#39 建設は死闘、破壊は一瞬。「ケアレスミス」は完全予防対策を
長い時間をかけて、多くのエネルギーを費やしてクライアントとの信頼関係を築いても、一瞬にして崩れてしまうこともあります。裏切り行為を働いたわけでも、誠意ない対応をしたわけでもなくても、関係にヒビが入ることもあります。
よくある原因の一つとして、慣れからくる「油断」が引き起こすケアレスミスがあるように思います。ちょっとした確認作業を怠り、クライアント側の複数の人に迷惑が及んだ場合など。そこで植えつけられた不信感は、払拭するのに時間がかかることもあります。
例えば、私たち人材業界での基本中の基本行動の一つに面接の日程調整があります。社長や役員の方に時間を取っていただいたり、遠方から駆けつけていただくケースなどに、スケジュールを間違えて伝えてしまったり、最終確認を怠って、当日、応募者が面接をすっぽかしてしまう事態になったりすれば、多大な迷惑をかけてしまうことになります。
「うちの会社に対して、集中力や緊張感がなくなっている」。そんな風にとらえられることのないよう、うっかりのケアレスミスの防止には全力を注がなくてはなりません。
私も、チェック機能を充実させるため、いろいろな工夫をしてきました。約束した期日を間違いなく守れるように、スケジュール帳には色分けした付箋を張って管理。二重チェックのシステムも作り、アシスタントさんに協力してもらいました。
それでも、他の人の倍の案件を抱えていた私は、通常社内で使っている顧客管理システムの機能だけでは、作業が追い付きませんでした。
そこで、情報システム部のスタッフにランチをごちそうして相談し、チェック能力を高めるためのアラーム機能などが付加された業務システムを個別対応で作ってもらったこともありました。
(ちなみに、それらの機能は、後日、全社で業務システムをバージョンアップする際、標準仕様として追加されました。システム部のスタッフからも、「現場のニーズを知れてよかった」と喜ばれました。業務をよりよくするためには、いろいろな専門家を巻き込んで協力を得ることも大切だということを身をもって学習しました)。
もちろん、お客さまに対する日々の報告や確認の連絡は、こまめに行います。その企業の案件に関してこちらがアクションを起こしたこと、それに対する結果など、些細なことでもなるべくお伝えします。
どんなにやっても、「やり過ぎ」ということにはなりません。誤解やすれ違いによるトラブルが発生し、その処理に時間を取られることを思えば、ずっと時間のムダを省くことができます。
そして、何より大切なのは、「何のためにこの仕事をしているのか」という目的意識、自分の使命を認識することです。「やらされている」「仕方なくやっている」という意識では、注意も散漫になります。「惰性でやっているな」「ただ右から左に流している感じだな」というのは、お客さまにも何となく伝わるものです。
自分の立ち位置を自覚し、自分のアクションがどんな人にどう影響するのかを常に意識しておきましょう。
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お客様や周囲の人々とよりよい関係を築き、あなたのビジネスがより大きく、喜びに満ちたものとなるよう、人生がキラキラと輝かしいものになるよう、心よりお祈りしています。