見出し画像

信州ビーナスライン サウナ放浪記 vol.3 【茅野 金鶏の湯】

秘湯中の秘湯を見つけるのもフロガーの喜びだが、あえてローカル中のローカルな公衆浴場巡りというのも乙な楽しみ方だと思っている。
地方にいくと、公衆浴場はコミュニティスペースであって、イギリスでいうパブ=日本の公衆浴場で、行くたびに風呂に浸かる恍惚なおばちゃんたちの表情をみたり、休憩所の茹でたて赤ら顔でチルするおじいちゃんたちを見ていると『ちょww 日本人、風呂好きすぎでしょwww』(リスペクトも込めて)と思わずつっこみたくなるのである。
ヤマザキマリさんのテルマエロマエも、『こういう感動が源泉として生まれたマンガなんだろうなー。うまいなー。先を越された!』と若干嫉妬してしまうのだった。

長野県の公衆浴場やサウナに来ると、地元のおばちゃんたちの会話を盗み聞きするのが密かな楽しみだ。それは、リアルな生活者を観察したいからではなく、方言まじりな会話が今は亡き祖父母がぶどう園に来たお客さんと話していた感じを思い出して、とても懐かしいからだ。
私の家族で今はあのずーずーな信州弁を話す人は誰もいないので、今はもうお風呂くらいでしか聞くことはできない。

と、突然センチメンタルになったところで、高原生活3日目は、高原を下りてからそこまで遠くない茅野市の金鶏の湯へ。茅野市街からは少し外れたところにあり、外観も内観も公民館のような佇まいをしている。周りに娯楽施設もあまりない中で、ここは街の人のコミュニティスポットになっているらしい。有名な温泉は数あれど、こういうローカルスポットにお邪魔して、地元の方の暮らしぶりをのぞき、信州弁の会話を盗み聞きをしてみたいと思う。

さっそく下足室に入ると、受付の方と出てきたおじいちゃんの信州弁やりとりに和む。『行くずら?』って語尾、うちのおじいちゃん以外で久々に聞いた〜!とひとり感動を噛み締める。

さて、こちらの金鶏の湯の由来はなにかというと、このあたりは昔武田信玄が開発した金山があり、その鉱脈が鶏の形をしていたことから金鶏金山とよばれていたらしい。江戸時代には、その名の通り一攫千金を狙った金人たちの家が千軒以上も立ち並んでいたとか。
ゴールドラッシュが信州にも!!
ここの温泉も、金を採掘したら沸いちゃったのかは知らないが、地元の銭湯で良質な天然温泉が楽しめるのは羨ましい限り。

浴場のお風呂は内湯一種類のみのミニマルなスタイル。横には小さな水風呂も設置。そしてしっかりサウナも完備。

茅野市HPより

平日の昼からお湯に浸かってみんなでわいわいお話しているおばあちゃんたち。みんな同じ学校を卒業して子供たちも同じ学校にいっているようだ。
私は自分の育った街に銭湯があった経験がなく、近所の人たちと裸の付き合いをしたことがないので、PTAがみんなお互いの裸を知り合っているってすごい不思議な感覚だ。
介護や夫のグチとか、最近来ない人の話とか、誰かの子供が免許とったとか、話題はつきないようだ。まさに、彼女たちは茅野のゴシップガール。

ゴシップにも飽きたのでサウナへ移動し、静かな時間を過ごす。
茅野市の市営サウナはボナサウナが多いようだ。ここでも上品なピアノBGMが流れている。茅野市サウナフォーマット、私は結構好き。

水風呂は地下水を引いているだけあって冷たい。体感8度くらいの冷たさなので、これはいわゆるグルシン(サウナ用語で水風呂の温度が10度以下のことを表す。シングルから由来)というやつか。一瞬で冷たくなるので、長居はできないが、これは水風呂の中ではなかなか攻撃力高めだ。ととのいスペースはないので、お風呂の椅子を拝借し、まだ続くゴシップを聞く。

3セットしっかり決めてから風呂を出て、公民館のような趣ある休憩所にて牛乳タイム。
長野の銭湯は、お風呂上がりの牛乳銘柄がよいのも好きだ。

しぼりたて八ヶ岳牛乳、喉越し最高!

日あたりのよいステージ付きの休憩室には、テルマエロマエに出てくるようなおじいちゃんが気持ちよさそうに昼寝をしていた。
日本人は、やっぱり風呂が好き。
そして公衆浴場は、その街の人そのもの。

XOXO  Gossip Girl 

金鶏の湯
長野県 茅野市 金沢2316-1
入館料 茅野市民400円 市外600円
天然温泉 あり
サウナ ボナサウナ
水風呂 あり
外気浴 なし
アメニティ リンスインシャンプーとボディソープ
ドライヤー あり
客層 地元方多め 冬は県外スキー客もいる
フロガーポイント 牛乳がうまい!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集