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春、はなびら

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#恋愛

あの子の日記 「最後のふたり」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 サイフォンに残ったコーヒーを冷たいカップに半分注ぐ。温かいうちに飲みきれば良かったんだけど、今はそんな気分になれない。向かい合わせに座ったシュンタは、サイフォンとカップを空っぽにしてテーブルの端によけている。 話題が尽き、ここにいる理由もないのに「帰ろう」と言い出せないのは、今日が恋人として会う最後の日だからだろうか。別れ話がチャラになって、「やっぱり俺はお前がいい」なんてふざけた台詞を心のどこかで期待しているからだろうか

あの子の日記 「ホエイ」

食欲のない昼過ぎに何か食べるならヨーグルトくらいがちょうどいい。調理しなくていいし、スプーンですくって口に運べば、噛まなくたってそのまま飲みこめる。食べることも、寝ることも、なんなら起きていることも面倒くさく感じる今日のような日のために、冷蔵庫にストックしておくべきだった。 数日前からまともに食事をしていないせいか、予想外の春の暑さにやられそうになる。のそのそと座椅子から立ち上がり、食材に期待せず冷蔵庫を開ける。気持ちのいい冷気の向こうには、買った覚えのない大容量のヨーグル