![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145387569/rectangle_large_type_2_cea2a5aedd50a3478d3b9e5c47ed61c6.jpg?width=1200)
📘伊豆☆リスペクト
(見出し画像は、伊豆イチかわいい大室山です)
4ヵ月前まで伊豆で暮らしていたなんて……
現実味がないな。
遠い昔のことのように思える。
春は子育て中のイソヒヨドリのかわいい声で目覚める。
![ベランダにとまっている鳥の写真](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145385596/picture_pc_b36a3b325c5e97fb7e753a0d089741b6.png)
まだ引っ越したばかりの頃は、鳥の声がしてベランダに駆け寄ると、いつもすぐに飛んでいってしまった。
でも2ヵ月くらい経ったら、そっと近づけば逃げずに留まってくれるようになったの。
別に心を許してくれたわけじゃないだろうけど、
鳥からしたら、ただ私が風景の一部になっただけなのだろうけど、
それでも嬉しかった。
朝日でオレンジやピンクに染まる空と海に、毎回感動したっけな。
![朝焼けの写真](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145385427/picture_pc_5787221bdbe0b3dfb0fade27877594b5.jpg?width=1200)
夏はすぐ下の岩場から、波にもまれながら必死で海に入っていった。
時には群れで、時にはひとりで泳ぐ青やグレーの魚たち。
知らない海を覗き見て、
この子たちの棲む世界を汚したくないと思った。
![白波の立つ海の写真](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145385711/picture_pc_df688a162d69f43114c6a2c1eabdd2c4.jpg?width=1200)
秋はムーンロードがきれいだった。
でも昇りはじめの月は、赤く大きくぼんやりしていて、ちょっと怖いんだよね。
![月の光が海面に映る、ムーンロードの写真](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145385858/picture_pc_39512d83a34987ccd761caa1911b610c.jpg?width=1200)
冬はベランダで大根や白菜を干した。
熱心に干しすぎて、干す場所がなくなって、
しまいには洗濯物干しに吊るす始末。
![洗濯バサミがいっぱいついてるやつに・・・](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145388287/picture_pc_0a9a35398c3620041f993d175ea26026.jpg?width=1200)
![白菜を1枚、硬い部分を挟んで・・・](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145388330/picture_pc_3df92fa1f5e38352dc2340a4905b738a.jpg?width=1200)
丸ごと茹でて輪切りにした自家製干し芋は、最高のおやつだった。
![芋を干してる写真](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145385907/picture_pc_a92ca82223d0304591086ec460e1f2c8.jpg?width=1200)
静岡の人、みんな優しかった。
初めての移住で少し不安だったけど、あたたかく受け入れてくれた。
そして、伊豆先輩の一番尊敬しているところ、
それは、気の遠くなるような年月をかけて移動して、本州にぶつかったところ。
約2千万年前、現在の伊豆先輩の姿はなかった。
海の彼方、数百kmも南(硫黄島の近くの緯度)にあった海底火山が、先輩の原形。
先輩はプレートと共にちょっとずつ移動して、
約百万年前、ついに本州にぶつかった!
そこからまた40万年という長い年月をかけて、現在の伊豆半島の姿になった。
![日本付近のプレートと、伊豆半島と火山の図](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145390157/picture_pc_f9d47518bbb5fab211098ee46234df31.jpg?width=1200)
そんな経緯があるからこそ、先輩の肉体は地質学的にとても貴重で、多くの大地ファンをワクワクさせている。
体内には豊かな生態系を宿して、それぞれが支え合っている。
疲れた時に私はよく、海に突き出た大地を見て、
たとえ私の気が狂っても、力尽きても、変わらずそこにいてくれる姿に安心感を覚えていた。
でも、その大地だって永遠じゃないんだね。
変わらないものはないんだね。
伊豆を離れることを実感したら、今までの景色がガラリと変わった。
私との間に透明な壁ができて、別の空間にいるみたいに感じた。
最寄駅から家に帰るまでのしんどい上り坂も、歩いて30分かけてスーパーまで行く道のりも、愛おしく思えた。
とても気に入っていたのに。
それなら、なんで離れたの?
2年足らずで次の移住先に行ってしまうなんて早すぎない?
大好きだったけど離れたのは、幸せに執着したくなかったから。
終わりがあるからこそ、今が輝くと思っている。
名残惜しかったけど、新たな冒険にでるために。
たまに思い出して、あたたかな気持ちに浸るからいいんだ。