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「Be yourself~立命の記憶~Ⅱ」第4話
女子トーク2
10月27日(木)。
相変わらず私は、「ねぇ、話聞いてくれない?」と午前中から彼女達に尋ねていた。
刈谷さん「いいですけど、私達まだ仕事中だから時給発生してますよ。お金払うのは森川さんだけど、いいんですか。フフフ。」
私は、懇願するような言い方で、叫んだ。
私「いいよー!お願いだから話聞いてー!!お金払うから話聞いてー!!」
二人「アハハハ!!」
私「ハハハ・・・。」
相変わらずの社内で、女子トークが炸裂。
私「ねぇ、私こんなんで彼に会って、ちゃんと何もせずに帰って来れるかな?」
刈谷さん「いや、もぅ、こればっかりはねぇ。」
金さん「ねぇ。」
私「いやー、マジでヤバイ。だってチューぐらいはしたいなんていうゲスな私が居る。」
刈谷さん「だったら、チューしなきゃいいじゃないですか。」
私は、ちょっとガッカリしたような気持ちと共に吐き出した。
私「えぇー、だって、20年間も好きだったんだよ?チューぐらいさせてくれよー!」
二人「アハハハ!!」
私「それとね、私、彼には言いたい事があって。昔、自分の気持ちに正直になってればこんなに私達すれ違わなかったんじゃないかって。」
金さん「それ、彼に言うつもり?」
私「え、ダメ?」
金さん「だって、それ言っちゃったら、今回こそは正直になっちゃってその後大変な事に なるでしょう。」
私「いやいや、今正直になるんじゃなくて!今後はそうしろっていう話でもあるけど、 私に対してじゃなくて!だってほら、ここにもう書いちゃったんだよね。」
私は、パワポの資料を指さして言った。
私「ほら、ここの5ページ目ね。彼が素直じゃなかったからこうなったワケじゃん?だからもっと自分に正直にって伝えたくて。」
刈谷さんがすごい軽蔑したような目で見てる。 あれ、私、何かおかしな事言ってる??
私「ねぇ、だって、今はさ、ほらここにも書いたけど、私は家庭を壊したくない、彼も彼女を大切にしているはずでしょう?」
金さん「彼が遊んでる男になってるなら、言っちゃダメよ?」
私「え?なんで?そうなの?」
二人「そうでしょー!」
私「え、何で?ごめん。全然分かんない。」
金さん「だって、今の自分に正直にって事は、ヤリたかったら正直に誘えって事じゃない。」
私「えぇぇ!!イヤイヤイヤ、そういう意味で正直になれって言ってるんじゃないって!」
刈谷さん「ホント~???」
私「いや、ホントそうだって!今後の彼の恋愛において、不器用な部分を克服して自分に素直になれって言いたいだけなの!」
金さん「ホント~???」
私「いやいやいや、本当だってば。素直に○ンポ立てろって意味じゃないから!」
全員「アハハハハハ!」
私は女子だけだから言えるような下品な事をサラリと言った後、 彼にだけは、私がこんな事言えるような女になってるなんて絶対バレたくないと思った・・・。
そして、資料の7,8ページに目を向けて、自分の心を律した。
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2日目は、エビの釣り堀に連れていってくださるとの事なので、そこで仕事の話をゆっくりしよっと。
これは仕事!仕事なの!
浮かれポンチな気持ちは置いといて、ちゃんと身になる経験をしなきゃね!
私は、事業の海外展開も視野に入れて(本当はそんな大それたことはまだ考えてないけど)、自社のパンフレットを鞄に入れた。
翌日の10月28日(金)。
オフィスの二人の仕事終わりを見計らって、私は言った。
私「あ、そんでさぁ、やっぱあたし、好きなのバレバレ?」
金さん「バレバレ。」
刈谷さん「だからバレバレだってば。」
私「そっかー・・・どうしよー・・・」
私が、考え込んでいる間に、みんな帰り支度を始めた。
そうだ!私、話する時に気をつける事を書いておこう。
私は、みんなを引き止めた。
「あ、ちょっと待って待って、私、気をつける事メモしておくから!」
私はパワポを開いて、タイトルを書いた。
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カタカタカタ・・・
心で思っていることも、頭で考えていることも、一度文字にして書き出すと記憶に定着できるはず。
もう失敗は繰り返したくない。
「はい、じゃぁ、えーとまずなんだ、私空気読めないからそれ分かっておかないとね。」
カタカタカタ・・・
私「あと恋愛の駆け引き出来ないし、言葉の裏が理解できないね。」
カタカタカタ・・・
私「あ、あと、価値観の違いを理解してもらおう。」
カタカタカタ・・・
私「ねぇねぇ、あと何かあるかなぁ?」
刈谷さん「ホテルの部屋まで付いてきたら警戒したほうがいいですよ」
私「え、そうなの?ドアの前とかでチュー出来ないの?」
金さん「部屋まで送るよって言われても、連れてきちゃダメよ?」
私「え、でもそれだったら、別れ際チューも出来ないじゃん。」
刈谷さん「ロビーで軽くじゃない。」
金さん「昔とっても好きでした。傷つけてごめんね、ありがとう、でおしまいよ。」
私「えぇぇぇぇー、だって20年も好きだったんだから、チューぐらいさせてくれよー!」
金さん「アハハハハ」
金さん「あ、あとね、家に来る?って言われたら『いいんですか?』って言うのよ。」
私「いいんですか?って?」
金さん「そ。『いいんですか?』ってね。」
まったく意味が分からない私・・・。
刈谷さん「まぁ、チューだけじゃ終わりませんって。」
金さん「もうね、出たとこ勝負よ。」
刈谷さん「森川さんがしたかったらすればいいし、したくなかったらしなきゃいいんです よ。」
私「え!いやいや!だって最後までしちゃったらバレちゃうよ!」
刈谷さん「バレませんよー。」
私「イヤイヤイヤイヤ、バレるって!絶対バレる!あそこの大きさ変わるらしいよ。」
刈谷さん「んなワケないでしょー。」
私「イヤ、TVで言ってたんだって。浮気相手のサイズになっちゃうからゆるくなったりするって。」
刈谷さん「迷信でしょー。」
私「いやぁ、まぁ、そんな身体の問題よりも、ウチの主人に隠し通せる自信がない。」
金さん「まぁ、それはそうだわねー。」
私「隠すというよりも、あんなにステキなウチの主人を裏切るワケにはいかない。」
金さん「今回のきっかけだって、旦那さんが許してくれたからなんだしねー。」
私「でしょ?だから、私は絶対最後までしない!決めた!絶対しないぞー!おー!」
金さん「まぁ、海外だからねぇ。」
刈谷さん「海外だしねぇ。」
私「イヤー!もうやめてやめてー!」
刈谷さん「まぁ、したかったらすればいいと思いますよ、私は。」
私「えぇぇぇ??もーぅ、そんな事言わないでよーぉ・・・。」
刈谷さん「じゃぁ、まぁ、お気をつけていってらっしゃーい。」
金さん「お気をつけてー。」
私「はーい・・・。」
二人「お疲れ様でしたー。」
私「はーい。気をつけていってきまーす。お疲れ様ー。」
もー、どうしよ・・・。したかったらすればいいって・・・。 私、言われた事をそのまま真剣に受け取ってしまうんだよね。
ちょっと自信無くなってきた・・・。
そして、私は、気をつけることをメモした資料の続きを作る事にした。
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・私は空気が読めない人という事を理解する
・恋愛の駆け引きが出来ないので言葉の裏が理解出来ない
・価値観の違いを理解してもらう
・ホテルの部屋に付いてこようとしたら警戒心を出す事
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うーん、あと何かあるかな? 思い浮かばない時は、図解だ図解。右側が私、左側が彼。感情の大きさは文字の大きさに 比例する。資料は視覚で分かりやすく、よ。やっぱ私仕事デキる女でしょー。
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うーん、こうやって見ると、私、好きとかキスしたいとかそればっかりだなぁ。
理性少な! それに比べて彼はとても理性的な人だ。 あ、ウチの主人もそうだ。
私、理性的な人がタイプなんだね。
いや、理性的に見えて実は情熱的なのがウチの主人だわ。
オフィスに誰も居なくなってシーンとなったので、 私は Youtube で、The Chainsmokers の「Closer」をかけた。
この時、流行っていてハマった曲。
よし、図解の結果分かった事。
・彼は理性的な人
・私は本能的な人
て、ことは、変な事しないようにするのは、私のほうか!!
私に引っ張られるとダメって事ね。 よしよし、そんなエロい格好もしないし、誘ってる仕草をしないように気をつけよう。
はー、よしよし。なんとなくまとまったぞ。
落ち着いたところで、流れている音楽に耳を傾けた。
The Chainsmokers の「Closer」
歌詞は英語だからそんなに理解できないけど、I can't stop.という歌詞が、さっきまでの私じゃん。何でこうなっちゃったのかな。
でも何でこの歌、私の心を掴んで離さないんだろう。
何度も何度もこの曲を聴いていて気付いた。
気付いた事は資料におとす。
癖のように私はパワポに書いた。
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そういえば、スピリチュアルなアーティスト友達の Mojin が言っていた。
音楽って全部本当の事を歌っているんだよって。
彼は人のソウル(魂)が起こす不思議な出来事も全部理解できる人だ。
私もソウルの声を感じる事が出来るタイプ。最近はめっきりだけど。
霊感とか直感とか、そういう言い方が分かりやすいのかも知れない。
何がそうさせたのかは分からないのだけど、私は「話をする時に気をつける事」の内容を書いたページの一番下に、この文章を追記した。
・私達は心が繋がっていると思う。同じ思いを共有しているのにすれ違ってばかりだったと思う。
そして、時計を見て、資料を印刷して、自宅に荷造りに行った。
自宅に戻ると、家事のアルバイトをしてくれている佐伯さんが来ていた。
「ごめんね、ちょっと旅行の準備するから気にしないで作業してて。」
そう伝えると、今回の旅に必要な物をボストンバッグに詰めた。
バンコクで着る洋服、ブラトップ、旅行用紙パンツ、靴下、化粧品、あとお土産。 持っていく物は最低限にして、必要な物は必要な時に現地で調達するのが私の旅行のスタイル。
ベトナムで泊まるホテルのすぐ隣に市場があるから、初日の夕方、そこでベトナムで着る洋服は買おうと思っていた。
失敗しても、会うのは Konami さんだから笑ってくれるだろう。
現地で必要なものが出来たほうが、買いに行く理由が出来て歩き回れるから好き。
持ち歩く用のバッグは、ひったくりに遭わないように、リュックか斜めがけのカバンが好ましい。最悪無くしても後悔しないようなバッグのほうが良い。
更に、私は、印刷した資料を入れるから A4 サイズの透明ファイルが入らないといけない。 で、引っ張り出したのは、10年以上前の真っ黒の斜めがけメッセンジャーバッグみたいなの。 うーん、けっしてオシャレではない・・・。 つーか、ダサい!もさい!もう、でも今更しょうがない。
身軽に移動する時用に、私は、COACHの小さいハンドバッグ型のポーチも中に入れる事にした。これはカワイイ♪
しかし、まぁ、彼の分のお土産だけ超でかくなってしまった。確かにバレバレかも知れない。
忘れ物をよくするから、必要な物のチェックは、入念にしないといけないタイプ。 しかも、今、2週間程前から頭がフワフワしている最中だから、荷造りにすごく時間がかかった。
荷物をまとめ終わると、ちょうど家事を終えた佐伯さんと話が出来た。
そういえば、先日彼女の恋愛相談に乗った時に、高校の時のニノの話をしたばかりだった。
こんなひどい男もいたんだよ、と。男は好きじゃなくてもキスもHもするもんだ、と。(←偏見)
私は、それを思い出して、彼女に言った。
「あ、この間、好きでもないのにキスして去ってったひどい男の話したじゃん?」
「あ、聞きましたね。」
「あたし、今日の夜から、ベトナムとタイ行くんだけど、その彼に会ってくるよ。」
「えぇ!マジですか?」
「いやぁ、色々考えたら誤解があるかも知れないんで、聞いてくるわー。真相はお楽しみに!」
「大丈夫なんですか?」
「いやー、間違って変な事しちゃわないように、進んで色んな人に話してるんだ。結果報告するから待っててね。ハハハ。」
そう。私、他にも色んな人に話をした。 ビジネスパートナーの小林さんや、久しぶりに行った美容院のshinさんにまで。
男性に聞くと、みんな口を揃えて、 「いやー、それはヤバイよ。」「特に酒入っちゃうと。」 という。
私は警戒するべきなのか・・・。
普通に飲みに行きませんか~、って誘うと勘違いしちゃうのかな、男の人って。分からない。
あ、私、彼に最初に飲みに行きませんか、って誘ってる・・・。ヤバかったかな・・・。
佐伯さんが帰り、パッキングを終えた私は、子どもたちのお迎えに行った。
子供たちには少し申し訳無いと思った。
ママが数日間だけど居なくなる事は、小さな子供にとっては、不安になるのではないかと。
自転車で家路につく途中、ママは今日の夜から居ないけど、ちゃんと戻ってくるから安心してね、待っててね、と伝えた。
主人にも伝えた。金さん達がご主人本当に優しい人ね、と言っていたのを思い出したから。
「ねぇ、あなた本当に優しいよね。私、あなたの事、本当に愛してる。愛してるよ。」
そう言って、抱きしめて、子どもたちの目を気にしながらキスをした。
佐伯さんの作ってくれた夕食を、テーブルに準備している最中に父親が到着した。 鹿児島からのお土産を受け取ると、私はボストンバッグに Konami さん用と、ニノ用と分けて、 荷物の最終チェックをして、ジッパーを閉じた。
そして、夜の 10時過ぎに私は羽田に向かった。 寝ている間に到着出来るように深夜便にしたんだ。 機内では、「closer」を聴きながら、目をつぶった。
(第5話へ続く)
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