

夫婦カウンセリングはハードルが高い方は、この本一冊読めば、新しい考え方が得られると思います。

結婚生活の正解って、本当にない。

だからこそ、それぞれの夫婦のカタチとか、落としどころを根気強く探し当てていくしかないんですよね。

はあちゅうさんの、結婚生活における家訓がとても良いなと思いました。

「ご機嫌でいる」こと。

結局のところ、ホントこれに尽きる。シンプル!

すっごく難しいから、お互いに努力しないといけないけど。
家族が心地よくあるためにとっても大事な考え方だと身に染みて思います。

しみけんさんの「あとがき」もジーンときました。

他の文章は面白くてためになるんですが、「ピー!」って部分が多すぎて・・・。

ここには書けないので、こちらの言葉を引用させて頂きます。

"こうしてあとがきを書かせていただいていますが、途中に出てきた「言い合い」という文字をパソコンで変換したときに「いい愛」と誤変換されたのを見て、「なるほど!言い合いの先には、いい愛が待っているんだな、って思えることができれば今の状況も無駄ではない」ことにも気づかせてくれました。いくつになっても発見することはあるんですね。"(p233)

どんなネガティブな状況も、ポジティブな学びに変えるお2人。

ネガ×ポジ夫婦の、元気が出る素敵な本でした!
夫婦関係に悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。





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森本木林(きりん)@読書研究家
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